ユーカとの会話
転移した俺たちは広場でウサギの肉の串焼きを食べていた。
ユーカが転移した直後に屋台に向かって行ったからだ。
前回、ユーカの怒りで哀れにも消失した焼き鳥もどきはこれだったみたいだ。
鬱憤を込めてむさぼり食らう。
「うーん、美味しいのじゃ」
「そうだな。美味しいな」
これがなかなかイケる。
それに肉が刺さってるままだと地面に落として少し経つと消えるが食べ終わった串は消えないし武器に使えるみたいだ。
少し投げて確認した。
「もぐもぐ」
ユーカはこの串焼きが気に入ったのかひたすら食べている。
串ゲットだぜ。
「美味しいな」
「もぐもぐ」
新たに買ってきてまで食べている。
「美味しいけどこれにハマって買いまくってたらあっという間にお金がなくなるよな」
「もぐもぐ……ごく」
流石にここでは食事にお金を使う気はないらしい。
「なんだかこれ美味しいけど満腹感というか満たされる感じがないからかガム食べてるみたい、ギルドでデザート食べた時も思ったけど、少し残念。あぁ、ご馳走様でした!」
確かに美味しいけど満たされないな。
多分こういった肉より紅茶やコーヒー、ワインとかそういった風味を楽しむみたいなやつを買うのが俺的には正解のような気がするな。
「で、これからどうしようか。図書館とかこの街を巡ろうか? 王都な訳だし、城にも行ってみたいよな」
なんか俺はこればっかり言っている気がするが、ユーカのクエストのせいで未だに街を巡れていないからな。
ユーカを戦闘やらより探索、探検の方向に持っていこうとしてるのは何回目だろうと思う。
俺としては武器屋、防具屋、道具屋、闘技場、城、裏路地、etc。
行きたい所はたくさんあるからな!
何せリアルスケールで歩けるんだ。
あれだな、海外旅行に来たみたいだ。
なんて考えているとユーカは悲しい顔をして俺をみた。
「お兄はマクソンさんのことを考えないの?」
「え?」
妻子が殺されキングを止めるために活動しているマクソンさん。
結局俺たちは話を聞いただけで何もできなかったし何も起きなかった。
マクソンさんもどっか行ってしまうし、何もすることはないんじゃないか?
「ねぇお兄ちゃん、マクソンさんかわいそうだった。ゲームのストーリーだってわかってるけどさ、画面越しじゃなくて、こうして面と向かってさ、あんな風に言われるとなんとかしたいって思ったんだよね。今までの画面越しのゲームなんかとは違ってさ、だから何かしたいの。ゲームだってのはわかってるし街探索とかレベル上げとかした方がいいのかもしれないけど……すごいよねこのゲーム」
「その通りだな。うまくいえないけれど神ゲーなのは認めるな……ってすまんすまん。どうもゲームだって思って一線を引いちゃうんだよな、まだ。まぁあれだマクソンさんの為に出来ることか。ゴメスさんのところへ行ってみるぐらいか? 今の所」
「なんだー、いつもいつもロマンガーロマンガーとか言うくせに、つまらない男じゃな」
なんだこの手のひら返し。
いや、今は雌伏の時、あとでギャフンとマジックシーフになった偉大なる兄の姿を見せてやる。
まぁそれは置いといて、ユーカが焼き兎を食べてたのは自分を落ち着かせる為だったのかね。
このゲームは本当に現実に近いからな。
レベル上げとかゲーム的思考ではなくリアルにNPCに感情移入してしまう。
マクソンさんの中に本当に人が入っていないとは言えないしな。
そこがまた……。
チューちゃんも言っていたなNPCは生きているって。
ロマンか……。
「まぁお兄の言う通りじゃな! ひとまずゴメスさんにマクソンさんの事を詳しく聞きに行くのじゃ。なにやら知ってるようじゃったし……」
うん、その通りだな。
街探索はその後でもいくらでもできる。
「よっし、ギルドに向かいますか!」
こうして俺たちはギルドに向かう事にした。
「それにしても、あれじゃな」
「あれってなんだ、あれって」
「いや、マクソン殿のことじゃ」
「お、おう?」
「いやなんというかじゃな…あ」
話が止まったと思えばユーカの目線の先には道具屋があった。
「そういえばゴメスさんが道具屋でバックを買うといいって言ってたな、買ってからゴメスさんに会いにいくか」
そうして俺たちは道具屋に入ってみることにした。




