第三十四走「しばらくの間、待つ事になりました」
○前回までのあらすじ
グルタの護衛依頼、ギルドからの魔獣調査任務、二つの仕事と懸命に向き合うコニー。だがその前向きな姿勢とは裏腹に、どちらも進展があまり芳しくなく、それでいて大きな問題が起きる事もなく、時間だけが過ぎ去っていく。
「……ふぅ、こっちは終わりました!」
「有難うございます。では次は反対をお願いします」
「はいっ!」
グルタさんの護衛依頼とギルドの魔獣調査任務の掛け持ち初めてから半月ほどが経った。今日はグルタさんの護衛依頼で教会に来て、いつも通りグルタさんの清掃を手伝っている。今は座席を布で拭いている最中だ。
「コニーさんのおかげで、教会内が今まで以上に綺麗になっています。人手が増えると、ここまで違うものなんですね」
「それは良かったです」
グルタさんと何気ない会話をしながら、教会周辺の様子に気を配る。グルタさんを狙うごろつき達は、今の所来てなさそうだ。
「男手が少ない事もあって、倉庫の整備まで手伝って頂いて、何から何まで本当に感謝しています。他の見習いの子達もしていますが、コニーさんほど真剣にやる人は私を含めてもいませんよ」
「そ、そこまでじゃないですよ……」
過剰に思えるくらいグルタさんが褒めてくれるけど、ごろつき達が来るまで手持ち無沙汰というだけだから、素直に喜ぶべきか迷ってしまう。
「……そういえば、グルタさんはどうして毎日清掃をしてるんですか?」
ふとグルタさんが清掃している理由が気になったので、話の流れで聞いてみた。いくら見習い修道女とはいえ、一人だけ毎日清掃するのは少し変な気がする。
「そうですね……言ってしまえば、理由はコニーさんと同じだと思います」
「僕と同じ……?」
「コニーさんが私を手伝ってくれるのは、護衛依頼の間にやる事がないからでしょう?」
「えっ!? あ、あはは……」
グルタさんに心の中を見透かされてしまい、僕は笑って誤魔化すしかなかった。
「私もそうなんです。一年もすれば見習いを卒業するのに、二年経ってもまだ見習いでいる私には、教会では腫れ物の様なものですから」
「腫れ物、ですか……」
「あっ……! 腫れ物と言っても悪い扱いをされている訳じゃなくて、ただ近寄り難いというだけですよ!?」
僕が良くない想像をしていると気付いたグルタさんが慌てて訂正する。僕が教会の人達に対して悪い印象を持たない様に気を配ったみたいで、それを直ぐに口にするなんてグルタさんは本当に優しい人だ。
「ギルドの登録を解除すれば済む話なのですが、それすら踏み切れないのですから、自業自得ですね」
「そ、そんな事は……」
今度はグルタさんが肩を落として落ち込んでしまう。どうにか励まそうと思ったけど、かけるべき言葉が思いつかなかった。
「だからこそ私は、お世話になっている教会に尽くそうと思っています。自己満足でしかないかもしれませんし、見習いの私にできる事は限られてしまいますが、教会に身を置く以上は少しでも教会に貢献したいのです」
一頻り話し終えると、グルタさんは天井を仰いで一息ついた。思いの丈を吐ききったみたいで、グルタんさんの表情は澄み切っていた。さほど特別でもない清掃という行為に、グルタさんの気持ちがここまで込められてるとは思わなかった。
「……別に僕と同じじゃないですよ」
グルタさんの沈んだ気持ちを持ち上げようと、僕はどうにか言葉を絞り出した。
「同じじゃない……って、そんな事はないです。だって私にはそれくらいしかできる事が……」
「できる事かどうかの問題じゃないですよ。大事なのは、どうしてやるのかだと思います。僕がグルタさんの手伝いをするのは、ただ手持無沙汰だったからですが、グルタさんにはちゃんとした理由があるじゃないですか」
「ですから、それはただの自己満足だと……」
「それは違いますよ。だってグルタさんが教会を奇麗にしていて、誰かが文句を言っているのを聞いた事なんてないですし、僕は教会がこんなに奇麗でいいなと感じてます。だから僕以外にも、教会が奇麗になっていいなと感じている人がいると思います」
「で、ですが……それくらいの事では……」
「何を言ってるんですか! 確かに清掃は誰にでもできますけど、毎日清掃をしているのは紛れもないグルタさんなんですよ。今日もこうして教会が奇麗でいられるのは、グルタさんのおかげなんです」
「そ、そうでしょうか……」
「そうなんです! だから今まで清掃を続けてきた事は、ちゃんと意味があるんですよ!」
「……そうですね、有難うございます」
僕の決死の励ましが届いたのか、グルタさんの表情から陰りは消えたみたいだ。
「……すいません、生意気な事言って……」
しかし今度は僕の方が恥ずかしさのあまり、グルタさんと真面に目を合わせられなくなる。グルタさんを励ましたい一心だったとはいえ、流石に熱が入り過ぎたかもしれない。
「いえ、そんな事はありませんよ。おかげで少し考え方が変わりました」
「そ、それなら良かったです……」
まだ目を合わせられるほど気持ちは落ち着かなかったけど、グルタさんの気が晴れたなら良かった。
「……僕もこの依頼を初めて受けた頃、グルタさんの依頼を続けるか悩んだ事があります。僕なんかが護衛なんてできるか不安で、しかも相手は格上の存在で……。でも自分にもできる事があると分かってからは、どんな形でも力になろうと思いました」
「……」
「な、なのでっ! グルタさんも頑張って清掃を続けて下さい!」
何故かグルタさんが黙ってこちらを見つめるので、僕は恥ずかしさで声が上ずってしまう。
「……それは、私に一生見習いで居続けて欲しいと?」
「そ、そういう意味じゃないですよ!?」
「ふふっ……冗談です」
僕があわてふためく様子を見ながら、グルタさんは堪え切れない笑いを溢す。何だか始めの頃と比べると、最近のグルタさんは表情豊かになった気がする。
「そう言ってくれるコニーさんだから、私も安心して任せられますよ」
「そ、そうですか……?」
グルタさんが安心しているのは良かったけど、清掃の事なのか護衛の事なのか分からず微妙な反応になってしまった。
「……っ!」
グルタさんと長話をしていると、すぐ近くに怪しい気配がこちらに向かっているのに気がついた。何度も感知しているから間違えようもない、グルタさんを狙うごろつき達の気配だ。
「……コニーさん、来ましたか?」
「はい、もうすぐ教会の敷地に入ります」
僕の様子が突然変わって、グルタさんも状況を察したみたいだ。ここ最近はごろつき達を何度も対処したおかげか、グルタさんとの連携もすっかり慣れてしまった。
「では、今回もお願いします」
「はいっ!」
早速僕が扉の前に位置取ると、グルタさんも急いで僕のすぐ後ろに回る。ごろつき達の気配が教会の敷居を跨ぐのに合わせて、僕は教会の扉を開いた。
「て、てめぇ、また出やがったな!? 今度はそう簡単に逃がさねぇぞ!」
「は、はぁ……」
僕が視界に入ると同時に、先頭にいた元冒険者のごろつきが啖呵を切る。先日から幾度となく煙に巻いたはずなのに、この人達も本当に諦めが悪い。
「それじゃ、行きましょうか」
「はい」
ごろつき達の憤る様子に目もくれず、僕は扉を閉めてグルタさんと共に教会内へと踵を返す。
「あいつ、また逃げやがった……!」
「このっ……待ちやがれぇ!」
「今日こそは見つけてやるぞ!」
ごろつき達はいつもより意気込んだ様子で、教会の扉を荒々しく蹴り飛ばす。しかしすでに僕達は教会の隅で隠形を使って身を潜めているので、ごろつき達からはこちらの居場所は気付かれてない。とりあえずここまではいつも通り運んでいるから、後は兵団の人達が来るまでじっとしているだけだ。
「くそっ、一体何処に隠れやがった……!」
ごろつき達は相変わらず教会内を見回すけど、隠形で気配を消している僕達を見つける事をできないでいる。時折僕達が視界に入っているはずだけど、僕の隠形も成長したおかげで隠密性能が上がっているから、こちらが何もしなければ余程注意して探さないと見つからない。
「……駄目だ、何処にもいやしねぇ」
「こんだけ探していねぇなら、もう教会を出てんじゃねぇか?」
しばらく教会内をくまなく探したごろつき達だったけど、僕達が教会の隅にいるとは全く気が付かなかった。もう少しで兵団の人達も来る頃だし、この様子なら今日も大丈夫そうだ。
「ちっ……仕方ねぇ、やっぱこいつを使うしかねぇか」
痺れを切らした元冒険者のごろつきが、懐から魔具らしき道具を取り出す。紐の先に魔石が取り付けられた、釣り具の様な今までに見た事のない魔具だ。
「そいつは……昨日言ってた、特定の魔力を探知する魔具っすか?」
「あぁ……こいつがあれば、あの憎たらしいガキを見つけられる。探知範囲は詳しく知らねぇが、教会くらいの広さなら十分範囲内だろ」
「……っ!?」
ごろつきがまさかの切り札を出してきて、僕は同様のあまり声を漏らしそうになる。ごろつき達に探知能力がないと思って油断した。まさかそんな魔具を持って来るとは思わなかった。このまま見つかると、部屋の隅にいる僕達には逃げ場がなくなってしまう。まだ兵団の人達が来るまで時間が掛かるから、どうにかして時間稼ぎしないと。
「それで、どうやって使うんすか?」
「あぁ……確かこの魔石に探知したい魔力を記憶させると、同じ魔力同士引かれ合ってその方向に揺れるらしい……」
「それじゃ、さっさとあのガキの魔力を記憶させちまいましょう!」
「……」
ごろつき達が探知魔具の話をしていると、意気揚々と魔具を掲げていたごろつきが沈黙する。
「……どうしたんっすか?」
「……あのガキの魔力、どうやって記憶すんだ?」
「そりゃ、あのガキ見つけてふん捕まえりゃ……」
「そのガキを見つけるのに、この探知魔具を使うんだろうがぁ!」
質問に答えただけのごろつきに、魔具を持ってきた当人であるはずのごろつきが掴みかかる。どうやら今の所あの魔具では、僕達を探知する事はできないみたいだ。
「チッ……どうすんだよ!? 折角昨日運よく手に入れた魔具なのに、これじゃ意味ねぇじゃねぇか!」
ごろつきは怒りのあまり、手にしていた探知魔具を床に叩きつける。僕に何度も逃げられて、ごろつき達も相当頭にきているみたいだ。一応ごろつき達も今日みたいに、僕達を探し出したり炙り出す方法を考えて来ているけど、こうして毎回空振りに終わっている。しかし今日はごろつき達の準備不足に助けられたけど、あの探知魔具が使えてたら危なかった。
「……くそっ、もう時間か。仕方ねぇ、出直すぞ」
どうやら兵団がもうすぐ来るみたいで、ごろつき達は結局僕達を見つける事なく教会を去って行った。一瞬どうなる事かと冷や冷やしたけど、何とか今日も無事にやり過ごす事に成功した。
「……大丈夫ですか?」
ごろつき達の気配が遠のくのを確認してから、僕は壁に張り付いていたグルタさんの手を引いた。
「はい……ですが危なかったですね、まさかあんな魔具を用意していたとは……」
「そうですね……今後はこうした魔具の対策も考えないと……」
ごろつき達も今回の失敗から学んで、また別の探知魔具を持って来るかもしれない。今まではほとんど隠形だけでごろつき達の目を欺いてきたけど、本格的にごろつき達を抑える方法が必要になりそうだ。
「それにしても、あんな魔具を何処で手に入れたんだろう。フロンにはあんな魔具を扱う店なんてなかったはずだけど……」
僕も魔具の存在を知ってからは、冒険に役に立つ魔具を求めてフロンにある魔具店に何度か足を運んだ事はあるけど、あんな性能を持つ魔具は見た事がない。
「おそらく、行商から盗んだのではないでしょうか。昨日は丁度、他の街へ交易に出ていた行商が戻っていますから」
「そうだったんですか……よく知ってますね」
「いえ、たまたま昨日行商の方が参拝に訪れて、偶然知っただけですよ」
先ほどまでの緊張感が嘘の様なくらいに普段通りの会話をしていると、連絡を受けた兵団の人達が来てくれた。
「……それじゃ、今回も特に問題なしと」
「はい、有難うございました」
兵団の人達にごろつき達の事を一通り報告すると、兵団の人達はそのまま帰って行った。特に何もせずに帰るだけの兵団の人達には申し訳ないけど、兵団の人達が来てくれないとごろつき達も教会を離れてくれないから、少し心苦しいけどごろつき達から教会やグルタさんを守るためには仕方ない。でもゆくゆくは僕一人で、ごろつき達をどうにか引き止める方法を見つけ出さないといけないから、兵団の人達にはそれまで協力してくれると有難い。
◇◇◇◇◇◇
グルタさんの護衛依頼を終えた翌日、今日は調査任務に出る日だ。僕はいつも通り早起きして準備を済ませると、ヒリアさん達が待つ街の南門前まで走った。
「おはようございます!」
「おはよう、コニー。朝から元気だな」
「おはようございます、今日も早いですね」
僕が待ち合わせ時間より少し早く来ると、すでに来ていたガウンさんとヒリアさんと挨拶を交わす。ほどなく他のパーティの仲間も揃うと、すぐさま僕達は外界の森へと出発した。
「さて……本日の予定ですが、今回は少し調査を後回しにします」
「調査を後回しって……一体何をするんですか?」
「今日はまずこちらを設置する作業から入ります」
ヒリアさんは僕の質問に答えると同時に、手にしていた袋から見慣れない道具を取り出した。
「これは……魔具ですか?」
「えぇ、その通りです。これは周囲の魔力を探知する魔具を応用して作られた、罠型の探知装置です。先日ギルドが行商に依頼して、この街に取り寄せたものの一つです」
「探知魔具……」
つい最近聞いたばかりの言葉に、僕はつい反応してしまう。もしかしたらごろつき達が使っていた探知魔具は、ギルドが取り寄せていたものの一つだったのかもしれない。
「こちらの探知用の魔具が仕掛けられた場所から一定範囲に魔物が接近すると、こちらの通知用の魔具に魔物の探知を知らせる仕組みになっています。探知した魔物の魔力強度もある程度分かりますので、付近に生息する魔物の反応と魔獣と思わしい反応も判別できます」
ヒリアさんが始めに複数の魔石が組み込まれた魔具を手に取り、続けて対となる小さな魔石を袋から取り出しながら説明する。説明を聞いた感じは単純な仕組みだけど、魔具の構造を見るとかなり複雑な造りをしているから、僕では想像がつかないくらいの仕組みで造られているのだろう。
「こちらの探知魔具を、先日発見した爪痕周辺に設置します。拘束用の罠も仕掛けられれば良いのですが、魔獣に関する情報が少なすぎて有効な罠の判別がつかないのと、仕掛ける場所が多すぎる上に再度姿を現す確証もないので、魔獣の情報を収集するための前段階として探知魔具を設置する事になりました」
「爪痕のある場所に設置するって事は、他の場所にも?」
「はい、すでに他に爪痕を発見したパーティ全てに、ギルドからこの探知魔具が配布されているので、今頃各々のパーティが設置に動いてるはずです」
ギルドからの指示で設置するみたいだけど、ヒリアさんの表情から察するにあまりいい結果は期待できなさそうだ。それでもヒリアさんが特に何も言わないのは、それだけ魔獣の調査が難航しているからだと思う。
「首尾よく魔獣の痕跡、特に魔獣の魔力の残滓でも採取する事が出来れば、特定の魔力を探知する魔具を用いて、こちらから魔獣を捜索する方法も取れるのですが……」
かなり都合のいい展開を口にするけど、それに反してヒリアさんの顔はより難色を示している。この話もギルドで聞いた内容なのだろうか。そして今聞いた魔具の性能からして、ごろつき達が行商からその魔具を手に入れたと見てよさそうだ。
「……しかし他に手段がない以上、私達も手を尽くす他ありません。僅かな望みとはなりますが、探知魔具を設置してしまいましょう」
あまり気が進まない様子のヒリアさんに、他の皆も探知魔具への不信感を露わにする。それでもやらないよりはいいだろうと言い聞かせながら、僕達は爪痕のある木の周辺に探知魔具を設置していく。魔具の構造自体はかなり複雑だけど、設置はただ置くだけで済むみたいなので、作業は淡々と進んでいく。確かにたったこれだけの手間で済むのなら、望み薄でもやる価値はある気がする。
「……さて、設置はこれで問題ないでしょう。では後はいつも通り、周辺の調査を始めましょう」
あっという間に探知魔具の設置を終えた僕達は、そのままいつも通り組み分けをして調査をする事になった。
「チッ……またてめぇか」
「よ、よろしくお願いします……」
僕は今日もジビターさんと組む事になった。組み分けでよくこの組み合わせになる事が多いからか、ジビターさんはうんざりした様子でこちらを軽く睨む。理不尽な暴言を吐かれる事はなくなったけど、相変わらず僕への態度はあまり良いものじゃなかった。それでも調査はちゃんと一緒にやってくれるから、流石にもう毛嫌いはしていなさそうだけど。
「……周りの状況はどうだ?」
「えっと……特に近くに魔物はいませんね」
ひとまずジビターさんが索敵状況を聞いてきたので、僕は少し集中して周囲の気配を探る。まだ魔獣の爪痕が近いからか、少し索敵範囲を広げたくらいじゃ魔物の気配は全く感じられなかった。
「……あれ?」
索敵範囲を広げながら歩いてからしばらくすると、珍しくヒリアさん達以外の人らしき反応を感知した。この辺りは僕達第四班の調査区域だから、他の冒険者が来る用事はなさそうなのに、こんな所で何をしているのだろう。
「何だ?」
「あ、えっと……近くに誰かいるみたいです」
「誰かって……分かんねぇのか?」
「はい、多分人だとは思いますけど……」
「他の調査パーティか……? それじゃ、ちょっくら挨拶してやらねぇとな」
ジビターさんは何やら怪しげな笑みを浮かべる。何を考えてるか分からないけど、明らかに穏やかな雰囲気じゃない。
「それで、どっちにいんだ?」
「西の方ですけど、何をするつもりで……」
僕が反応のある方角を示すと、ジビターさんは僕が話を続けるよりも前に飛び出してしまった。
「おい、さっさと来ねぇと置いてっちまうぞ!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!?」
突然走り出したジビターさんに後れを取ってしまい、かなり離れた距離からジビターさんを追い掛ける事になった。木々を縫う様に走るジビターさんを目で追うのは厳しいけど、ジビターさんの位置は十分感知できる範囲にいるので追い掛けるのは何とかなりそうだ。
「……何でてめぇらがここにいんだよ!?」
「だから俺達は……!」
さっき感知した人達は意外と近くにいたのか、ジビターさんはいち早くその人達と合流したみたいだ。遠くからジビターさんが怒鳴る声が聞こえた所からして、僕が想像していた最悪の場面になっているみたいだ。
「ジビターさん、一体何が……」
ようやくジビターさんに追いついた僕は、息を切らせながら状況を確認する。
「……えっ?」
しかし僕はそこで誰がいたのかを知って、思わず素っ頓狂な声を上げる。
「……あぁっ!?」
向こうも僕の顔を見て、咄嗟にこちらを指差す。
「コニー!?」
「ギール君!?」
お互いに目があった僕達は、ほぼ同時に相手の名前を叫んだ。
〇おまけ「ギルドが取り寄せた探知魔具」
・設置式範囲型魔力探知装置
設置した周囲の魔力を探知して報せる罠型の探知装置。探知範囲は設置位置を中心に一定範囲内で、魔具の性能次第である程度調整可能。探知した魔力は設置側の通信機能で、組となる魔石に探知した魔力情報が送られる。送られる魔力情報は主に探知した魔力の大まかな位置、魔力強度、魔力源の数など。また性能が高いものは探知した魔力を保存する機能や、特定の魔力のみを探知して報せる機能もある。
・追従式特定型魔力探知装置
特定の魔力を探知してその方向を報せる操縦型の探知装置。紐に魔具を吊るした状態で使用し、指定した魔力を探知すると魔具が探知した方向へと釣られて引っ張られて方角を報せる。探知可能な魔力は一定以上の魔力強度、一定数以上の魔力源、または登録した特定の魔力など。範囲内に条件を満たす反応を複数探知した場合、より高い魔力強度やより魔力源の多い方角に引っ張られる。




