フラグの立たない勇者様2
だってさ、期待すんじゃん。
エルフの血を引く人にさ、ごくたまにハイエルフって言う外見が年を取らない子が生まれるって聞いたらさ
リアル幼女に手を出すとか考えただけで罪悪感いっぱいなボクでも、合法ロリなら丁度いいカンジの背徳感でアリじゃね?とかさ、ちょっとくらい考えたりするじゃん。
幼い外見に似合わない超絶技巧で翻弄されながらの「おにいちゃんのえっち!」とか、「もうこんなにしてるの?へんたい」とか言葉責めされつつ男の子の大切なものをあげちゃったりとか妄想すんじゃん?
現在ハイエルフの言葉責めはありがたく頂戴中なんだけどさ、どっちかってとこれ叱責とか罵倒とか言うヤツじゃね?
しかも結構ガチめのやつ。
俺、ハイエルフたんにハイパー土下座タイム。
しょっぱなから手を握って「貴女に合うために異世界からやってきました…」って言っただけなんだけどさ。イタリア人ならあいさつ程度の冗談だよね?
でもアレだよね。
あんよで頭ぐりぐりするとかさ、上級者向けすぎる気がすんだよね
俺初めてだからやさしくして欲しいのに・・・
とか考える余裕もすでになく、後頭部摩擦でハゲそうなくらいぐりぐりされて超いてえ熱い毛根が死ぬ
「そもそもな、ワシらが年を取らんのはな・・・」
ハイエルフの代表、緑の髪に緑の瞳のエルヤ様が、小さくて可愛らしいお御足で俺の頭を踏みつけながら、無知な俺に懇切丁寧に一般常識を教えてくださっています。
代表はハイエルフの中で一番若い人がなるそうです。見た目は10才。御年672才。
お若い方らしく、少々潔癖すぎるところがおありだとか。
そう言うことは事前に聞かせて頂きたかったよ案内兼護衛のダークエルフさん(巨乳)
とにかくハイエルフの方々に不埒な行為に誘うような言葉をかけるのは、とてもとても失礼に当たるのだそうです。そらもう次の瞬間首をはねられても当然なレベル。
賢く気高く聡明で美しく不老不死なハイエルフ様は、個体として完成しているため生殖する必要がないので成体することがないのだそうです。
そして全てのエルフの子であり究極体とも言えるハイエルフ様を侮辱すると言うことは、エルフの血を引く者たちすべてへの侮辱であり、命を以てすら償いきれない重い罪だそうです。
そして、愚かしくも無知から罪を犯したクズ虫以下の存在の、万死に値するその罪を、ハイエルフの長であるエルヤ様御自らその愛を持って罰し許しを与え教え導きごめんなさいごめんなさいもうしません勘弁してください本当にごめんなさいこれ以上は毛根どころか本体が死ぬマジ本当申し訳ございませんでした
不眠不休の飲まず食わずで三日間。
幼く儚く美しいハイエルフは、すでにちょっぴりライトめの地獄の拷問吏にしか見えない。
意識を手放したのは何回目か、今回は手足を縛られて川に落とされ目が覚めた。
前回水中で目覚めたときはマジシャンもびっくりな早さで陸上したから、今回は足には石板がくくられてる。流されないけど超沈むね!
必死に草のつるを解いてようやく岩に手を掛けると、迎えるのは小さな足。
その体躯から想像できないほどの重量だ。手の甲からみしりと嫌な音がする。
「品も知識もなければ体力もないとは、お主本当に勇者かえ?人間かも怪しいのぉ。猿以下の頭しか持っておらぬ。いっそ哀れじゃ」
それと心底軽蔑しきった氷の目。
〈勇者は世界を巡る
平和を願う人の祈りを受けて
その力はか弱き者がため
人を竜を妖魔を友に
世界に安定をもたらすため〉
でも世界超平和だし。それって叙事詩とかいう伝説レベルの話だと思うんだよね。
お前も伝説の勇者だって?俺のお飾り具合ナメんなよ。
一般人より圧倒的に俺のがか弱いし、その辺の子供にだって全力で負ける。
お前とりあえず一応勇者っぽいからお供連れて世界中巡るのが様式美だよね☆とかさ、そういうお役所仕事って言うの?形骸的って言うんだっけ。止めた方がいいよね。
世界はもともと安定してるし、俺の心の安定を犠牲にしても良くも悪くもならないと思うよ?
でもボクの意思で、やーめた☆って訳にも行かないんだよね
偉い人に「じゃあ勇者やめるの?」って言われたら黙るよね。
だって俺圧倒的弱者だからまともに就職先見つかりそうにもないし
衣食住を確保するため、とりあえず全力で長いものに巻かれてる現在。
でもね、そこの神様。言わせてくれ。
「迂闊なことしたら死ぬような目に合うって教えとけよ!」
「ハイエルフを口説いたらしいな?死なずに済んだとは驚きだ」
エルフの里から神王国へと帰ってすぐ、「冒険の報告」をするのも様式美。
そこでの俺のささやかな抗議を、あいつ鼻で笑いやがった。
呑気に八つ橋を食ってんじゃねーよニッキくせえんだよ!
「大図書館の利用許可を出しただろう」
「鍵は渡した勝手に調べろってロープレかよ」
「前の勇者も向上心がない奴から死んでいった」
「それを鍵を寄越す時に言え!」
ちなみに八つ橋はポケットに入ってた、お土産に配りやすくOLさんに人気の個包装タイプ。
それをリナちゃん、じゃなくて、女王陛下に献上したらいたくお気に召されたらしい。
そこで終了なら、陛下も異国の味を堪能されて満足。
俺も満足。めでたしめでたしだった。
それなのに無駄にイケメンで愛妻家のイケメン様が色々アレをアレして量産できるようにしやがって俺の手柄総取り。
イケメンは神様なので食事は必要ない。陛下のためらしいよ!
やること成すことイケメンだよイケメン様はよ!
これだからイケメンは!爆発してアフロになればいいのに!
キリリとした見かけによらずマイペースな陛下は、俺とイケメンの言葉のキャッチボール(死球)の合間に、あんこと餅のやわらかさについて淡々と、しかし熱く語ってはイケメンに口をふさがれていた。八つ橋で。
・・・・・・空気が甘ったるい。
濃茶が・・・彼女が欲しい・・・
・・・クソっ!忌々しいリア充共め!諦めるものか!!!
だがフラグがある限り萌えもまたある・・・俺には見える!再び萌える娘っ子が目の前に現れることを・・・!
我こそは異世界召喚系勇者!余すことなくフラグを立ててくれるわ!
「リナ、あーんして」
ぐふっ!
勢いで書いたその2