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たっ……助かったー

「……気でも狂ったのかい? 」

「ふっふっふっ……! 来るんじゃねぇセシリアさん! こいつがどうなってもいいのか!!」

「ひぃっ!?」


 短剣を首元に押し当てられて、私は情けなく声を上げます。

 やばいですよ!? この自称勇者さんが何を考えているのか知りませんが……それ故に底知れぬ恐ろしさというものがあります。


「……一応言っておこうか。 私ならばここからでも容易に君を撃ち抜くことができるよ?」

「そんなことは分かっている! だが撃たれた瞬間に……アリスを刺し殺すくらいならできるぜ?」

「……」


 自称勇者さんの脅しに押し黙るセシリア。

 それは単なるハッタリかもしれませんが……その可能性にかけるのはあまりに代償が重すぎます。

 どうしたら良いでしょうか……死にたくないですし。


「時に勇者くん。 君は一体? 何を目的にしているんだ」

「勇者はこの世に二人もいらない。 俺はあんたを倒して……魔族をこの世から滅殺するんだ!」

「……なんて馬鹿な」


 心底呆れたと言わんばかりの表情を浮かべるセシリア。

 私もそれと同じように、自称勇者さんの愚かさに戦慄していました。


「ふむ……そういうことならば。 私は名誉なんてこれっぽっちも必要ないから、君が倒したことにしていいよ?」

「なっ……それは本当か!?」

「無論だとも」


 セシリアからの思わぬ提案に私の拘束を緩める自称勇者さん。

 その迂闊な行動が……命取りでした。


「ふふっ。 詰めが甘いね」

「んなっ……!?」


 瞬間、雷電が瞬き自称勇者さんの意識を一瞬で刈り取りました。

 バタリと地面に倒れ伏した勇者さんが手からこぼした短剣を足払いで遠くへとぶっ飛ばしました。


「ふふっ。 甘いね勇者くん。 別に私は名誉なんかに興味はないが……自分の欲しいものは自分自身の力で手に入れるべきなのさ」

「うーん。 助かったよセシリア」

「いやいや。 今回ばかりは私もなかなか肝を冷やしたよ」


 セシリアの言葉に心底安堵する私。

 今回は……セシリアがいなかったら本当にヤバかったですね……。

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