合流と話し合い
ユーカの元に行くと、デザートをぱくついているユーカの向かいに2人の見知らぬ男女の外国人が座っていた。
そのデザートのゼニーはどこで手に入れたのかしらん。
向かいのお二人じゃないだろうな。
「えっと、ユーカこっちは終わったぞ。いまゴメスさんが報酬を用意してるが、そっちは進展があったのか?」
俺はユーカと違って、知らない人話すのは緊張するタイプなんだが……。
「お、きたのじゃな。ニアとハットリよ。こちらが妾の忍びでありリアルでは兄でもあるマーブじゃ」
「よろしく、私はニアよ、お兄さん」
黒の長いストレートヘアが白いロープに垂れている黒人の女性がそう言う。
見た目的にはヒーラーだろうか回復魔法を使いそうだ。
ちなみに脳波を測定できるこのゲーム世界の自動翻訳機能によって言葉の壁は殆ど存在しない。
すんごい自然な日本語に俺は感動した。
まぁたまに間違える時もあるらしいけど……。
「おお、本物の忍者は一目してそれとわからぬ格好をしてるでござるな。拙者の名前はハットリでござる。マーブ殿」
ご、ござる。
自動翻訳の設定をいじっている貴方は黒装束でザ忍者って感じですね。
黒装束から少しはみ出た金髪が見える青い瞳の白人男性がそう言った。
「ど、どうも、マーブです」
そういえば汚れた盗賊の格好のままだったな。
どこかに綺麗にできるところあったっけな。
「お兄は人見知りしておるのじゃ。情けないのじゃ」
同じ日本人でも話せないのに外国人なら尚更だぞ!
イエスイエスとしか言えなくなるぞ。
「なるほどなるほどでござる。流石本場の忍者でござる。忍んでおられるのでござるな」
それは違うと思うぞ。
俺はハットリの事を面白い人だなと少し思えた。
「それで、何があって知り合ったんだ?」
ユーカが街で探索した時のことを教えてもらった。
「なるほどクジに自衛隊の人の事は分かったけど、街の地下にゴブリンがいたのか……」
自衛隊にそんな人いたかな、ニュースでは出てなかった人かな。
クジはきっとハズレだろう、南無南無。
あとゴブリンがマンホールに逃げたねぇ……下水道ダンジョンとか汚くて私、嫌よ!
「ハットリさんとニアさんはキングを追っていてゴブリンを罠にかけて問い詰めようとしてたらしいのじゃ。それを妾が邪魔してしまってのう。それでキングについて話し合う事にしたわけじゃ」
「なるほどなるほど、じゃあ俺たちがキングと出くわした事とかも、もうニアさんとハットリさんの2人は聞いてるんだな」
ハットリが答えてくれた。
「そうでござる。拙者達の方は街の中にゴブリンが出る事に驚いた事が始まりだったでござるのだが、裏にキングの存在がある事はその後拙者達も掴んであったでござるが、まさかそんなイベントが起きていたとは知らなかったでござる。拙者達もキングと出会いたかったでござる。しかしながらその話を聞く前は単純にユーカ殿がキングを探しているのは戦いを求めてかと思ったでござるよ。ハッハッハッ」
「ハハッ、確かに確かに、実際ユーカは戦いを求めて森に行きましたからね」
「それについてはその通りなのじゃ……」
「でもそんな悲しい話があったとはね。ゴメスさんやマクソンさんの話を聞くと簡単なNPCとは思えないし」
「そうなのじゃ、ニア。キングは倒さなければならない敵なのじゃ!」
「今もユーカは戦いに飢えてるって事だな」
「やはりユーカ殿は脳筋というやつでござるか〜」
「そうですそうです」
そんな事をハットリさんと言い合うとニアとユーカに俺達は睨まれた。
「ハットリ、流石に脳筋は失礼ですよ」
「お兄も酷いのじゃ〜これは正義の戦いなのじゃ〜決してヒャッハーしたいわけじゃないのじゃ、ニア殿の言う通りなのじゃ!」
「ユーカとニアさんは結構仲が良くなりましたね…」
「ござるござる。まぁあれでござるな。さすが本場の侍でござるな。名誉を大事にするでござるな」
「妾は侍ではなく民を守る騎士なのじゃ〜お兄とハットリも忍び同士仲良くなったようじゃの」
とまあこんな感じで俺はユーカとニアさんとハットリさんと合流して仲良く話し合う事になったのだった。
ハットリさんは言語翻訳の設定でござるを語尾にするほどの忍者好き。
ニアさんは元素魔法は当然ながら風水術や式神を使った少し変わった魔法使いを目指しているらしい。
そしてなんとリアルでは夫婦だそうだ。
夫婦揃ってゲームとはなんだか幸せオーラで眩しかった。
「ところで、ゴブリンが逃げた下水道の先にキングがいるのかね?」
「うーん、拙者達も下水道に入ってみたでござるが迷路も迷路、不潔でござるしスライムなどの敵も強くて、どうにもゴブリン達が隠れられる場所ではなかったでござるよ。きっとまた別のどこかに繋がっていてそこにいるでござるな」
「むむ、残念じゃ。情報が足りないのう」
ユーカには悪いが良かった良かった。
下水道ダンジョンに行く必要はなさそうだな。
「そうなのか〜。もしキングにまた遭遇したら、俺の忍術で何ができるかね。ユーカは剣で戦えたみたいだが俺はあの時あっさりやられたからなぁ」
ふとそう言ったが、忍術という事でハットリが話しかけてきた。
「そういえばマーブ殿の戦い方は興味深いものでござったな。精霊魔法を忍術にするとは聞いて驚いたでござる。さすがは本場でござる。でも考えればスキルの忍者よりも精霊魔法の方が本物の忍者にとってはイメージ通りにできてよいのでござろうか。拙者の勉強不足でござったなぁ。忍術は拙者のような初心者向けなのでござろうな。忍術は順を追って術が学べるのでござるから……」
と語り出したがだんだんと自分の世界に入って言ってしまった。
ジョークかロールの一種なんだろうけどハットリは未だに日本には忍者と侍がいると思っているそうだ。
このゲームは似たような効果のくせに名前が違うスキルが多いからな。
忍術と精霊魔法が少し似ていてもおかしくない。
忍術は周囲の精霊ではなく周囲の物や手で印を結んで発動するらしい。
忍術スキルが上がれば様々な忍術が使えるようになる。
チューちゃんが少し言ってたな。
スキルの多さはきっとできる限りプレイヤーのニーズに応えられるようにスキルを作っているんだろうが製品版ではどうなるのだろうか。
普通βとかα版というのは不具合、バグ満載のような気もするがこのゲームはもう製品版でも良いレベルだよ……。
「いやだから、侍も忍者も日本にはもういないよ」
「HAHAHA、面白い冗談でござる。いや、わかっているでござるよ。拙者もまだ消されたくないでござる」
「おっほっほ。そうですわね。私も気をつけましょう」
「それが良いでござるよ」
とこの夫婦そろってこんな感じだ。
これが海外ジョークと言う奴かっ!
あとなぜかハットリはニアが魔法の話をするたびに
「今は抑えているでござるがニアは魔法に関して興奮すると性格が変わるでござるよ」
そんな事をぼそりと呟きながら顔を青ざめさせていたのは印象的だったな。
まあそうなのだろうさっきの睨み方といい怒らせたら怖そうな人だとは思った。
忍者と魔法使いというロールのこだわりが強い2人だった。
「報酬の計算ができたわよ〜番号渡し忘れちゃったわね〜」
こっちをみてゴメスさんが声を上げて手を振っていた。
「あ、ゴメスさんが呼んでるから行ってくる。ついでに2人の話も伝えてくるよ」
「なら、みんなで行くのじゃ!」
4人でゴメスさんの元に向かった。
ちなみにユーカの食べてたデザート代金はニアさんとハットリさんが出してくれたものだった。




