ショートケーキのイチゴ
むしろ、のっかってるイチゴより。
ありさまを例えるなら
雪原に燈された篝火 王宮に据えられた玉座
衆目を集めるのは いつもあれひとつだけなんて
誰も気づかないのか?
しっかり目にしているはずなのに
そこに在る不遇の宝石の輝きを
身に纏う赤さには曇りがなくとも
陽の目から はずれた者どもが幾多
敷き詰めた下で 黒子へと徹する
石垣を軽んずる愚を 知り尽くしているなら
スポンジに挟まれて その持ち場に殉ずる
イチゴたちの赤さに せめて一瞥を
ありようを讃えるなら
英雄に贈られた勲章 君主に載せられた王冠
頂に御座すのは 常に彼ひとりだけなんて
誰が気にとめるのか?
ぱっくり口にしている今まさに
そこに存る埋もれた果実の味わいを
身に秘める甘さではひけをとらぬまま
切り口に 顔出す者どもが数多
踏みしめた下で 人柱に捧げた
礎を重んじる徳を 忘れずにいるなら
スポンジに挟まれて クリームにまみれる
イチゴたちの甘さに どうか舌鼓を
挟まってるイチゴのほうが、ケーキの味には重要な気が。
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