"性交"
まだ顔を鷲掴みにされただけなのに、想像だけで脳が壊れてしまいそうだった
今日も授業は、出欠を取った後に抜けて居る
体育倉庫は良い
煙草も吸えるし、君とじゃれる事だって出来る
ただ、一般的な交わり方とは相当違うやり方では有ったが
「お前これ、本当好きだよな」
「───早くして」
会話は淡々として居るが、実際には二人とも躰が熱くなって居る
眼を閉じて待つ
掴まれた僕の頭が、したたかに壁に打ち付けられた
頭の中で、パステル色の絵の具が幾つも弾け飛ぶ
口から舌が真っ直ぐに吐き出され、唾液が口の端から溢れ落ちる
僕の視界は明確に君の手のひらと、指の隙間から除く体育倉庫を知覚して居る筈だったが、その反面、あらゆるものに対して焦点が合って居なかった
眼を細め、悦びに躰を引き攣らせる
視界が仰け反り、手脚が小刻みに震えた
息を深く、吐く
掴まれたままの頭を無理矢理引き寄せられるや否や、改めて後頭部が壁に叩き付けられた
小娘みたいな嬌声が小さく響く
それが自分の声なのだと気付いた時、顔が羞恥で熱病のように熱くなった
君が、僕を掴み直す
手の付け根が僕の眉間に当たる
これは『死んじゃうやつ』だった
「………あっ、あはっ……」
「やめっ………」
頭蓋骨の内側で、夜空を埋め尽くす花火みたいに意識が弾け飛ぶ
眼球が一瞬だけ真上を指したあと、激しい痛みと共にもとの位置へ帰って来る
四肢はおろか心身の総てに力が入らず、僕はぐったりと壁に躰を擦り付けながら床に崩れる
顔に、窓からの光が差す
きらきらして居るのが陽射しなのか幻なのか、僕には区別が付かなかった




