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まさか……そんな事が!?

『……ふっふっふっ』

『おや? どうしたんだい魔王くん。 急に笑い出すだなんて?』


 セシリアと向かい合って対峙するや否や、いきなり不敵な笑みを浮かべた魔王さん。 そして、そんな不可解な行動に首を傾げるセシリア。

 まーあれじゃないですか? セシリアと戦うのが嫌すぎて気が狂ったとか。

 十分にありうる可能性ですねぇ……。


『今までの我ならば簡単にやられていたのだが……今回は違う! ラミィ! 例のものを!』

『了解しました魔王様〜』


 なにやら芝居がかった魔王さんの合図に合わせて、近くにいた猫耳の獣人さんが一丁の銃を持ってきました。

 わぉ……結構かっこいい銃ですねぇ……それで何を?


『そんなおもちゃで何をしようと言うのかい? 言っておくが……私の魔術ならば銃弾を避ける程度造作もないよ?』


 いやいやいや。

 いくら魔術といえど、こんな至近距離で銃弾を放たれたら絶対に避けられないと思うのですが……。

 やはりセシリアは規格外というかなんと言うか。 まぁ今更ですけどね。


『そんなことは百も承知だ! この銃はそんな甘いものでは無い!』

『……というと?』

『これは我が全力を尽くして開発した特別性! そして……ここ一ヶ月。 毎日溜め続けた魔力を弾にして放つことが出来るのだ!』

『ほぉ? それは面白い』


 明らかにヤバそうな魔王さんの発言に物怖じせず。 むしろ興味深げに笑みを深めたセシリア。

 そんな姿をやっぱり戦闘狂ですねーと諦観して見つめる私。

 ……え? 心配していないのかって?

 そりゃしてないに決まってるでしょう。 だってセシリアですよ?


『ほら? 何をしているんだい? 受け止めてあげるから早く撃ってくれよ?』


 ……いや、やっぱり心配かも。

 なんで受け止める前提なんですかっ!? 私はてっきりギリギリで躱してみせると思っていたのですけど!?


『ふんっ! ……いいだろう! その勇気に敬意を表して……我の全力を受け止めるがいいっ!』


 ───カチリ。

 引き金を引く音と同時に、凄まじい魔力が圧縮されて世界が白く染まりました。

 それとほぼ同時に届いたのは、必殺の威力が込められた魔力が命中する音……。

 その威力は想像を絶するもので、私は最悪の事態を一瞬覚悟しましたが……。


『……ふむ。 存外悪くなかったね。 ……これで終わりかな?』

『そんなっ……我の一ヶ月の全力なのだぞ!? 無傷で済むはずが……』

『……ふふっ。 さすがにそんな無敵なはずがないだろう? ちゃんと服に傷が着いてしまったさ』


 確かにセシリアのローブはチラホラと切れていますが……残念ながらそれ以外の外傷は全くと言っていいほど見当たりませんでした。

『今度はこっちの番さ』と言ってセシリアの姿が掻き消えます。

 やがてセシリアが現れたのは……魔王さんの目の前でした。


『いやはや奇遇なものさ。 私も自分の魔力を溜めた一撃というものを試していてね……つい先日勇者くんとの戦いで少し使ってしまったから、せいぜい一週間分程しか残っていないのだが……』

『くっ……くるなぁ!?』

『ふふっ。 さて……受け止めてもらおうか』


 身体を巡る自分自身の魔力によって、セシリアの身体は淡く光ります。

 そして……その光はセシリアの指先へと集まっていき……デコピンとなって放たれました。


『ぐぁぁぁぁぁ!』


 ズザザザザー!

 凄まじい勢いで吹っ飛んだ魔王さんは、床に深刻なダメージを与えながら壁に衝突しました。

 そして……ころりとノックアウト。

 カンカンカーン! ウィナーセシリアー!

 ……と。 私が脳内妄想に浸っていたその時……完全に私の意識外にいた男が行動しました。


「ひぇぇぇ!?」

「なっ……アリス!?」


 いきなり背後から引っ張られた私は、素っ頓狂な声を上げて捕まりました。

 そして首筋に感じる何やら冷たい金属の感覚……。


「何をやっているんだい? 勇者くん?」


 かの自称勇者さんが……私を人質にとったのでした。

総合ポイント100ポイント突破致しました!

応援ありがとうございますっ!

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