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面倒ごとは負いたくねーです

『魔王さん? 起きてくださーい?』

『うーん……。 もう少しだけ……』


 セシリアに吹っ飛ばされた魔王さんの頬をペシペシと叩きますが……ぜんっぜん起きる気配はありません。

 そんな折、縄で危険すぎる自称勇者さんを縛り終えたセシリアが戻ってきました。

 そして……『私に任せてくれ』となにやら不敵な笑みを浮かべて前に出ました。なんでしょうか……物凄く悪い予感がします。


『さて……魔王くん。 実は私は新しい魔法の研究をしていてね? どうだい、実験体になってみないかい?』

『うーん……』

『そうかいそれは良かった。 それじゃあ心置き無くいかせてもらおう』


 その『うーん』は明らかに同意のものではないと思いますが……まぁ起こしてもらえるのならばそれでいいでしょう。

 そんなこんなで杖を取りだしたセシリアは、私の知らない詠唱(セシリア自作の魔法だから当たり前)を完成させて……その魔法を放ちました。

 大きな火球が魔王さんを襲い……大爆発を起こしました。


『なっ……なんだぁ!?』

『ふふっ。 いいお目覚めだね魔王くん』


 唐突な爆発に仰天して起き上がった魔王さんを、とてつもなく爽やかな笑顔で覗き込むセシリア。

 何が何だか分からないと言った雰囲気の魔王さんと同様、私も猫耳の獣人さんも目を剥いて驚いています。


『何が……起こったんですか!?』

『どうしたんだいアリス? 別にさして難しいことはしていないさ。 ただ単に威力を殺して、その分を爆発の力にまわしたと言うだけだよ』

『そ……そうなんだ。 ナットクシタヨ』

『まぁ……それはそうとして、何か頼みたいことがあるのだろう? 折角起こしたんだから……要件を伝えようか』


 何を言っているのかよく分からないセシリアの魔法解釈についてはひとまず置いておいて、私は未だ困惑している魔王さんに向き直りました。


『ええと……まぁ色々あったんですけど。 とにかく協力してください。 あの頭がおかしい自称勇者さんをどうにかして貰いたくて……』

『……勇者? そんなやつ……この魔王城にいたのか?』


 あぁ……本当にアウトオブ眼中だったんですね可哀想に。

 やれやれと呆れながら、私は縄に縛られて依然として気絶している自称勇者さんを指さしました。


『とにかく。 あの人は貴方たち魔族を滅殺しようとしている危険思想の持ち主なんですよね。 ですから……とにかく何とかしてその考えを改めさせてあげてください!』

『はぁ!? それはちょっと……!?』

『それではまた明日やって来ますんで! お願いしますね!』

『いや……ちょっ!』


 魔王さんをよそに、私はセシリアに合図をして発動させた転移魔法で一目散に魔王城から脱出しました。

 アディオス魔王さん。 面倒ごとは頼みましたっ!

初レビューをいただきました!

本当にありがとうございますっ!

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