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外伝 フレイヤのおしごと

嫌な事があった時は酒を飲む。

居酒屋で浴びるほど飲む。

飲んで愚痴る。

飲んで愚痴って・・・それで忘れる。


「アイツら、朝のラッシュアワーの人混みのなかで平気でタバコ吸ってたんだぜ?」

「へー」

「キラキラネームの前に、自分達が適当につけた名前を子供達に詫びろ!『もう子供はいらない。最後にする』そんな事はチラシの裏にでも書いてろ!子供に『末吉』とか『修』って名前つける事ないじゃないか!キラキラネームの方が考えてるだけまだマシだろ?昭和二年生れの『昭二』さんの多さは異常だろ!平成二年生れの『平二』さんはそんないねーぞ!考えてねー証拠じゃねーか!」

「そうだ、そうだ」

「何が若者の性犯罪だ!お前ら若い女好きだろ?セーラー服もののAVみるだろ?テメーらが好きだからグループアイドルの服だって学生の制服を意識してるだろ?キャバクラのスクールコスプレデーだけテメーらみたいなオヤジで一杯で満員になるんだよ!ロリコンのクセに一般常識ふりかざしやがって!」

「そのとおりだー」

「『◎◎の常識は○○の非常識』なんて普段から若手社員に言うクセに、自分らの常識に囚われて若い世代を非難するんだぜ?テメーらの方がよっぽど非常識じゃねーか!」

「もっと言えー」

「挨拶代りに女の子のケツ触ってたクセに、いっちょ前に『その人の立場になって考えろ』とか言ってんじゃねえ!ケツ触られた女の子の立場になって考えられないヤツが言う言葉じゃねえだろ!泣いてた子もいたぞ!」

「女の子になったら気持ちわかる?」

「当たり前だろ!俺を女の子にしてみろ!俺ほど女の子の気持ちがわかる男はいないね!」

「あーもしもし、こちらフレイヤです。『俺を女の子にしてみろ』って言質取りました。まったく・・・男の生まれ変りなんて、これで二件目ですよ?」


昨日のやり取りをフレイヤに見せられている。

空中に映像が浮かぶ魔術は凄いな・・・って、そんな事より!居酒屋で隣の人に愚痴ってたつもりで、天界で女神相手に愚痴ってたのか・・・。


「大丈夫です!過去に男性を女性に生まれ変わらせるのは経験済みです!意外にもその人は異世界でうまくやってるみたいです!」フレイヤが俺を安心させようと言う。

「意外にも?」俺は眉をひそめた。

「いえ、こっちの話です。前回の成功例と生まれ変りの条件、一緒にしますねー。いえ!何も新たに考えるのが面倒くさいわけじゃないですよ?では目を閉じて下さい。次に目を開けたらあなたは異世界に生まれ変わっているでしょう。あなたは12歳の貴族令嬢です・・・」

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