幕間 女神の憎悪が異界の竜に向かう。
本日2話目の更新です。
よろしくどうぞ〜。
《竜産みの女神》へと改造された女神は……真っ白な空間で大きくなった腹を抱えながら、延々と怨みの言葉を紡いでいた。
確かに、あの竜を利用せずに竜を増やせるようになったのは助かった。この力があれば、今後、何があろうともこの世界の竜が絶えることはないだろう。
しかし、それでも美しかった自身の姿を醜い姿にさせられたことには変わりない。
(わたくしはあんなにも……あんなにも完璧な存在でしたのにっ……!)
この女神は、神としての務めをきちんと果たす神ではあったが……そんな女神には、唯一の欠点があった。それは、自身の美しさを何よりも愛していることだった。
女神の務めを果たすべきだとこの身を粉にして世界のために尽くしてきたのには間違いない。だが、それとは別にして自分の美しさが何よりも大事であったし、美しい自分を愛していたからこそ、美しい女神であれと自分を律している部分もあった。
…………色々と難しく言ってしまったが簡単に言って仕舞えば、この女神はナルシストというヤツだったのだ。
そんな女神が最も大切にしていた誇りを、あの竜は貶めた。当然、自分の愛する子供である竜を歪めたことへの怒りもある。
だが、そんなことよりも! 女神はあの異界の竜が女神の美しさを穢したことの方が赦せなかった!
(許さない……ユルサない赦さないゆるさない……! あの竜を絶対に……! 美しいわたくしをっ……! こんなにも醜く変えてっ……! ユルサナイわっ……!)
女神は考える。策を巡らせる。
自身をこんな目に遭わせた竜に、復讐してやるために……。
それがどんな結末を迎えることになるかなんて、一切考えずに。
女神は自分のために、異界の竜への復讐を誓うのだった──……。




