第三十五走「あまりの成長ぶりに、驚かされるばかりでした」
〇前回までのあらすじ
魔獣調査の一環で、探知魔具を設置しに外界に出た第四班。無事に設置を終えて通常の調査に戻ったコニー達だったが、そこで偶然にも兵団の小隊と出会う。しかもその隊には、コニーがよく知るギールの姿があった。
ジビターさんと共に人の気配を追ってみた所に、兵団の一隊がいた事に僕は驚きを隠せなかった。しかもその中にギール君がいるなんて、一体どういう状況なのだろう。
「え、えっと……久しぶり、でもないよね」
「あぁ……まぁ、そうだな……」
お互いに混乱しているからか、何から話せばいいか分からず会話がちぐはぐになる。ギール君とは三月ほど前まで兵団で一緒に訓練した仲で、今でも兵団基地にある鑑定魔石を使う時に顔を合わせている。その時にギール君がお互いの実力を確かめたいと、模擬戦を迫られたりして大変な時もある。
「何だ、こいつ知り合いか?」
「は、はい……」
僕がギール君と親し気に話していると、横からジビターさんが僕の肩を小突く。
「そういうそっちは、コニーの何なんだ?」
「あぁ? 何で兵団の奴らに言わなきゃならねぇんだよ?」
ギール君の質問に対して、ジビターさんは高圧的な態度で返す。ここに来る前から分かっていたけど、どうやらジビターさんがギール君達兵団へ突っかかっているみたいだ。僕と初めて会った時もそうだけど、どうしてジビターさんは初めて会う人に対してこんな喧嘩腰なんだろう。
「よく分かんないけど、とりあえずこっちの話くらい聞いてくれよ」
「だから、お前らに話す事はねぇんだよ! それより兵団が何でこんな所にいるかって聞いてんだよ!」
一方的に話しを通そうとしているジビターさんに、ギール君や他の兵団の人達も困っている。ジビターさんの対応は少し過剰だけど、領内の治安維持などが主な仕事の兵団が外界にいるのは僕も気になっていた。
「えっと……ジビターさん、僕が話を聞きましょうか? 兵団がわざわざ外界まで出ているのって、ただ事じゃなさそうですから……」
「……チッ」
どうにか状況を把握しようと思った僕は、ひとまずジビターさんにギール君達から離れてもらえる様に説得した。ジビターさんもこのままじゃ埒が明かないと思っていたのか、憤りを露わにしながらも素直に身を引いてくれた。
「えっと……それじゃ、どうしてギール君はここに?」
ジビターさんが少し離れた位置まで下がるのを見てから、改めて一番話しやすいギール君へと話を振った。
「それはそっちも……って、コニーは冒険者だから外界にいて当たり前か」
「あはは……そうだね」
「んで、俺がここに来てる理由か。こいつの設置をするためだよ」
ギール君が脇に抱えたいた袋から取り出したのは、ついさっきも見た覚えのある道具だった。
「それって……探知魔具?」
「あぁ、何かこの近くの兵団基地に設置しとけって言われてな。何でも、そこに出た魔物を探す手がかりを得るのに、こいつが役に立つかもしれないってさ」
「そ、それってもしかして……つい最近修繕した南の兵団基地?」
ギール君の話から何となく事情を察した僕は、少し踏み込んだ内容に触れてみる。
「おぉ、よく分かったな。何でもその修繕が必要になった原因になった魔物を探すのに、この探知魔具を使うんだと」
「それじゃ、その依頼はギルドから?」
「そこまで分かるのか……って事は、コニーは俺達が何をしに来たのか知ってるのか?」
「そうだね……多分だけど、僕達も同じ様な理由で外界に来てるんだ」
ギール君から聞いた情報で、ギール君達が何をしに来たのか理解した。ギール君が言った兵団基地は、僕が修繕依頼を受けたあの兵団基地の事だ。今は修繕されてなくなってしまったけど、あそこも魔獣の爪痕があった場所だから、ギルドが兵団に探知魔具の設置を依頼したいみたいだ。
「そうだったのか……まさかこんな形でコニーと会うなんて思わなかったな……」
「そうだね……」
「しっかし兵団員になっての初陣がこんな地味な作業とか、運がいいのか悪いのか……」
「そんな悲観する事じゃないと思うけど……って、ギール君兵団員になったの!?」
さりげなく聞き捨てならない発言を聞いて、僕は少し遅れて驚きの声を上げる。
「あぁ、ちょっと前にな」
「そ、そうなんだ……おめでとう!」
候補生から正式な団員になるには一年以上かかると聞いていたけど、候補生になってからまだ十月にも満たないギール君が団員になるなんて、うまく言えないけど凄い事だ。
「……とは言っても、ミナの奴も俺のすぐ後に団員になったんだよな。まぁあいつは戦闘は得意じゃないから、今回は街に残って備品整理してるけど」
「そっか、ミナちゃんも団員に……」
立て続けにミナちゃんの昇格報告を聞いて、僕はただ感心するしかなかった。一緒に訓練していた二人が早くも一人前になったと聞いて、僕は二人の昇格を自分の事の様に喜んだ。
「まぁ、今はあいつの話はいいか。そういう事だから、俺達もさっさとこいつを設置したら、直ぐにでも街に戻るつもりだから。別に冒険者の邪魔をするつもりは全くないって、後ろの奴に説明してくれ」
「う、うん……」
僕はギール君の話を聞きながら、恐る恐るジビターさんの方へと振り返る。ジビターさんもこちらの話は耳に入っているみたいだったけど、見た感じそこまで苛ついてはなさそうでほっとした。
「それはいいんだけど、ちょっと問題が……」
「……っ!」
僕が話題を変えようとした所で、ギール君が何かを感じ取り視線を森へ移す。間もなくギール君の視線の先から、魔物が一体飛び出して来た。
「あぁ、もう来ちゃったか……」
思ったより早い接敵に、僕は伝えそびれた事を後悔していた。ジビターさんを追いかけている途中で感知はしていたから、合流したら直ぐにでも伝えるつもりだった。だけど何かと伝える機会がなくて後回しにしてしまっていた。
「黒い熊……ソンブースだ! 膂力だけならDランクを上回る危険な魔獣だぞ!」
一足遅く魔物の存在に気付いた他の兵団の人達が、警戒した様子で武具を構える。僕も見るのは初めての魔物だけど、兵団の人達が警戒するのが嫌でも分かるくらいの威圧感だ。
「……どうする? お前らでやるか?」
しかしギール君は魔物を目の前にしても一切動じず、魔物から目を離してこちらへ視線を向ける余裕すら見せる。
「ぼ、僕はそもそも戦えないけど……」
僕がジビターさんへ視線を移すと、ジビターさんも兵団の人達以上に険しい顔で魔物を見上げていた。
「……正直、俺じゃ分が悪い。熊の膂力を受けられるほど俺の盾は頑丈じゃないし、うまく攻撃を搔い潜れても一撃で落とせないから反撃を食らっちまう。この魔物を一人で相手するのは、Dランクでも相当な手練れじゃないと厳しいぞ……」
ジビターさんと同ランクの魔物なら大丈夫かと思ったけど、どうやら一人で相手にするのは難しいらしい。確かに剣と盾を使ったジビターさんの戦い方だと、ソンブースみたいな膂力の高い魔物と正面から戦うのはかなり厳しそうだ。
「それじゃ、俺も戦った方がいいんだな?」
「……うん、お願いできるかな?」
僕達だけだったら逃げるしかない状況だったけど、幸いにも戦闘力のある兵団のギール君達がいる。ここはギール君達に協力してもらって、どうにかソンブースを撃退したい。
「それじゃ……」
僕の返事を聞いて、ギール君が背負っている武具を手に取る。
「雷装!」
次の瞬間、ギール君は武具を抜くと同時に一瞬にして魔物の背後へと回っていた。ギール君が消えるのに驚く間もなく、続いて魔物がゆっくりと僕達の目の前に倒れる。
「……えっ?」
あまりに一瞬の出来事に、僕は何が起きたのか状況を飲み込めずにいた。後ろで見ていたジビターさんも同じみたいで、口を開けて声を失っていた。
「……何だ、一撃で終わりか。久しぶりに楽しめる相手だと思ったのに、見た目に似合わず脆いんだな」
「いや、隊長が強すぎるだけだと思うけど……」
ギール君があっけなく魔物を倒した様子に、兵団の人が呆れた様子でため息をつく。
「……って、隊長!? 隊長って、ギール君が!?」
さらに兵団の人がギール君を隊長と呼ぶのを聞いて、僕は再び驚きの声を上げてしまう。
「あぁ、そういや言ってなかったな。俺はこの小隊の隊長もやってるんだ」
「う、嘘!? だってさっき、団員になったのは最近だって……」
「そうだよ。それで団員になった日に、そのままこの遊撃部隊に入れられて隊長をやる事になったんだ」
「そ、そんな……! 凄いけど、凄い事だけど凄過ぎだよ!?」
あまりに驚きの連続で、僕は言葉がうまく思いつかなかった。
「そんなでもないよ。隊長と言っても、一番規模の小さい小隊だから部下もほんの数人だし、隊長らしい仕事も大してないしな」
「い、いや……それでも十分凄いって……」
ただでさえ普通よりも早く団員になったと聞いて驚いたのに、まさか団員になった日に隊長を任されるなんて、ギール君はどれだけ規格外なんだ。ついさっきも団員だった事を知って驚いたばかりなのに、このままだと正気じゃいられなくなりそうだ。
「分かるよ、その気持ち。俺もまさか年下の下に就くなんて思わなかったから……」
「でも実際、実力だけなら他の小隊長以上だから、この年で小隊長をするのも納得ではあるんだよな」
僕が驚いている様子を見て、ギール君の部下が頷きながら同情の言葉をくれる。思えば僕が兵団で訓練していた頃から、ギール君の戦闘力は他の候補生と比べても頭一つ抜き出ていた。その時の事を思えば、団員になって早々隊長に抜擢されたのも納得だ。
「そうですね……僕も前からギール君の実力は知っていましたけど、まさかこんなに出世してるとは思わなくて……」
「そうか……見た感じ君はギール隊長と同い年だから、色々と思う所があるかもな。まぁ、それはギール隊長が異常なだけだから、あまり気に病む事はないぞ」
「そうそう……俺達だって新参者にいきなり先を越されて、最初は怒りを覚えたもんだよ。でも隊長の実力を見ちまったら、素直に従うしかないって思ったよ……」
ギール君の部下の人達からギール君の話を聞いて、何となく団員になった後のギール君がどう過ごしているかが頭に浮かんでくる。
「やっぱり、ギール君って隊員の人から見ても凄いんですか?」
「そりゃ、凄いなんてもんじゃないぞ。日を追う毎に目に見えて成長を続けるギール隊長を見ていたら、俺達の今までの鍛練が馬鹿みたいに思えるくらいだ」
「つい先日だってまた新しいスキルを習得してたし、このままだとあっという間に中隊長になっちまいそうな勢いだよ」
「そうなんですね……」
「……もういいだろ、さっさと基地に行くぞ」
部下の人達とギール君の話で盛り上がっていると、ギール君が少し気恥ずかしそうな顔をしながら先を急ごうとする。
「ギール君……行くのはいいけど、基地はそっちじゃないよ」
「……ん? そうだったか?」
僕が逸るギール君を呼び止めると、ギール君は首だけこちらに振り返る。
「ギール隊長、もしかして……迷ってます?」
「随分と基地まで時間がかかると思ったけど、そういう事ですか……」
部下の人達が状況を察して、一様にして呆れた表情を見せる。基地のある場所から離れた場所にいるから不思議に思っていたけど、まさかギール君が迷子になっているとは思わなかった。
「そうだったか……? ちゃんと基地まで真っ直ぐ進んでたはずだけど……」
「真っ直ぐって……見つけた先から魔物を狩ってるんですから、進み方なんて無茶苦茶でしたよ!?」
「自信満々で先に進むから、ちゃんと行き先が分かってると思ってたのに……」
ギール君の天然な振舞いに、部下の人達はがっくりと肩を落とす。そういえなギール君って、夢中になると周りが見えなくなる事があるけど、隊長になってもそこは相変わらずみたいだ。
「……僕なら場所は分かるから、案内しようか?」
流石にギール君をこのまま放っておく訳にもいかないから、僕から道案内を提案した。
「おぉ、そりゃ助かる!」
僕の提案を無邪気に喜ぶギール君の横で、部下の人達がギール君に振り回されていた事への疲労感と共に、ようやく目的を果たせると安堵した様子を見せる。
「……ってお前、任務の事忘れてんじゃねぇぞ!?」
「あっ……!」
背後からジビターさんから叱られて、僕は任務中だった事を思い出す。
「任務って……ギルドのか?」
「お前に答えてやる義理はねぇよ!」
ギール君がこちらの会話に入ると、ジビターさんが声を荒げて追い出そうとする。このままだとまた話が拗れてしまうかもしれない。
「別に何でもいいけど……俺達も目的地がどっちか分からないから、このままだとこの辺りを歩き回って探すしかないんだよ」
「……っ!」
しかしここでギール君がうまく切り返した事で、ジビターさんが言い返す言葉を失う。一刻も早くギール君達を遠ざけたいジビターさんからしたら、このままギール君達を放置する方が面倒だろう。
「……チッ、仕方ねぇ。あの基地ならまだ調査区域内だから、行くのは問題ねぇか。コニーだけ行かせられねぇし、直ぐに済ませるぞ」
「あ、有難うございます!」
どうにかジビターさんの同意を得て、僕達は兵団基地へ向かう事になった。
「それじゃ、さっさと行こうか!」
我先にと進む姿から迷子になっていた自責の念を一切感じられないギール君に、部下の人達は恨めしそうな目でギール君の背を追っていた。
◇◇◇◇◇◇
「……そういえば、武具変えたんだね」
兵団基地へ向かう道中、僕は横を並んで歩くギール君を見てふと気になった事を聞いてみた。兵団で訓練をしていた頃はいつも剣を振るっていたけど、今背負っているのは身の丈ほどの長さの槍だ。
「あぁ……同期に同じ武具を使う奴がいるのが少し気に入らねーけど、使っている感じは剣よりしっくりきてるんだよな」
「そうなんだ……」
以前は武具なら剣だというこだわりを持っていたのに、剣術の適正がなくてギール君は悔しい思いをしていたけど、剣以外でちゃんと扱える武具があったみたいで良かった。
「スキルも新しいのを覚えたんだね。全然見えなかったけど、凄い威力だったよ」
「あぁ、雷装の事か? 武具とかに雷魔術を付与する強化魔術で、破壊力とかが跳ね上がるんだ。少し前に覚えたスキルだけど、結構使い勝手のいいスキルだよ」
「へぇ……」
「本当ならミナみてぇな魔術が使いたいんだけど、俺はどうも強化魔術の方が性に合ってるみたいで、そっちのスキルばっか習得しちまうんだよなぁ……」
「それでも十分凄いよ……」
ミナちゃんの水を自在に操る魔術が理想なのは僕も分かるけど、ギール君も実用性を見れば全然負けてないと思う。僕も魔術を使える素質はあるみたいだけど、未だに魔術系統のスキルは習得できてない。その内できる様になりたいと思いながら、魔力向上の訓練もたまにしたりしているけど、戦闘スキルと同じでこちらも中々うまくいってない。
「……おっ、ここが兵団基地か」
ギール君との話に花を咲かせていると、思ったより早く兵団基地へと到着した。
「とりあえずこの辺に置いとけばいいか……」
ギール君は早速探知魔具を取り出すと、基地の建物の影になる場所に魔具を設置する。ヒリアさん達と設置した探知魔具と同じ物なら、これだけでこの兵団基地全体を探知するのに十分だったと思う。
「それじゃ、帰るか」
「ほ、本当に設置するだけなんだね……」
「他に何も言われてないし、別に用事がある訳じゃないしな」
「そ、それもそうだね……」
あまりにあっという間に用事を済ませたギール君だったけど、言われてみればその通りだ。それにいくらギール君が優秀とは言え、まだ団員になったばかりの新人にそんな難しい仕事を任せたりしないだろう。
「……で、帰り道はどっちなんだ?」
また先走ろうとするギール君だったけど、途中で足を止めてこちらに振り返る。今まで道に迷っていたんだから、帰り道が分からないのも当然だった。
「あー……それなら僕が街道まで送るよ」
「……ん? コニーだけついて来んのか?」
「うん。この辺りなら一人でも問題ないし、僕だけの方が戻るのも早いから」
僕はそれだけギール君に説明すると、ジビターさんの方へ振り返った。
「えっと……すぐ戻るので、待っててくれますか?」
「……さっさと行って来い」
僕が恐る恐るジビターさんに尋ねると、ジビターさんは意外にも文句一つ言わずに許可してくれた。
「それじゃ、街道まで案内するよ」
再びギール君達へ向き直ると、僕が先導して街道へ向けて歩き始めた。
◇◇◇◇◇◇
「……それで、コニーだけの方が早いってのはどういう事だ?」
森の中の道を突き進む途中、ギール君が基地で聞いた話を持ち出してくる。
「それはね、帰還のスキルがあるからだよ」
「帰還?」
「あらかじめ自分が指定した場所に戻れるスキルだよ。何処からでも目的の方向が分かって、発動中は移動能力も上がるから、帰りたい場初へ確実に素早く戻る事ができるんだ。限界疾走ほど速度は出ないし、自分が憶えている場所にしか使えないから、そこまで便利じゃないけどね」
「そっか……相変わらず、妙な使い方のスキルを覚えてんな」
「あはは……本当にね」
ギール君に痛い所を突かれてしまい、僕は苦笑いして誤魔化した。僕もそろそろ戦闘スキルの一つでも覚えたいけど、そんな思いとは裏腹に戦闘とは全く関係のないスキルばかり習得している。スキルの習得自体は喜ばしいのだけど、これだけスキルを習得しておきながら戦闘スキルが一切ないとなると、僕は相当戦闘の才能がないのかもしれない。
「……っと、ここまで来れば後は街道を渡れば街まで戻れるよ」
ギール君と話している間に、目的の街道まで着いていた。ここまで案内すれば、ギール君達だけでも街まで戻れるはずだ。
「んじゃ、この後も頑張れよ」
「うん。ギール君も、団員として頑張ってね」
僕はギール君の小隊が街道を歩いて行くのを、見えなくなるまで手を振って見送った。ちゃんと街の方へ向かって行くのを見届けた僕は、おもむろに森へと向き直る。
「さて……それじゃ戻ろう。帰還!」
僕は腰を軽く落として深く息を吸うと、身体を前に倒して走り出した。
「小隊長かぁ……僕もいつかギール君みたいになれるかな……」
目まぐるしく移る木々を横目にしながら、ギール君みたいになりたいと思いを馳せていると、いつの間にかジビターさんが待つ兵団基地まで戻って来た。
「お待たせしました!」
「……いや、そんな待ってねぇよ」
ジビターさんを怒らせない様にと急いで戻ったけど、ジビターさんは寧ろ少し驚いた様な呆れた様な表情だった。
「……ったく、こんなの見せられたら嫌になるぜ……」
「……? どういう事ですか?」
「何でもねぇよ……」
ジビターさんが意味深な発言をしたけど、どうやら僕には教えたくない事らしく、何の話か聞いたら目を逸らされてしまった。僕も迂闊に聞いて怒らせたくないので、それ以上は聞こうとは思わなかった。
「さっさと戻るぞ」
「は、はいっ!」
ジビターさんとの間に僅かな沈黙が流れるけど、おもむろにジビターさんが元の調査区域へと戻って行くと、僕も慌ててその後を追って行った。
〇おまけ「スキル:帰還、雷装」
・『帰還』
系統:技能 種類:能力強化 能力詳細:移動
帰巣本能に働きかけて、自身が知る場所の方向を正確に感知して移動するスキル。あらかじめ自身が移動場所に定めて記憶しておく必要はあるが、帰還の弊害がなければ間違いなく帰る事ができる。また指定の場所の方向は、移動の可不可や距離に関係なく分かる。
・『雷装』
系統:魔術 種類:雷系魔術 能力詳細:能力付与、性能強化
自身の魔力を武具に纏わせ、武具の性能を強化して武具に雷の効果を付与する強化スキル。ギールの場合、帯電で蓄積した雷を利用する事で、より強力な性能に向上させる事もできる。




