幕間 共依存する淫魔と堕天使
「エイス! 竜様のお手伝いを、最後まですることになったですよ!」
待ってる時間が勿体ないからと、いつものようにエルフらの訓練を見ていたエイスは……隔離から帰ってきたアリスの言葉に、素直に頷いた。
「分かった。取り敢えずは今までみたいに関連を見てやればいいか?」
「はいです! 今のとこはそんな感じで! また違うことをして欲しい時は言うのですよ」
「了解」
「…………えっと……会話に割り込んですみません。エイスさん?」
恐る恐るといった様子で、この世界の竜が話しかけてくる。
エイスは自分の世界の、自分が知る竜と違ってかなり大人しいな……と思いながらも、にっこりと綺麗な笑顔を浮かべた。
「なんでしょうか、竜様」
「あ、その……アリスさんからの協力の意思はお聞きしましたが。エイスさんも協力してくれるってことでいいのかな、と。一応本人に確認しておこうかと」
「それはご丁寧に。ですが、アリスが貴方様に協力すると決めたのでしょう? なら俺が貴方様に協力するも同義ですよ」
「え。同義なんですか?」
「えぇ、同義ですよ」
だって、エイスにとってアリスは絶対で。アリスにとってもエイスは絶対なのだから。
彼女は自分で。自分は彼女だ。
「俺とアリスは二人で一つですから。アリスの決定が俺の決定です。なので何も問題ありません」
自分達は切っても切れない絶対の絆で繋がっているのだから。
そう告げる淫魔に……最後の竜は余計なことを聞いたなと、少しだけ後悔するのだった。