第八話「罪と罰」
1
王宮の地下牢。
俺は鎖に繋がれていた。
「味方殺し」の罪で——
「立花......」
シェリルが面会に来た。
彼女は泣いていた。
「助けたかったの......でも、王は......」
「いい。俺が悪い」
実際、俺が味方を殺した。
タイガを助けるために、命令を無視して——
結果、味方を殺した。
「あの竜騎士は......?」
「......重傷。でも、生きてる」
「そうか......」
せめて、殺してはいない。
だが、罪は罪だ。
「処刑は、明日」
シェリルの声が震える。
「......そうか」
「嫌よ!あなたを失いたくない!」
「シェリル......」
俺は彼女の手を握る——握ろうとするが、鎖に阻まれる。
「すまない。守ると言ったのに——」
「違うの!あなたは何も悪くない!」
だが、事実は変わらない。
明日、俺は処刑される。
2
その夜、牢の扉が開いた。
エリスとドリックが入ってくる。
「逃げるぞ」
「え?」
「お前を逃がす。303も準備してある」
「待て、それは——」
「黙れ!」
ドリックが鎖を外す。
「お前が死んだら、誰が王国を守るんだ?お前が育てた竜騎士たちは、まだ未熟だ」
「でも——」
「いいから来い!」
俺は連れ出される。
竜舎で、303が待っていた。
「行け。北へ——魔族の拠点へ行け」
エリスが言う。
「魔族の?」
「ガルスを連れ戻せ。彼の家族を救え。それができれば——お前の罪も晴れる」
「一人で、魔族の本拠地に......?」
「お前ならできる」
ドリックが背中を押す。
「行け!」
俺は303に乗り、夜空へ飛び立った。
3
北方の古城。
魔族の本拠地。
俺は潜入した。
レーダを使い、警戒網を避けて——
地下牢を発見。
そこには、ガルスの家族——妻と子供二人——が囚われていた。
「誰だ!?」
「静かに。助けに来た」
「エコー......!?」
ガルスの妻が驚愕する。
「なぜ......あなた、ガルスを......」
「彼を責められない。俺も、同じことをしたかもしれない」
鎖を外し、家族を連れ出す——
だが、警報が鳴った。
「侵入者!」
魔族が殺到してくる。
「くそ!」
家族を守りながら、脱出——
303が迎えに来る。
「乗れ!」
家族を303に乗せ、飛翔——
だが、追撃が来る。
20機の魔族戦闘機——
「303、全速離脱!」
加速——だが、家族が三人いる。重い。
速度が出ない——
追いつかれる。
「くそ......!」
その時、後方から援軍が現れた。
竜騎士たちだ。
「エコー!」
「お前たち......!」
「勝手に出撃した!上官の命令は無視だ!」
彼らは俺を信じて、来てくれた。
「ありがとう......!」
「礼はいい!戦え!」
共に戦う。
魔族を撃退し——
家族を連れて、王都へ帰還した。
4
王宮の謁見の間。
王の前に、俺とガルスの家族が立つ。
「エコー。命令を無視し、脱走し——だが、人質を救出した」
王は複雑な表情をしている。
「お前の罪は重い。だが、功績も認めねばならぬ」
「......」
「よって——罪は不問とする」
謁見の間にどよめきが広がる。
「ただし、条件がある」
「条件......?」
「魔族の指揮官——ローゼンベルクを捕らえよ。それができれば、完全に赦免する」
「......わかりました」
俺は頭を下げた。
5
その夜、ガルスが俺のもとへ来た。
「エコー......すまなかった」
彼は土下座した。
「顔を上げろ」
「俺は......お前を殺そうとした......」
「家族のためだろう。わかる」
「でも......」
「いい。もう終わったことだ」
俺は彼を立たせる。
「これからは、共に戦おう」
「......ありがとう」
ガルスは泣いていた。
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次回「最後の告白」




