東門にて
東門を目指して徒歩30分後…………。
道中、リアルスケールの街並みに驚いたり、どこを歩いてもプレイヤーらしき人々がキョロキョロしていてなんとも言えなくなったりした。
まあ人が分散し始めたら俺たちも街を探検だな〜とユーカと話しながら東門に到着した。
「お兄、いざ、出陣じゃ!」
「おう!」
意気揚々と東門を通ろうとした俺たちだが、後ろから声がかけられた。
「そこのお前ら、止まれ!」
「「ひ、ひぃ⁉︎ 」」
あまりにドスの効いた声に2人して驚いた。
振り返ると、そこには中装鎧を着たヒューマンの男(40代と思われる)衛兵が立っていた。
おお、VR世界で初接触だ! つかさず鑑定をしてみる。
−ジョン・マクソン−
種族Lv51 ???
ほほー、やはり衛兵、めちゃくちゃ強いんだな。
俺の51倍だよ。
しかもレベルと名前以外全部不明だ。
「ほう………異世界人とは初対面だが、礼儀がなってないらしいなぁ。 俺が教えてやろうか? 異世界人は殺しても死なないと聞いたしな……」
そう衛兵が喋ったと思うと凄まじい圧力の籠った視線が俺たちを突き刺した。
う、動けない…何かのスキルなのか。
怖い。
ていうかなんで異世界人だとわかったの⁉︎
「ご、ごめんなさい! 何か失礼があったでしょうか⁉︎ 」
慌てて謝る俺、なぜ怒られるのか、鑑定したからか?
それしか考えられないが、公式サイトにはそんな事書いてなかったぞ。
そもそも鑑定されたのかどうかなんて普通気づけないだろう⁉︎
マクソンさんは少し間を置くと笑った。
もう先ほどまでの凄まじい圧力はなかった。
「ふふ、よくわかった。けれども人様を勝手に鑑定するのはどうかと思うがな? まぁ上からは少々礼儀を知らない者達とは伝達があったが……」
なるほど、鑑定は失礼なのか。
そりゃそうか、誰だって嫌だよな。
素直に謝罪する。
「すみません。鑑定が失礼だとは思わずにしてしましました」
「申し訳ないのじゃ」
マクソンさんはしばらく間を置くと答えてくれた。
「ふむ、そうだな、わざわざ俺たちの力になってくれるんだ。今回は許してやる。次からは注意するんだな」
めちゃくちゃ怖かったのが嘘のように話すマクソンさん。
それがさらに怖さを引き立たせる。
「あ、ありがとうございます! 本当に鑑定が失礼だとは…すみません…。」
「ふふ…もういい、薬草採集だったな。本当はLv1の野郎は草原へ行けと突っぱねるんだが、ドラゴニュートもいるからな……そこの嬢ちゃん、そのヒョロイエルフをしっかりと守ってやれよ」
ん? なんで異世界人だってことやLV1だってことも薬草採集に行くことも知っているんだ?
この人、俺たちの事鑑定したのか?
鑑定でそこまでわかるのか?
というかユーカよ、森の難易度は高いらしいんだが、どういうことだ?
「う、も、もちろんじゃ! ではいくでの!」
「ああ、なるほど……まぁ気をつけていくんだな。」
妹は何かから逃げるようにそそくさと門を潜る、続く俺。
「なぁ、ユーカ、薬草採集ってもしかして危険?」
「うむ、妾は戦いに飢えておるからのう。」
だ、騙された⁉︎ いや、ユーカは一言も初心者向けとは言ってないのか……
「わかった。だがユーカ、もし死んだら……」
デスペナはトイチで返済な。と言おうとしていたが
−初めての戦闘可能エリアに到達を確認。チュートリアル、アクティベートを開始します−
突然、俺の視界左上に赤青黄のバーが表示され、下側に文章が表示される。
〜戦闘スキルアクティベート! 以降はスキルログの表示やスキル補正が有効になります〜