二人のシアワセ《終編或いは新編と呼ぶべきもの》
二人のシアワセ《後編》から続く物語です。
俺の名前は、山森健一。山森財閥の御曹司だ。現在の俺は山戸川高校の生徒会会長をしている。今回は、前回語れなかった過去を語ろうと思う。今から、約二年前のことだ。
俺の名前は、山森健一。山森財閥の御曹司だ。現在俺は、川嵜中学校の生徒会会長をしている。あの日俺は、白岩涼子に過去のことを聞かされて、白岩涼子は、その直後にその場から居なくなってしまった。それからなんとか白岩涼子を学校に行かせることに成功したが、その後に大変なことが起きていた。
まずは、俺の周りで起きていた。
最初の大変なことは6月の中旬に起きていた。
「おはようございます。」
今日も、生徒会のメンバーによる朝の挨拶運動が行われていた。俺も生徒会会長として、挨拶運動をしていた。
「おはようございます。」
その時のことだ。
「全員来たか?」
「はい。今の生徒で全員が登校しました。」
「わかった。それじゃ、解散かな。」
俺がそう言った直後、
「おい、山森。あれ、危ないんじゃないか?」
「どれが?」
「あの女の子だよ。」
まずい。左から、トラックが!
「…………っ、おい、危ないぞ!ちっ、こうなったら。」
「おい、山森!?」
俺は、走っていた。幼稚園児くらいの女の子を助けるために。俺は、ギリギリのところで、幼稚園児くらいの女の子を抱き抱えて転がる。
「痛ててて。大丈夫?ケガはない?」
「う、うん。」
「そっか、でも、良く見て渡ろうな。今見たいに、車が来ることがあるから。」
「うん……。」
「約束だよ。」
「うん。」
「ところで、誰かと一緒なのかな?」
「う、うん。先生たちと。」
「それで、その先生は?」
「あれ、さっきまで、一緒にいたのに、何処にいっちゃったの?」
「由美ちゃん!」
「あっ、先生。」
女の子は、先生の元へと走っていった。
「すいません、お怪我はしていませんか?」
「大丈夫ですよ。」
「そうですか、ほら、由美ちゃんお兄さんにお礼言わなくちゃね。」
「おにいちゃんありがとう。」
「どういたしまして。次からは、気を付けるんだよ。」
「はい。」
それから、俺は、遅刻ギリギリの時間に教室に入った。
次の大変なことは、7月の上旬に妹の結香と買い物に出掛けている時のことだ。
「お兄ちゃん、早く早く。」
「あんまり、慌てると危ないぞ。」
「大丈夫だよ。」
「やれやれ。」
俺は、視線を結香の前に向けると、刃物を持った男が結香の前にゆっくりと近付いていた。そして、
「危ねぇ。結香!」
「えっ、お兄ちゃん!?」
俺は、結香の左腕を引っ張るとそのまま抱き抱えて、男の持っていた刃物で右腕を切られた。
「くっ…。」
男は、その場から急いで逃げていった。
更に次の大変なことは、7月の下旬に白岩と買い物をしていた時のことだ。
「山森君。これ、似合うかな?」
「おっ、良いねぇ。似合ってるよ。」
「本当?」
「ああ。」
白岩は、服を合わせて、どれにしようか決めている。俺は、目線を白岩から離して、辺りを見回すと、覆面を被った不審者を発見して、白岩を押し倒した。
「えっ、ちょっ、山森君。」
「静かに。」
バンッ!
銃声が鳴り響いた。店内は、パニック状態に陥った。
「やばいな、これは。」
「どうしたの?」
「とにかく、外に出たいけど出れないだろうし。」
俺は、店の出入り口を見ると覆面を被った不審者が二人立っている。
「外には出られないか。」
「どうするの?」
「白岩はここに居てくれ。」
「山森君は?」
「犯人を捕まえてくる。」
「でも、それじゃ山森君が!」
「大丈夫だ。犯人は三人組か五人組のどっちかのはずだから。」
「駄目だって。」
「ごめん、時間が無いんだ。」
俺は、白岩の忠告を無視して走って、店の出入り口の二人の男の後ろに回り込み首筋に、手刀で気絶させると、そのままレジに居る男に足払いをかけて、後ろから抑え込む。
「直ぐに警察に連絡して!」
俺は、声をあげて店員に指示する。すると、店内の客の一人が銃を俺に向けると、発砲した。俺は、ギリギリのところで避けるが右腕に銃弾を受ける。
「動くな!動けば、う、う、撃つぞ!」
男は、震える手で拳銃を握っている。俺は、ゆっくりと近付いていく。右腕からは、血がポタポタと滴り落ちている。
「動くな!って言っただろう。撃つぞ!止まれ、止まらないと撃つぞ!」
俺は、男の懐に潜り込み、左拳を男の腹に食らわせて、前屈みになったところに踵落としを食らわせる。
「おい、そこのガキ!動くなよ。動けば、この女の命は無いぞ!」
俺は、ゆっくりと振り返る。俺の手には何故か拳銃が握られている。俺は、撃鉄を起こして、引き金を引いて、銃弾を発射する。相手ではなく、白岩の足を狙い掠らせると、拳銃を投げ捨てて、走って、白岩を支えると、男に回し蹴りを食らわせる。
「白岩、大丈夫か?」
「痛いよ。」
「ごめん。」
「でも、ありがとね。」
「立てる?」
「おんぶして。」
「おい。」
「良いでしょ。」
「分かったよ。」
白岩は、俺の背中に乗る。その後警察が来て五人組の犯人は逮捕された。
そして、最後に起きた大変なことは、冬休み直前に起きていた。
俺は、家でテレビを見ていると、指名手配されている男が川越市内に潜伏している可能性が高いとのニュースがやっていた。俺は、いつも通りの時間に学校に行くと、クラスの皆がニュースでやっていた話をしている。SHRの時間になると担任からは、ニュースでやっていた話をされた。
それから、数日が過ぎて、白岩涼子が学校に来なくなった。その時学校に一通の電話が掛かってきた。内容は秘密ということで明らかにされなかったが、そこは、一応元生徒会会長ということで、校長から詳しい話を聞くことに成功した。俺は、白岩家に行くとちょうど白岩のお父さんが出てきていた。
「あのこれからどちらに?」
「涼子のところに。」
「俺も連れていって下さい!」
「しかし。」
「お願いします。犯人が、簡単に白岩を離す可能性は少ないと思います。」
「………。」
「お願いします。」
「分かった。乗るといい。」
「ありがとうございます。」
俺は、車に乗り込むと直ぐに出発した。しばらくして、車はある場所で停まった。
「ここですか?」
「ああ。」
そこは、高いビルだった。
「ここの最上階だ。」
「あの、おじさんは、ここで待っていて下さい。」
「えっ、君はいきなり何を言ってるんだ?」
「ここから先は危険です。」
「しかし、涼子が!」
「すいません。おじさん。」
ドスッ
俺は、白岩のお父さんの腹にパンチを食らわせて気絶させる。
「ごめんなさい。後は、俺に任せて下さい。」
俺は、そのままビルの最上階まで走っていき、扉を蹴破る。
「おや、君は誰だい?この娘の親じゃないよなぁ。一体君は何者だい?」
「俺は、その娘の彼氏だ。」
俺は、嘘をつく。
「なるほどね。彼氏か。」
「白岩を離せ。」
「それは出来ない話だね。でも、身代金が有れば離してもいいよ。」
「そうかよ。ほれ、約束の身代金だよ。」
俺は、身代金の入ったアタッシュケースを放り投げて、男の懐に潜り込む。
「お前は、一体何者だ!」
「知らないのかい?私は、指名手配の犯人だよ。」
「そうか。別に興味ない。」
「酷いな、君から聞いといて、それで君は何処の誰だ?」
「生憎悪党共に名乗る名前は持ち合わせていないんでね。」
「そうか。まあいいや。君は、ここで死ぬんだから。」
男は、右手の指の間に三本のナイフを持ち切りかかる。それを俺は、三本のナイフを横から右手刀で刃の付け根からへし折る。男は、顔を歪ませて、俺は、男の顔に
「お前が、皆の幸せを奪うと言うなら、俺が、お前のその生き方をぶち壊す!」
拳を叩き込む。男は壁まで飛んで意識を失う。その後警察が来て指名手配の男は逮捕された。俺は、白岩をお姫様抱っこで一階まで降りていく。降りていくと、白岩のお父さんが呆れた顔で待っていた。その後白岩のお父さんから、説教され、親父からも説教され、莉沙姉からも説教され、何故か妹の結香にまで説教された。そして、学校では、担任の玲ちゃんから説教された。
まあ、あの日の後に本当に大変なことがあって、俺は怪我をしまくっていた。一言言わせてもらえば、不幸だ。としか言いようがない。いや、本当にあの日の後は大変だった。とにかく、これでなんとか終わりかな。ありがとな、最後まで聞いてくれて。それじゃまたいつか会おうな。
それから月日が過ぎて────
「健一入るよ。」
「おう。」
俺の名前は、山森健一。山森財閥の御曹司だ。現在は、親父の後を継ぎ山森財閥グループ総帥として、忙しい日々を送っている。あれから何年も経ち俺は、恋人であった。白岩涼子と結婚し三人の子供に恵まれている。そして、今涼子のお腹の中には、四人目の子供を授かっている。俺の机の上のパソコンのデスクトップには、
『イママデニオキテイタイチレンノジケンノハンニンハ、ワタシノスイソクドウリナラ、ヨツヤザイバツガカンヨシテイルトワタシハカンガエテイル。シカシコレハアクマデモワタシノスイソクニスギナイ。モシコレガホントウナラ、ヨツヤザイバツグループソウスイニクワシイハナシヲキクシカナイ。送信元S.T』
とメールが送られている。送信元は、漣劔だ。
過去series遂に完結しました。これからは、大人になった山森健一が活躍していく物を書いていきます。
それでは、次回作で。