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わお……予想外です

「ひ……暇だぁぁぁぁぁ!!!!」

「……む? 急にどうしたんだいアリス?」


 ベッドにゴロゴローと転がっていた私が急に叫んだことに驚いたようで、振り向いたセシリアはそれまで読んでいた本をパタンと閉じました。

 どうしたって言われましても……。 暇なものは暇なのです。


「ぜんっぜん依頼が来ないんだけど!? ねぇどうしてかなセシリア!??」

「言われてみれば確かに……。 ちゃんとこの間の蝶は全員どこかに辿り着いたはずなんだけどねぇ……」

「うーん? 何がいけないんだろう?」


 この王都の一角で勢力を拡大しているらしいオークさんのジム人気も相まって、私の異種族通訳者としての知名度はなかなかに高いはずなのですが……凄腕として。

 確かに私以外にも通訳業を生業としている方はいらっしゃいますが……私の能力はそこら辺の方々とは一線を画すレベルですので。 実力的には申し分ないはずなのですが……。


「……もしかしたらだが。 料金が高すぎるのではないかい?」

「……え?」

「考えてみてくれアリス。 私たちがこの仕事を始める前に……たかだか通訳者に金貨一枚を払えたかい? もっと安いのはごまんと存在するわけだし……」

「確かに……。 それはそうかも……」


 今までの取引相手が特殊だったせいで失念しておりましたが……私の商売方法は明らかにお金持ちの方々向けでした。

 さらにいえば大抵の場合、そういった方々は自分で通訳者を抱えているでしょうし……そう考えると私に依頼が回ってこなかったのは納得できますね。


「つまり……料金設定を見直さないといけないってことだよねー」

「そうなるね。 まぁそう言った事務的なことを考えるのは得意じゃないから……適当に任せたよ」


 それで話は終わりとばかりに本を再び開いたセシリア。

 なるほどなるほど……まぁ得意じゃない(めんどくさい)なら仕方がないですね。

 将来的に必要なことですし今回は私がしっかりとやりますか……そう思っていた矢先、窓にコツンと何かが当たる音が聞こえました。


「……あ! セシリアあれ!」

「……おや! 戻ってきたか」


 セシリアの魔力で作られた蝶が私たちの元に戻ってきました。 それはつまり……依頼がやって来たということ!

 私は急いで窓を開けて……セシリアに蝶を渡しました。


「うわ……今回は……なるほど」

「ねぇねぇセシリア? どんな内容なの??」


 私はセシリアにしがみついて依頼を伝えるようせがみます。

 なんとも言えない微妙な表情を浮かべたセシリアは私に向き直ってゆっくりと口を開きました。


「今回の依頼人は……私たちが通っていた魔法大学の校長。 それからの依頼さ」

「……はえ!?」


 予想外の所からやって来た依頼に私は思わず奇怪な声で返事をするのでした。

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