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Feeling×Hopes  作者: toki no yu
prologue
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member 3

 

『ギフトプレイヤー』


 そう呼ばれるものが現れだしたのはいつからだったろうか?


 淡い記憶を辿ると、おおよそ10年前ほどに天才と称された存在がニュースに現れていた気がした。


 その人は確かこんなことをいっていた。


『私には相手の返球の着弾点が不思議とわかるんだ。だから回転の判断を重点における』


 専門家は、相手のラケットの向き、振ろうという意志からの行動、癖、全ての要素を無意識に瞬時に読み取って、相手の打球方向がわかるのだろうといった。


 彼女は当然のようにチームを優勝に導く鍵となり、そしてプロでも日本最高の実績を残したという。


 けれども、彼女がそんな実績を残すなか、卓球界には天才と呼ぶにふさわしいものが次々と現れていた。


 天才は一人でなかったのだ。


『天からの才能を授かった者』は卓球の人気度に比例して年々増え、今では『ギフトプレイヤー』として定着しきっている。


 誰にでも『ギフト』があるかもしれないという希望、そして練習を重ね天才でないことが明らかになった『ノンギフトプレイヤー』との確かな格差。

 現状の卓球の人気な点であり、問題点でもあった。




 そんな中、私にはギフトが与えられていた。

 それは強打におけるギフト。

 フォア側に少し浮いた位置への攻撃に対して強打した際相手の回転に左右されず、そのまま相手のコートを尋常でない速さで、まるで切り裂くがごとく球が駆け抜ける。

 そして同時にそのギフトは、私に追い風を吹かせ流れを呼び込む。


「どうよ」


「別に、あんたのギフトなんて見飽きたし」


 思い通りに作戦が決まって少し得意気になって声をかけるも、可愛げの欠片もない返答。


 彩月らしいといえば彩月らしいか。


「彩月は見飽きる要素ないもんね。ギフトないし」


「すぐに対策とられるよりまし。あんたのは、フォア側、ある程度伸びる、浮いている、球限定。打たせない方法は山ほどある。しかも強打狙いすぎて、プレイスタイル根本が浮かせることに徹底してて実力も中の中くらい」


 本気で呆れたように彩月がいう。


 むぐっ、言い返せない。


「じゃ、じゃあ勝ってみてよ!得意な回転判断を生かして!」


 ポケットからボールを取り出すと、試合形式のことも忘れこっちからサーブを行う。


 フォア側に短く、下回転に見せた無回転ナックル。

 判断ミスをすれば、浮いて鎌鼬の餌食。

 けれど純粋に見抜かれたか、横回転をかけた返球をミドルに短く出してきた。


 彩月への横回転の嵩ましは厳禁。

 彩月の横回転系の判断力は他を圧倒している、より嵩まししかえされるだけ。


 じゃあこの位置への横回転は、無理にでも打ち消すしかない。

 私の技術で、できる限りうまく。


 何とかボールを返すには返したが、駄目だ。

 ミドルにひどく浮いたロングのボール。


 これじゃあただの絶好球だ。


 当然のように、返球はバック側への強打。

 何とか拾えはするものの、結局防戦一方になって押し切られてしまう。


「1:1ね。朝練が終わる頃には何:何だろうね」


 挑発的な笑顔をこちらに向ける。


「簡単には私は負けないよ!」


 またと私はボールを取り出すと、サーブを構える。

 もはやサーブ権なんて機能していない。

 大事なことは、朝練終了までどちらがとったかだ。


 台の上をボールが駆け抜ける。

 途切れることなく駆け抜け続ける。


 完全に時間を忘れ、私達は卓球を続けた。



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