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第三話 出!

 【カランッ】


 絵原がドアを開けた。


 部屋の中はまるで校長室のようで、座り心地の良いソファがあり、その奥には、【霊感支部 部長:鉢野(はちの) 浜之(はまの)】と書かれてあるネームプレートが置かれた事務用の机が置いてあった。


 その机には、30代後半と言ったところだろうか。ちゃんちゃんこを着たちょび髭のおじさんが座っており、2人に声をかけた。


「いらっしゃい。おや、絵原ちゃんじゃないか。ご無沙汰だね。隣にいる男の子は新人かい?」



「えぇ。一週間程前、サッカーゴールに頭を強打してから、シックスセンスの霊感に目覚めた人よ。」


「あの.....久本タイトと言います。よろしくお願いします。」


 タイトは軽くお辞儀をした。


「うん。よろしくねタイトくん。僕の名前は鉢野。ハチと呼んでくれると嬉しいな。シックスセンスは君と同じだよ。それにしても、サッカーゴールってあの鉄の部分!?そりゃあ痛いね〜 ハッハッハ。」


 ハチは高からに笑ったあと、タイトに質問した。


「絵原ちゃんから死神の話は聞いたかい?」 


 タイトがはいと答えると、ハチは机の引き出しの中からガサゴソとボールのような物を取り出した。


「死神はね、霊感がある人の霊力を狙って襲う。君みたいな戦い方も知らない人なんて絶好のカモなのさ。」


 そう言いながら、ハチは何かボールのようなものを両手で包んだ。。

 

「死神は…正確には死神の"使い"は、君たちの霊力、時には命すら狙って死神王に力を譲渡するんだ。そうやって、奴らは最悪の強さを手に入れているんだよ。これは絵原ちゃんから聞いたかい?」


 タイトは首を横に降り、一番聞きたかったことをハチに聞いた。


「俺は。どうしたらいいんですか?」


 タイトはそう尋ねると、ハチはニヤっと笑って、ボールをポーンッとタイトへ投げた。


 タイトはそれをキャッチし、そのボールを見た。


「これはね、幽霊と戦うための武器をプレゼントしてくれる不思議なボールなんだ。それに君の霊力をここに注入すれば君に合った武器が出てくるよ。さぁ、やってごらん。」


 タイトは意味がわからないまま、はいと答えて霊力を全力で注いだ。


 …つもりだった。

 

 霊力とかよくわかんないけど、なんかいける気がしたのに出ない。


 絵原がタイトの持っているボールをじっと見つめ、


「霊力が入ってないわ。」


 と教えてくれた。いや、知ってるけど。


「おかしいな。霊感に目覚めた人は自然と霊力もコントロールできるはずなのに。」


 ハチが首を傾げた。


 どうしよう。このままだと幽霊が現れても、

 何もできず、あっさり狩られてしまう。




 タイトがそのように不安に思い、焦っていると、絵原が後ろからボールを掴んでいるタイトの手をそっと握った。


「霊力っていうのは自分の体内にあるオーラのようなものを外に出すイメージよ。やってみて。」


 と、耳元で優しく教えてくれた。


 うわぁ、なんか絵原からなんかいい匂いがする!

 やべぇ!ドキドキする!!!!


 女の子と手も繋いだことのないタイトは絵原のアドバイスが殆ど聞こえず、ただただドキドキしていた。



 タイトがそんな。心臓が破裂しそうな状況であることを、絵原は気づきもしなかった。


「!?」


 女の子に手を握られ、興奮したその時…


「出たわね。」


 霊力が出てること、注がれていることがタイト本人にも理解できた。


 霊力が注がれたボールはみるみると大きくなっていった。 


「ハチさん。この大きさ、普通じゃないわ。どうする?一旦中止にする?」


 絵原が焦っているように見えた。


 ハチは首を横に振って、ボールを見つめ続けた。


(ここまで大きい武器ってなんだ?鎧か?それとも大砲か?無敵の武器に違いない!)


 タイトはそう思いながらワクワクして武器がでてくるのを待った。


 そして、、、、



 【ドーーーーーーーーーーン】



 ボールが破裂し、大きな破裂音とともに、武器がそこに現れた。



「_________。あれ?」


 何かの見間違いじゃないかと、一度両目を擦ってみたが、何も変化はなかった。





 間違いなくそこにあったのはただの紙切れだった。

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