表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

第七話「裏切りの刻印」

1


レーダ復活から一週間。


だが、王宮内の空気が変わっていた。


「エコー教官を信用していいのか?」


廊下で、竜騎士たちの囁きが聞こえる。


「奴は異世界人だ。魔族と同じ——」


「もしかしたら、スパイかもしれない」


俺は拳を握りしめる。


戦果を上げても、異邦人への不信は消えない。


「気にするな」


タイガが肩を叩く。


「俺たちは知ってる。お前が何をしてきたか」


「......ありがとう」


その時、エリスが血相を変えて駆け込んできた。


「大変!王宮で裏切り者が出た!」


2


作戦室。


エリスが資料を広げる。


「竜騎士の一人——ガルスが、魔族に情報を流していた」


「ガルス......?」


俺は彼を知っている。30代のベテラン竜騎士。訓練でも優秀だった——


「なぜだ?」


「家族を人質に取られていたそうよ。魔族に」


くそ——


「ガルスは今?」


「逃亡した。恐らく魔族の拠点へ——」


「追うぞ」


「待って!」


シェリルが止める。


「今、王宮内で異世界人への不信が高まっているの。もしあなたが単独行動したら——」


「スパイだと疑われる、か」


「......ごめんなさい」


俺は壁を殴った。


「くそ!」


3


その夜、俺は一人で考え込んでいた。


守りたい。


この世界を、シェリルを、仲間たちを——


だが、不信の目。


どれだけ戦っても、異邦人は異邦人。


「立花」


ドリックが酒瓶を持ってきた。


「飲め。考えすぎだ」


「......ありがとう」


一口飲む。強い酒だ。


「なあ、ドリック。俺は——」


「信じてるぜ」


彼は即答した。


「お前がどれだけ頑張ってきたか、俺は見てた。背が低いだけでドワーフ扱いされる俺には、わかる」


「......」


「異邦人だろうが、なんだろうが——お前は仲間だ」


俺は、初めて泣いた。


この世界に来て、初めて——


「ありがとう......」


4


翌朝、緊急召集がかかった。


「大規模襲撃!数は150!」


150機——今までで最大だ。


そして、先頭に——ガルスの竜がいた。


「ガルス......!」


竜騎士たちが絶句する。


「裏切り者め!」


「全機、迎撃態勢!」


俺は303に跨る。


だが——


「エコー、お前は出るな」


隊長が制止する。


「なぜだ!?」


「王の命令だ。お前への不信が強すぎる——戦場に出れば、味方に撃たれるかもしれない」


「そんな......!」


「すまない」


隊長は出撃していく。


俺は地上で、ただ見ているしかなかった。


5


戦況は悪化していった。


敵の数が多すぎる。


竜騎士たちが次々と撃墜されていく。


「くそ!このままでは——」


シェリルが管制室で必死に指示を出している。


だが、劣勢は覆らない。


そして——


タイガの竜が被弾した。


「タイガ!」


彼の竜が墜落していく。


俺は我慢できなかった。


「303、行くぞ!」


「待って!命令違反よ!」


シェリルの制止を無視して、出撃。


全速でタイガのもとへ——


墜落寸前の彼を303が掴み、地上へ降ろす。


「エコー......バカ野郎......命令違反だぞ......」


「知ったことか」


そして、再び戦場へ。


だが——


「エコー!味方が攻撃してくる!」


シェリルの警告。


竜騎士の一人が、俺に向けて魔法を放った。


「異世界人め!貴様もスパイか!」


「違う!」


回避するが、他の竜騎士も攻撃してくる。


「魔族と繋がっているんだろう!」


「やめろ!」


混乱の中——


ガルスの竜が突っ込んできた。


「エコー!お前を殺せば、俺の家族は助かる!」


「ガルス......!」


彼の目は狂っていた。


家族のため——そのためなら、何でもする。


わかる。わかるが——


「303、回避!」


ガルスの攻撃を避け——


だが、避けた先に、味方の竜騎士がいた。


「あ——」


303の体当たりが、味方に当たる。


竜騎士が墜落——


「嘘......」


俺は、味方を撃墜してしまった。


---


次回「罪と罰」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ