member 4
「疲れた……足痛いし」
更衣室の自分のロッカーに右手をつき、全体重を乗せる。
首、胸、お腹と、こそばゆく滴る汗を服で拭おうとするも、むしろ汗がついてしまう。
この感じじゃユニフォーム放課後使えないな、絶対臭い。
なんとか右手を離しふらふらしつつロッカーを開ける。
中には乱雑に放り込まれた制服。
最悪だ、ハンガーにすらかけてないしシワよってそう……。
右手でつまみ上げると汗で湿っていたのもたたって、予想通りあちこちにシワよっていた。
「うわっ……」
つい声が漏れる。
気分がガタ下がりだ。
せめてとロッカー内の卓球用バックをあさって制汗剤を取り出すと、体に吹き掛ける。
少しはマシになってくれればいいんだけど…。
「あっ、制汗剤かしてくれない?なんか忘れたぽい」
制汗剤の吹きかける音を聞いてか、後ろ側からバックを漁りつつ彩月がくれくれと手を向ける。
「別にいいけど」
「サンキュ」
ぽいっと制汗剤を投げると少し外れたところにいくも、彩月はパッと手を伸ばして落とさず掴んだ。
そんな様子を見ていたら、何か違和感を感じた。
ん?何だろうこの変な感じ。
暫く彩月を眺めていると、違和感の正体に気づいてしまう。
これは伝えるべきだと思うも、逆にそれは、彩月に伝えない方がいいかもしれない事情であった。
うーん、もうHLまで時間ないし言っても意味ないか。
服を着替えながら思考する。
ま、少しはなんとかなるかな。言っておこう。
決断を下すと、いつの間にやら着替えを終えた彩月に、「彩月、ちょっといい?」と声をかける。
「ん?何」
やっぱり全体的に出てるな。
似合ってるとは思うけど……彩月は嫌だろうし言おう。
「癖っ毛、でてるよ」
「え?」
「くねくね。私は似合ってると思うけど、彩月嫌でしょ?」
「˝え˝?」
彩月が目をかっぴらくと、急いでバックの横ポケットから手鏡を取り出した。
そして見て魂が抜けたように、白く固まる。
そんなに嫌なの……
「150cmの容姿と合わさって、絵に書いたようにかわいいと思うけど?」
「そんなわけないじゃん!あーもう、もう少し早く言ってよね!」
「あはは、さっきまで気づかなくって」
苦笑を浮かべて、さっき少し思いついた対処策を言ってみる。あんまりいい手ではないけど、応急処置になるだろうし。
「ワックスかそうか?でも髪痛むかも」
「痛もうがいいよ!かして!」
「そんな扱い方してるから癖っ毛になるんじゃないの……」
とは言いつつも、ワックスを差し出す。
彩月は奪い取るように私からワックスを貰い受けた。
苦笑のままに時間を確認。
まだ当分余裕そうだ。
暫く雑談でもしてようか。
明るく光に照らされた部屋の中、制汗剤の匂いが漂う中、私は彩月と話し続けた。
くだらない話を。




