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三神合身スサノオン  作者: キサガキ


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18/18

獣を超え 人を超え 今こそ見せろ 三神合体(終)

 召喚などさせてたまるものか。

 二体の鬼神の必殺技は、反螺旋状に渦巻く暗闇に炎という名の光を照らす。

 アマテラスはというと、地上でトグロを巻きつつある泥の塊へアマ・テラスを放った。

 皆、本能で理解してるのだ。少しでもダメージを与えなければ。

 もし完全体の黄泉津大神が受肉すれば、神話と同じ結末となると。

 それは超古代文明高天原ムーとアトランティスに起きた悲劇。大陸は沈没し、鳥は空を捨て人は笑顔を無くす。暗黒時代の再現である。


「ちぃぃ。化け物が丈夫過ぎんだろ」

 響樹が毒を吐くのも仕方ない。

 三鬼神の攻撃は薄皮を一枚一枚剥いでいく行為に等しく、ゴールは果てしなく遠い。

 それでも確実に距離をつめていた。


「攻撃終わりかしら?」

 闇からイザナミの声が響く。

 手は尽くした。これ以上の攻撃は、無駄にエネルギーを消費するだけ。

 だがしかし……。

「何いってやがるッッ! ここからが本番に決まってるだろうがぁぁッッ!」

 このタイミングでしか無い。イザナミが黄泉津大神となる一瞬の隙。三鬼神が一つになれるのは、この刹那の時以外無かった。

「みんなの魂ッッ! 俺が預かるッッ!」

「うんっ!」

「はい!」

 ――ジャコン。

 スサノオンのコクピット頭上から、Tの字型のレバーが降りてくる。


 先陣を切り空を飛ぶスサノオンに急激なGがかかり、響樹の意識は激しく揺れる。

 転生以来久々だ。魂は神。龍族そのものでも、器自体今世の人間。

 肉体を襲う衝撃は、想像の遥か先を超えていた。

「うぐっううっ!」

 内出血した白眼から血が滲み、視界は霞む。

 ついにこの時が訪れた。正直来ないで欲しかった。

 当然だ。誰もが皆、笑って暮らせる世界を望む。

「その世界を手に入れる為に俺は俺達は……」

「深呼吸じゃ。お主たちならやれる!」

 腰に帯刀してるムラクモから、リリスの声が脳内に響く。

 コンマ零秒にも満たないが、響樹は気を失っていた。

「わかってるぜッッ! ばばあ。来いッ美亜ッッ!」

「うんッ! あたしは今まで寝てたんだコンディション最高だよッ! お兄ちゃんッ!」

 ツクヨミのボディ中心から縦に分離し、スサノオンの後を追う。

「沙耶さんッ!」

「はい! 響樹くんッ!」

 アマテラスの翼はそのままに、胸部ハッチが開き収納されていた左右の腕パーツと兜がせり出し、スサノオンの頭上を同じ速度で飛ぶ。

 これで準備は整った。

「三・神・合・体ッッッ!」

 三人の使い手の声が重なり、響樹は頭上のレバーを手前にスライドした。


 結界バリアが三鬼神を護る中、スサノオンは蒼い輝きに包まれ足首が真っ直ぐになる。

 ツクヨミは月のように形を変え、赤い光を放ちモーフィング変形すると箱形の足となり蒼い足首を呑み込む。

「行きますッ!」

 沙耶は高まる高揚感で頬を染め、白い翼で背後から抱きしめる。

 スサノオンの腕は折りたたまれ厳つい肩に変わると、その代わりアマテラスに収納されていたゴツイ腕がはまった。額にダイヤ型の装飾が入る兜を手に取り被る。

「三位一体ッ! ゴッド・スサノオンッッッ! ここに光臨す!」

 緑色に瞳を輝かせ、合体は無事完了。

 三体の鬼神は一つとなり、邪悪なる侵略者の前に立ちふさがる。


「くすくす。あの時神話の時代以来かしらね。その姿を見るのは」

 イザナミもまた黄泉津大神との合身が済んでいる。

 トグロを巻く蛇の末端が見えない。それだけ超巨大という事だ。毒蛇を象徴する三角頭の中央に、銀の鎧を纏う美しい女性の上半身があった。

 死を司る女神イザナミだ。

 その姿は先ほどまでとは違い、骨でも皮でもない。

 真白い肌。つり上がった瞳は紅い。

 兜をかぶりそこから蛇で出来た長い髪の毛がウネウネと蠢く。

 口角は耳まで裂けているが、その美しさに陰り無し。


「出し惜しみは無しだ。全力でいくぜ。沙耶ッ!」

「はい! 主様」

 ゴッドスサノオンの背中に合体してるアマテラスから、沙耶の姿が消えた。

「抜刀」

 左右の鞘から引き抜くは、ムラクモとクサナギ。

「思い出させてやるよ、イザナミ。双子の刀の力をよ」

 ムラクモとクサナギが螺旋状に重なり、一本の刀となり真の姿を具現化させる。そいつに斬られるものは、消滅を意味する。その銘は、神殺し・焔のヒノカクヅチ。

「そうそれよ。わたくしが、唯一恐怖する対神対魔兵器」

 イザナミは汗で濡れた掌を見せる。

 鱗で覆われた体はガタガタと震えていた。


 恐いのだ。神であろうと。この宇宙で死ねば虚無となる。転生もなく、魂も生きた証しも思い出も全てが忘却の彼方。

 前回のバトルではオロチの采配により痛み分け。それが無ければイザナミは海底に封じられず、虚無に吞まれていた。だからこそ今世でも彼を信じ、母として姉として恋人として愛した。だが……とイザナミは不安に襲われる。

 それすらも今日この時の為の作戦だったとしたら。

 考えすぎかも知れない。それでもゾクリッと魂は悲しみで震えた。


「ぬっ」

 イザナミの様子が変だ。両者共に合体は終わり、今から神と鬼のアーマゲドンという状況で、心ここにあらず。

 強者としての余裕か。いや先ほど見せた掌の汗はブラフじゃない。

「お兄ちゃん?」

「……ふはははっ。やぁぁてやるぜぇぇッッ!」

 止そう。頭を使うのは、頭突きの時だけでいい。

 響樹は口角をつり上げ、アクセルペダルを強く踏み込んだ。



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