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一歩前へ

作者: ヒヤシンス

「人は成長する生き物である」

昔、どこかの偉い学者さんがそう言った。まったくその通りだと思う。私の人生経験において(たかだかまだ16年ほどだが…)この言葉に例外といえる事例が起きたことは一度もない。私はこれに深く共感する。


ここからは私の持論だが、人は成長という長い一本道をゆっくり歩いたり、時に息が切れるまで全力で駆け抜けたりする。上の言葉が正しいならば、これこそが人生の実態だと言えよう。生まれたばかりのころ、私はどれだけのスピードで、この果てし無く続く道を駆けたのだろう。今はどんなスピードで歩いているんだろう。

ーーひとつだけ言えることは、今のスピードは確実に生まれたばかりのスピードに劣っているということだけだ。

しかし、その一歩を踏み出すきっかけは日々の変わらぬ日常にいきなり現れたりする。私はそこを認識せずに、油断していたのだ。


昨日、同じ部活のA子とB君が一緒にデパートでウィンドウショッピングをしているところに、私はたまたま鉢合わせた。A子は私の大の友人である。そして、B君は私が好きな男の子であった。しかし私はその場を見ても、特に何も感じなかった。私だって2人と一緒に買い物をしたことがあったし、なにより私の部活は色恋沙汰無しに仲がよい楽しい部活だと思っていたからだ。

その時は私たちは互いに手を振る程度で別れた。


翌日、学校の他の友達からいきなり2人が付き合っていることを知らされた。知っていると思っていた、と意外そうな顔をされた。詳しく話を聞くと、なんと付き合い始めたのはそうとう前からで、私達の部活外ではもはや学校の常識と化している情報らしかった。

そういえばとふと思い出す。A子は学校でも有名な美人で、A子以外のクラスの女子で彼女について話している時のことだった。

A子は声が高くてかわいくて、少し運動オンチな、いわゆる守ってあげたい系女子らしい。一方の私はというと、顔については触れられず、勉強はけっこうできる方で、運動神経も生まれつきよい、いつも笑顔の女の子、いわゆる自分でなんでも解決系女子らしい。

別に悪口ではない。むしろ、その通りだと自分で納得したほどだった。

「自分でなんでも解決系女子」

響きは嫌いじゃなかった。成長の道を誰よりも進むことが出来ていると褒められているようだった。

だがそれは、守ってあげたい系女子A子との大きな違いを、私に痛いほど突きつけてきた。このような客観的な意見を聞くと、B君がA子を好きになるのは当然のことのように思えた。

私は今までいろいろなことに気づけなかった自分をなじった。そして、胸中を駆け巡るモヤモヤをかき消すように後の授業に集中した。


部活の時間が来て、2人が私の前に現れた。とりあえずA子の方に噂が本当なのか聞いてみた。予想通り返事はイエスだった。

別に責めたりしたわけでもない。それに、私がB君を好きなことはA子も知らないはずだった。でも彼女は私が真実を知ったことを知ると、いきなり敬語になって「黙っててくれますか?」と一言発して、すがるように私を見た。

これにはショックを受けた。私とA子は少なくとも他人じゃない。隠し事は互いにあったし、そのせいで現に私の心にはモヤモヤがくすぶっているけど、それでも信じ合えてる友達だと思っていた。

私は黙ってコクンと頷いた。A子はありがとうと言って立ち去った。

私はしばらく放心状態に陥り、その場に立ちすくんでいた。すると私の中に住んでいる誰かが私に向かって叫んできた。いつまでクヨクヨしてんだって。

そうだ、と私も思い返す。私はいつまで放心している気なんだろう。私は自分の恋が終わったことをずっと引きずって、それにA子を巻き込んでしまった。誰も悪くなんか無いのに。いつまでもこんなブルーな気持ちでいる必要なんてない。今、私がやるべきことはこの恋に自分でけじめをつけて、笑顔でいつもみたいに部活をすることじゃないか。みんなと楽しくおしゃべりすることじゃないか。一歩踏み出すことじゃないか。

今日は2人にいつも通りに接することができなかった。それは仕方が無いと思った。だからその分、明日はいつもの倍の笑顔で彼らと向き合おう。そう心に決めた。


でも、今日だけは少しだけ泣かせてください…。


心の中で2人にそう呟いた。


人は成長という長い一本道をゆっくり、時に早く駆け抜ける。止まってしまうことだってあるかもしれない。後退してしまうことだってあるかもしれない。そんな時は自分の心に住んでいる誰かにそっと尋ねてみよう。そうしたらきっとその人はこう答えてくれる。

「この道を進みたいなら、勇気をだして挑戦して、勇気をだして認めればいい。そうすれば君は間違いなく成長の一歩をふみだせるだろう」と。

成長することは、成功することや幸せになることとは違う。むしろ真逆だ。成長することは苦労を重ねるということ。そのためには勇気がいる。彼はそう言いたいのではないだろうか。


この道は果てし無くどこまでも続く。ゴールの見えないマラソンを私たちは一生をかけて進んで行くのだ。その道には絶壁もあるだろう。濁流の川もあるだろう。でも私は自然とそれらを乗り越えられる自信が湧くのだ。勇気がでるのだ。だって私は…


「自分でなんでも解決系女子」だから


さあ、今日も元気に笑顔でこの道を一歩ずつ進んでいこう!

文才がなく、見苦しいことこの上ない文章ですが、読んでくださりありがとうございました!

よろしければ感想をよろしくお願いします。

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