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短篇集

夢が持てない子供に現実を伝えるということ

教育は重要だ。

が、教育を行う前に、競争社会の現実を、徹底的に叩きこむ必要がある。

さもなければ、子供時代に夢を見いだせなかった人間は、向上心を持てず、努力を蔑ろにしたまま大人になってしまう。


噛み砕いて説明したい。


例えば、幼少期にロケットの打ち上げを実際に目にする機会に恵まれたことがきっかけで、

「宇宙飛行士になりたい」という夢を持った子供がいるとする。

その子は夢を原動力に、ストイックに自身を鍛え、やがて宇宙飛行士の選抜試験に参加する。

ここで試験を通過するか、しないかは問題ではない。

その子には明確な目的があり、人一倍努力をして、高い知力と体力を手に入れた。

たとえ宇宙飛行士になれなかったとしても、活躍の場は無数にあるだろう。

これは、宇宙飛行士以外の夢を追い求めた子供についても同じことが言える。


一方で、子供時代に何の夢も持てなかった人間はどうなるのだろうか。

彼らは何事にも本気で興味が持てず、将来何をやりたいのか自分でも分からない。

そんな子供に、勉強に対するモチベーションは生まれにくい。

しかし刻一刻と時間は過ぎ去り、幾度かの受験、就職活動と自身を試す機会が訪れる。

彼らの大半は、これまで真面目に努力をしてこなかったことを悔やみながらも、

別に叶えたい具体的な夢がないのだから、そこそこの学校、会社で構わない、と自分を納得させる。

そして落ちるところまで落ちていく。


大人になって歳を重ねるほどに、前者の子供と後者の子供の社会的格差はどんどん開いていく。


だから、教育機関は早期から、

子供の頃から努力することによって、将来どのような利益があるのか、

子供の頃に努力しないことで、将来どのような不利益を被るのか、

それを徹底的に、つぶさに、包み隠さずに教えれば良いと思う。


例えば、勉強をまったくせずに遊び呆けている子供には、

生活保護受給者が多く生活する地区を実際に歩かせ、将来彼らの一員になる可能性を告げれば良い。

勉強ができないが、そこそこの生活でいいと成績向上を諦めている子供には、

学歴の低い人間と学歴の高い人間の将来の暮らしぶり、社会的地位の違いを、実例を示しながら教えれば良い。

彼らにまず教えるべきは、向上心を持たず、勉強しないことのリスクだ。

下流、中流階級で甘んじることの辛さ、情けなさを幼少期から刷り込むのだ。

夢を持てなかった子供たちにとって、それは幼少期から努力することの強烈な動機になる。

もちろん、子供が夢を持って、その実現のために努力することが最善だと思う。

しかし夢を持てなかった子供が、将来を見据えて努力するには、これが最も効果的なのではないか。

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― 新着の感想 ―
[一言] 生き地獄ですね
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