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幕間 伏線は竜達が気づかぬところで。


【お礼】

またもや誤字脱字ありがとうございます。

助かりました!

もし気が向きましたら、今後も教えてくださると幸いです。


では〜今後ともよろしくどうぞ(`・∀・´)ノ


 




 生まれた時から、ずっとこの里の中だけで暮らしてきた。



 里の外、外の世界には恐い人が沢山いるらしい。

 襲いかかってきて、殺そうとしてくるのだと大人達は言う。だから、里の外には出てはいけないのだとそう教わってきた。実際に、外に出ることも許されなかった。

 でも、この狭い里の中はつまらなかった。

 変わり映えのない毎日。朝起きてご飯を食べて。家の手伝いをして、里を守るための戦い方を学んで。夜ご飯を食べて寝る。そんな、呆れるぐらい変わらないことを繰り返す毎日。

 そんな日々を送り続ければ飽きてしまう。特に好奇心旺盛で自由気ままな性格である猫獣人であれば、余計にこの狭い世界は窮屈で仕方なかった。

 だから、マナトは外の世界を見てみたかった。この狭い世界から自由になりたかった。

 きっと、外の世界にはこの里じゃ体験できないようなことが沢山あるはず。大変なことも沢山あるだろうけれど、つまらないだけの里での暮らしよりは遥かにマシなはずだ。


 そう思う気持ちがより強くなったのは……外からの来訪者を見た時。

 彼らの姿を見て、マナトはより強く、外への興味を強めた。



(あれが……外から来たヒト達……)


 関わってはいけないと部屋に閉じ込められた所為で直接言葉を交わすことはできなかったけれど。窓から見た彼らの姿に、マナトは目を奪われていた。

 綺麗な衣装を纏った優雅な男女のエルフに、里の兵士よりも強そうな防具に身を包んだ獣人達。

 種族的に弱いとされている兎獣人ですら、その足取りから見るに強そうに思えた。実際に、彼らは強いのだろう。

 容易く、マナトの視線に気付いて。手を振ってきた。


「っ……!」


 慌てて隠れたけれど、もう遅い。

 マナトはドキドキと強く響く心臓の音を感じながら、好奇心を抑えきれずに笑ってしまう。


(凄い……凄い凄い凄い! あんなに遠くに離れてたのに僕に気付いてた! 外の世界にはあんなに凄いヒト達がいるんだ! いいな……いいなぁ! 僕も外の世界で、暮らしてみたい! こんな鳥籠みたいな場所から、出ていきたい!)


 …………彼の運命を決定づけたのはきっと、この、停滞した里での暮らしだったのだろう。

 この里で、優しく守られて育てられてきたから。彼は外の世界の〝()()()()()()()〟を理解できていなかった。

 それに……やってはいけないと言われれば、逆にやりたくなるのが、心理というもの。


(絶対……! 外の世界に行ってみせる……!)



 無邪気な猫の決断によって、少し先で起こるイベントが進み始める──……。





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