狂気の絶滅戦争
ついに始まった絶滅戦争。狂気に飲まれたドイツ第三帝国は他の国々をいともたやすく破壊していく。破竹の勢いで世界を黒く暗く飲み込ませていく彼の前にある人物が現れ…?
1940年5月24日、ドイツ第三帝国はオーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカ合衆国に宣戦布告をし、民主主義国達との決戦を開始した。この戦争に勝てばドイツが更に拡大する。亡きヒトラー総統閣下の遺言をかみしめ、ドイツ軍に加えドイツ国民達も一丸となって戦争に取り組んだ。
戦争が開始してからすぐにアメリカ合衆国を盟主とした新陣営である「北アメリカ連邦」ができあがり、オーストラリア、並びにニュージーランドがこれに加盟。対する枢軸国はドイツ1国のみであり、1対3の構図ができあがった。が、そんなものはドイツにとって何の障害にもならない。何しろ北アメリカ連邦構成国の工場を全て加味したとしてもドイツ第三帝国の3分の1程しかないのだ。これでどうやって戦えばいいというのだ。
そんな簡単すぎる事実を突きつけるかのように、6月3日にドイツ軍がニュージーランド北部に強襲上陸を行い、ニュージーランド北部がドイツの物になった。加えて6月15日にはオーストラリアの北部にドイツ軍が強襲上陸を完遂し、橋頭堡を完成させた。この成功報告を聞いた私はすぐさまオーストラリアに歩兵24個師団24万人を、ニュージーランドに歩兵16個師団16万人を海上輸送し、両国の敗北は確実なものになった。
そして7月1日の早朝にニュージーランドが降伏。そしてそのすぐ後にオーストラリアも降伏する…ハズだったのだが、オーストラリアになんと米軍機甲師団が到着しており、歩兵師団しかオーストラリアに向かわせていなかったドイツ軍は戦線が膠着してしまった。そのためオーストラリアに輸送した歩兵師団24個師団の内10個師団10万人だけをドイツ領東インドの付近にある港まで撤退させ、今度は米軍機甲師団が展開しているオーストラリア中央部に再び強襲上陸を決行。米軍の背中を突いた。この作戦は大成功であり、背後から攻撃されることを想定していなかった米軍はこの攻撃に対応できす、補給線を絶たれて殲滅された。米軍の支援を受けられなくなったオーストラリアは1941年1月24日に降伏した。そしてアメリカ本土では地獄の攻防が行われていた。
というのも、アメリカに独立保証をかけられているメキシコ、ホンジュラスやその付近にある国々がまとめて北アメリカ連邦に加盟してしまったため、こちらが合計93個師団93万人で猛攻撃をかけているのにもかかわらず、戦線が非情に長く膠着してしまっていたのである。加えてこちらは補給線が貧弱であるため93万人もの軍を動かすには補給が足りず、満足に充足が満たせずの攻撃。加えて防衛している北アメリカ連邦もドイツ空軍の爆撃によってこれでもかと工場を破壊され、銃弾一つを作り出すのに数日かかる始末での防衛。お互い満足に充足を満たせないままでの戦闘になり、現場にいた兵士は拳と拳で殴り合うような、もはや何世代前の戦争方法か分からないような戦闘を繰り広げていた。
これ以上戦闘が長引けば戦後のドイツの復興が難しくなる。そう考えた私はドイツ空軍全軍をアメリカ戦線に送ることを決意。おびただしい数の飛行機がドイツから飛び立っていった。そしてアメリカ大陸に到着したドイツ空軍は、軍人民間人を問わずに片っ端から航空支援と爆撃を行い、アメリカは火の海に包まれた。
凄まじい空からの攻撃に士気を破壊されたアメリカ軍は戦意を喪失し発狂。その狂気は国民達に次々と伝染していき、ワシントンD、Cが陥落した1941年1月27日、アメリカ合衆国は何と共産化し、国名をアメリカ共産主義諸州連邦に変更しなおもドイツ第三帝国と戦闘することを選んだ。仮にその国名をアメリカ白銀軍団に変更していたなら一考の余地はあった。しかし、よりによって共産化するとは…この戦争を終わらせよう。
各地で暴動が発生している中、ドイツ軍は必要最小限の部隊運用にしたことによって補給が改善したドイツ軍を用いてアメリカ共産主義諸州連邦に総攻撃を開始。この攻撃どころではないアメリカ軍は適切な対応ができずにただただ蹂躙されていき、戦争が始まってからほぼ1年が経過した1941年5月6日にアメリカ共産主義諸州連邦並びに北アメリカ連邦は全面降伏した。講和会議ではもちろんドイツしか戦争に関与していなかったためドイツが全ての敗戦国の運命を決めることができ、私は北アメリカ連邦に所属していた全ての国を全土併合。すでに工場数は世界でトップに立っていたため、アメリカを傀儡国にはしなかった。これで目的の一つは達成した。そう思った私は少し休んでから対ソ連戦に備えようとした。しかし…
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「なるほど、現在我が国は元アルバニア領をギリシャ国に渡したことによってそれに激怒したイタリアがギリシャ国に宣戦布告。ギリシャ国の宗主国である我が国にも宣戦布告してきたと。そしてイタリアの保有師団は200個師団200万人以上。対するこちらは100にも満たない、と」
あまりの出来事に理解が追いつかなかった。イタリアとは不可侵条約こそ結ばなかったものの、有効的な関係が結べていると信じていた。それをまさか裏切られるとは思っていなかった。
「どうしますか、このままでは我が国は崩壊します」
部下が不安そうに私に尋ねる。私の答えは決まっていた。
「別に困った話ではない。裏切ったのであれば滅ぼすのみ。訓練が完了した傀儡国から徴兵した歩兵師団が72個師団ある。そいつらに「例の薬」を投与して戦線に送り込め。数日で決着が付くだろう」
青ざめた顔をした側近に私はそう伝える。いつか使おうと思っていた薬があった。それは投与した人間の組織を尋常じゃなく増加させる薬であり、それを投与された人間は身体能力が常人の1000倍になる劇薬であった。欠点があるとすれば、投与した人間は体組織の成長について行けず、1ヶ月が経過すると全身が灰になって消えてしまう点なのだが、逆に今回は都合がいい。嵐を起こそう。血の嵐を。
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1941年6月15日にイタリアがギリシャ国に宣戦布告し、同日にドイツ第三帝国も参戦した。戦闘は始めイタリア軍の連戦連勝であった。なにせ接敵する敵兵達は皆青白い顔をしており、歩兵師団でもこちらの損害は全く無い状態で進軍できる有様であったのだ。そのため最初の数日はイタリア軍による攻撃にドイツ軍はなすすべなく蹂躙され、元スイス領、元オーストリア領をイタリアに奪還され、一部の部隊はドイツ領土にも侵入した。しかし、戦争開始から1週間後、イタリア軍は突如として敗走し続けることとなる。
イタリア軍は何が起きているのかわからなかった。それもそのはず。だってつい先日に射殺したはずのドイツ兵が目にも留まらない速度で仲間を連れ去っていたのだから。そのドイツ兵もこちらの銃撃にひるむ様子もなく、いやそもそも銃撃されて被弾しているのに痛むそぶりすら見せないこと自体がおかしいのだが、こちらの10倍もの速度で動いているのだ。現地で指揮を執っていたメッセ将軍はその時初めてドイツが何をしたのかを察した。メッセ将軍の察しの良さは尋常ではなかった。しかし、その気付きが仮にイタリア領土を越える前であれば、勝者は変わっていたのだが…
「全軍に通達する!急ぎスイス領まで撤退せよ!どの将軍かは知らないが、あの国は狂っている!奴ら、自国軍の兵士を生物兵器に変えたんだ!大至急イタリア本国に連絡を入れろ!そして前々から議論していた日本との同盟を締結し、「例の薬は完成されていた」と連絡を入れるんだ!このままでは、世界はドイツによって破壊されてしm」
連絡を聞いていたイタリア軍の通信兵は、言われたとおりに連絡を入れながら、途中から連絡が聞こえなくなったメッセ将軍にその後の連絡を聞こうとした。が、クチャクチャとまるで近くで何かを食べているような音を聞いた瞬間、通信兵は全てを察し、聞いた情報を部隊に伝えた。メッセ将軍からの連絡を聞いたイタリア軍は急いで撤退しようとしたが、ドイツ領からは全身に爆弾を巻き付けた化け物たちが、イタリア領からは殲滅したはずのドイツ機甲師団がこちらに向かって突撃してきていた。イタリア攻撃部隊はドイツ軍の罠にはまり、平野部分までおびき出されてしまっていたのだ。
そのため貧弱な補給線をドイツ機甲師団に突破され、包囲されてしまったのである。包囲した師団数はおよそ50個師団50万人ほどであり、これを殲滅されたイタリアはこの状況を覆すことができる兵力は存在しておらず、メッセ将軍から連絡を受け日本に向かおうとムッソリーニが搭乗していた飛行機は何と日本軍に迎撃されたことを知ったイタリア国民は絶望、発狂し、無政府主義を掲げる反乱軍、民主主義を掲げる反乱軍、共産主義を掲げる反乱軍と、四つ巴のイタリア内戦が勃発した。これにより背後を突かれる形となったイタリアは戦争が開始されてからちょうど1ヶ月後の1941年7月15日の早朝に全面降伏した。
講和会議にて、私はイタリアの9割の領土の併合を決定し、内戦を勝ち抜いたわずかなイタリア国民、イタリア陸軍に例の薬を投与。イタリアの歴史の古い建築物を破壊させ、そこに軍需工場、民需工場をバランス良く建設させた。このころから奪える民需工場が少なくなってきており、新たにドイツ側で民需工場を建てないと軍需工場が要求する資源をまかなえなくなってきていたのである。1週間でことごとく破壊され尽くしたイタリアは民需、軍需工場で埋め尽くされた国へと変貌し、イタリア海軍を摂取、対日本戦に備えるためにローマに大イタリア国を建国した。扱いは傀儡国である。
講和会議の後、ローマへ向かったイタリア海軍の提督はあまりのローマの破壊具合に絶望したという。どうやら私が設立した「武装航空親衛隊」がやんちゃしすぎたようで、ありとあらゆる建物を片っ端から破壊し尽くしてしまったようであった。まぁ私としてはどうでもいい。絶望して自殺したのであればイタリア海軍はデーニッツさんとレーダーさんに渡せばいい。あの方々から「ドイツ艦にフランス艦、アメリカ艦ときて次はイタリア艦隊の面倒を見ろと。君は私らに一体どれほどの言語を扱わそうとしているのかね?」って怒られそうだけど。
ようやっと騒ぎが収まった。次はソ連戦だ。増強に増強を重ねたドイツ機甲師団の恐ろしさ、思い知らせてやる。そう考えマンシュタインさんを呼ぼうとした、その時ちょうどマンシュタインさんが来てくれた。この人もグデーリアンさんもロンメルさんも。皆私のことを考えてくれ、助言してくれてきた。総統閣下が亡くなった時は取り乱しすぎて聞く耳を持たなかったけど、ちょっと今後のソ連戦、日本戦について助言してもらおう。そう思ったときであった。
※この物語は架空戦記です。現実の世界とは一切の関係もありません。
どうもです!!今回も小説を読んで頂きありがとうございます!!
間をおかずに連続で投稿しますよ~
ついに始まってしまった絶滅戦争。アメリカ大陸、そしてイタリアを含む地中海、アフリカ大陸のほぼ全てを飲み込み、オーストラリア、ニュージーランドをも併合したことによって大東亜共栄圏のトップである大日本帝国への橋頭堡も確保した主人公。彼の頭の中はどうなってしまっているのか…暴走を通り越して「狂走」している主人公、果たして世界の行く先はどうなっていくのか…次で全てが完結する…!!
(次回が最終話です~ お楽しみに!!)