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正規イベント・芸術の月に、銀の乙女は歌う。


【お礼】

誤字脱字報告ありがとうございます!

気をつけていても、いつまでもなくならない誤字脱字……っ!

いつも教えてくださって、本当に有難い限りです! 今後も教えてくださると幸いです。どうぞよろしくお願いします!


 




 春から王太子の側近候補に加わった子爵令息──大商会ドルッドの次男コド・ドルッドに頼んで特別舞台の公演チケットを手に入れた。



 イベント・《芸術の月に、銀の乙女は歌う》──。

 このイベントは……芸術の月という一ヶ月単位で開かれる芸術祭の締め括りとして開かれる夜会で、諸事情から怪我を負った所為で夜会で舞を披露できなくなったとある旅一座の代わりに、主人公フィオナが声楽──美しい歌を披露する、というイベントだ。

 この際、招待を受けて夜会に参加していた隣国の大使が彼女の容姿を見て〝もしや……〟とある可能性に思い至る。彼がフィオナの話を国に持ち帰ることで、主人公が隣国王族の庶子で分かる──という展開に繋がる。つまり、このイベントはハッピーエンドに至るために重要なポイントになっているのだ。

 そのためにも攻略対象とのデートに……この公演に絶対に行かなきゃいけない。

 芸術の月期間中、フィオナは攻略対象──王太子の身の安全上、人の出入りが多い王都に出ることは危険だからと選択肢から除外されている。乙女ゲームなのに無駄に絶対に凝っていた──を選んでデートに行くことになる。このデートの最後に、特設舞台の公演を観るのだ。その際出演したのがディアナ一座。その時、舞台上から見えたフィオナの容姿に興味を抱いた一座に所属する三姉妹の末っ子──アーヤが声をかけてくる。彼女と友達になることで、他の姉達とも顔見知りとなり……偶然にも夜会で再会し、その縁で代理を務めることになるのだ。



 だが──……。



(どういう……こと?)


 公演が終わったのに、アーヤから声がかけられることはなかった。

 それどころか……後ろ姿しか見えなかったが、赤毛の女性が裏口に入って行ったのが、見えた気がしたほどで。


(まさか……ケイトリン!?)


 そこで〝彼女〟は、ハッとする。

 他のイベントは基本的に被らないようになっているが。この芸術の月イベントに限り、表裏一体になっていてことを……今更ながらに思い出した。


 《赤の乙女によって、芸術の月は華やぐ》──それがケイトリンsideのイベント名だった。

 芸術の月期間中、ケイトリン(プレイヤー)は王都を散策し……腕はあるけれど、燻っている芸術家達に目をつけていく。彼らの中から自分好みの芸術家を選び、後援者パトロンとして支援していくことになる。

 ケイトリン(プレイヤー)はパトロンとして彼らを手助け──選択肢を選んでどんな作品にするか、傾向を決めたり。リズム系のミニゲーム要素があったりする──して、更に技術を向上させる。そして、芸術の月の締め括りとして開かれる夜会で支援していた芸術家達の作品や演技を披露させて……ケイトリン(プレイヤー)が選んだ芸術家が高評価を得るとハッピーエンドに近づき。低い評価を得るとバッドエンドに近づく──……というイベント内容になっていた。

 このディアナ一座も、ケイトリンが選べる芸術家だった。というか、この一座が一番高評価を得れる選択肢であった。

 一座のパトロンとなったケイトリンは、一座の祖国の音楽も大事だが……敢えてこの国の踊りの要素も入れた方が王侯貴族の心象が良くなるとアドバイスして、ディアナ一座は新たな踊りを作り出す。

 その新しい舞はこの国の王侯貴族達の心を鷲掴みにし……ケイトリンの提案によって素晴らしい芸術が生み出されたと、彼女の評価を高めることになる。


(…………やっぱり……悪役令嬢も転生者なの……?)


 殆ど顔を出さない学園生活に、悪役令嬢らしからぬ対応。表の主人公ヒロインであるフィオナのイベントを潰すような行動。

 本人に確認した訳ではないが、どう考えてもそうとしか思えない。

 このままでは、フィオナが、バッドエンドになってしまう……。

 それだけは、駄目なのだ。



 主人公は、幸せにならなくてはいけないのだから──!



(っ……! 絶対、ハッピーエンドに……!)



 〝彼女〟は悔しさに歯を噛み締めながら、ハッピーエンドへの道を模索し続けた。





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