第二十九走「最悪の組み合わせでも、何とか頑張りました」
〇前回までのあらすじ
魔獣調査の任務を与えられた魔獣調査パーティ第四班は、ついに本格的な調査に乗り出した。パーティを二つの組に分けて調査を行うが、初日は特に成果を挙げられずに終える。続く翌日の調査は、前日の反省を活かしてパーティを三つに分けて、より効率的に調査を進める事に。しかしそこでコニーが組む事になったのは、以前からコニーを毛嫌いしているジビターだった。
「何で俺がこの田舎モンと組まなきゃならねぇんだ!?」
僕と一緒に調査すると聞いたジビターさんは、ヒリアさんに向かって怒鳴った。
「今回は組み合わせの関係上、結果的に君達を組ませるしかなかったんですよ。各組に必要な索敵役として、私とコニー君とサヴィエさんを分けると、残りの三人をそれぞれと組ませるしかありません。レリダ君は私が監視しないといけませんし、索敵にまだ不安のあるサヴィエさんはガットツさんを護衛に付かせておきたい。他の組み合わせではそれぞれの役割を全うするのは厳しいので、君達を組ませるしかなかったのです」
ジビターさんの物言いに対して、ヒリアさんも残念そうにため息をつく。どうやらヒリアさんとしても、この組み合わせは良くないと思っているみたいだ。
「チッ……昨日といい今日といい、何で俺はオマケみてぇな扱いなんだ!?」
ヒリアさんの様子を見て、さらにジビターさんは怒りを爆発させる。昨日の組み分けの時もだけど、ジビターさんは組み分けで空いた枠に入れられるのが気に入らないみたいだ。
「それは、君に突出した能力がないからですよ。戦闘面においては高度な剣術を持つレリダ君や、兵団の防衛力を持つガットツさんがパーティの中で随一です。索敵についてはコニー君が最も秀でていて、私とサヴィエさんは索敵に加えて外界調査の知識があります。ジビター君は戦闘も調査もそれなりの水準でしかなく、索敵に関しては言うまでもありません。ですのでパーティでの役割や組み合わせを考慮する際、どうしても君の優先順位は下がってしまうのです」
「っ……!」
ヒリアさんが人選の理由を淡々と語る中、ジビターさんの感情がさらに募っていくのが見て取れる。ただでさえジビターさんは自分がぞんざいに扱われていると思っているのに、それが自分の実力不足だと聞かされたら、ジビターさんが怒りを覚えるのも仕方ない事だと思う。
「しかし私も、この組み合わせは決して悪くないものだと思っています」
ジビターさんが怒りに震えていると、ヒリアさんは思わぬ方向に話を進めた。先ほどまでの話の内容からは全く感じ取れなかったけど、ヒリアさんはこの組み合わせに何か見出しているというのだろうか。
「ジビター君には突出した部分がないと言いましたが、それは個々の能力を比較した場合の話です。冒険者を生業にしてるだけあって、魔物との戦闘や調査の経験が十分ありますので、調査任務における総合力で見れば君が最も適しているでしょう。単独でも調査が出来る能力がある君なら、パーティで最も経験の浅いコニー君を任せられます。それに同じく冒険者を生業としている二人なら、意外と意気投合出来るかもしれませんよ?」
「……」
ヒリアさんが僕とジビターさんの組み合わせについて語ると、ジビターさんがこちらを横目で睨んできた。ヒリアさんは僕とジビターさんの組み合わせが良いと思っているみたいだけど、ジビターさんの反応からして僕にはそうだとは到底思えなかった。
「……君達がお互いをどう思っているかは、多少は理解しているつもりです。ですがお互いに同じパーティの一員である以上、仲違いしている状況はあまりよろしくありません。この組み合わせにしたのは、その仲違いした関係を矯正させるためでもあります。ですから君達も今日の調査を通して、お互いの関係を改めて下さい」
どうやらヒリアさんは僕達の相性を分かった上で、それを解消するためにも僕達を組ませる事にしたみたいだ。でもヒリアさんが思っているほど、簡単に僕とジビターさんの関係が良くなるとは思えない。僕もジビターさんとは仲良くしたいと思っているけど、ジビターさんには最初からその気が全く見られないからだ。しかも僕にその理由が分からないから、僕から改善しようと思っても切り口が見つからない。
「お互いに納得出来ない事もあるでしょうが、二人での調査も任務の一部だと思って受け入れて下さい」
「おい、まだ話は終わって……!」
「では、次に各組の調査区域ですが……」
そしてヒリアさんは半ば強制的に会話を終わらせると、ジビターさんが止めるのを押し切って次の話に移ってしまった。
「……っ!」
ジビターさんはまだ何か言いたげだったけど、ヒリアさんに遮られて話の機会を失ってしまい、ヒリアさんが話す様子を悔しそうに睨みつけていた。ヒリアさんは僕とジビターさんの仲を心配していたけど、ヒリアさんとジビターさんの関係は大丈夫なのだろうか。
「あ……」
これからどうするかと悩んだ僕は、ジビターさんに声を掛けようとしたけど、途中で思い留まって口を閉ざした。ただでさえジビターさんとは真面に会話が出来ていないのに、今のジビターさんに声を掛けるのは良くない気がした。
「……っ!」
しかし微かに僕が漏らした声が聞こえたのか、ジビターさんがこちらに振り返る。ジビターさんの表情は、普段から僕に向けている時よりも明らかに激昂していた。
「……チッ!」
僕が何を言われるかと内心怯えて構えていると、ジビターさんは特に何も言わずに正面に向き直った。とりあえず何事もなくて良かったけど、この先の事を思うとあまり安心は出来なかった。
◇◇◇◇◇◇
「ではこれより、各組調査に向かいます。今回は以前より少数の組で行動しますから、万が一の場合は街までの途中撤退も考慮して下さい」
最後にヒリアさんが全員に注意を促すと、それぞれ組毎に担当の調査区域へと散って行った。
「……」
「……」
残された僕とジビターさんの間に、永遠にも感じられる沈黙が流れる。僕から何か話をしようにも、何を言っても反感を買いそうで、中々口を開く事が出来ない。
「……行くぞ」
しばらくの沈黙の後、ジビターさんから怒気の籠った声が聞こえた。
「は、はい……」
僕はジビターさんを刺激しない様、なるべく必要最低限の言葉で返事をした。
「俺が先に行くから、お前はついて来い」
「はい……」
そのままジビターさんはこちらにはあまり顔を向けず、ずんずんと先に行ってしまう。僕は言われるままその背中を追いながら、心の中では若干の不安を抱えていた。以前から受けていたヒリアさんの指揮や、昨日のサヴィエさんの指揮と比べて、ジビターさんの指揮は何だか頼れる感じがしない。それにジビターさんが僕との会話を避けているせいか、指示の内容が希薄過ぎるのも余計に不安を煽っている気がする。
「……」
さらにジビターさんが黙って真っ直ぐ進む背中を追う内に、不安はさらに募っていく。昨日サヴィエさんが先行した時も、サヴィエさんはほとんど会話を挟まなかったけど、今ほど不安は感じなかったと思う。先行しているジビターさんから、あまり余裕を感じられないからだろうか。
「……!」
ジビターさんとの調査に不安を募らせていると、危険察知の索敵で魔物の接近を感知した。気配が弱くて数も少ないけど、間の悪い事に前後から挟み撃ちされている。背後からの魔物とはまだ距離があるけど、正面の魔物は真っ直ぐこちらに向かっていて、今にも接敵してしまいそうだ。
「ジビターさん、魔物が……!」
「分かってる、お前はそこで大人しくしてろ!」
僕が魔物の接近を伝えようとすると、ジビターさんは正面を向いたまま声を荒らげて僕の言葉を遮る。どうやらジビターさんはこのまま魔物を迎え撃つみたいで、僕に手振りで下がる様に指示を出す。僕はジビターさんの戦闘の邪魔にならない様に一歩下がり、念のため狙われない様に隠形を使って身を潜める。
「ガウウッ!」
「おらぁ!」
僕が身を潜めていると、ジビターさんが正面から来た魔物と交戦を始めていた。魔物の正体はネグペローという小型犬種で、討伐難易度はタールラットより少し高いFランクだけど、Dランクのジビターさん一人でも問題なく対処出来る相手だ。
「チッ……こいつっ!」
でもFランクの魔物とはいえ、複数匹を相手にジビターさんも少し苦戦している。剣と盾をうまく使って無傷で対処しているけど、討伐にはまだ時間が掛かりそうだ。
「……っ!」
そうこうしている内に、背後にいる魔物もここで戦っている気配に気付いてか、急速でこちらへ向かい始めた。その事をジビターさんに伝えようと思ったけど、緊迫した状況で僕が割って入ると邪魔になりそうで、声を上げる事が出来ないでいた。
「このっ!」
「キャウンッ!?」
僕が背後の気配に気を揉んでいると、ジビターさんがネグペローを一体倒していた。これでジビターさんの方に形成が傾いたけど、早くしないと次の魔物が来てしまう。
「へっ、おらよっ!」
「ギャウッ!」
次々と倒して残りのネグペローを追い詰めたジビターさんだけど、次の魔物が直ぐそこまで迫っていた。
「……っ!?」
ジビターさんがネグペローへ止めを刺そうとした所で、何故かジビターさんがこちらに顔を向けた。僕の心配が伝わったのか分からないけど、今なら僕の背後に魔物が迫っていると伝えられそうだ。
「てめっ、危な……!」
しかしジビターさんは僕の背後にいる魔物が目に入ったのか、僕よりも先にジビターさんから声を上げていた。
「……は?」
ジビターさんがこちらに声を掛け終える前に、魔物が僕の横を素通りするのを見て、ジビターさんが驚きのあまり素っ頓狂な声を上げる。確かにジビターさんから見たら僕が真っ先に襲われそうに見えたかもしれないけど、隠形で身を隠している僕が狙われるはずもなく、魔物達の殺気はジビターさんに向けられていた。
「……チッ!」
ジビターさんも自分が狙われていると分かると、気持ちを切り替えて直ぐに臨戦態勢に入る。続けて現れた魔物もネグペローだったけど、先ほど倒したばかりの相手だっただけに、ジビターさんは危なげなく対処しきっていた。
◇◇◇◇◇◇
「ふぅ……ようやく終わったか」
魔物との連戦を終えたジビターさんは、一息ついてから剣を収めた。何匹かは途中で恐れをなして逃げたけど、あらかたのネグペローは討伐された。
「……お前、さっきのはどういう事だ?」
「えっ!? え、えっと……」
周囲の安全を確認すると、ジビターさんがこちらに迫って来た。またいつもみたいに怒鳴られるかと思ったけど、今回は何だかいつもより声に怒気を感じなかった。
「以前も使いましたけど、僕の隠密スキルの隠形です。それで魔物の注意が僕よりも、戦闘中だったジビターさんに向いたんだと思います」
「……そういえば、そんなスキル持ってやがったな……」
「……えっ?」
ジビターさんはそれだけ口にすると、それ以上迫る事なくネグペローの死体に歩み寄り、討伐証明部位を剥ぎ取り始めた。またいつもの様に怒鳴られるかと思ったけど、ジビターさんは意外にもあっさり引き下がって、僕は呆気に取られて立ち尽くす。
「おい、お前もやれよ。それとも討伐した事ねぇから、証明部位が分かんねぇのか!?」
「は、はいっ、大丈夫です!」
僕が棒立ちしていると、ジビターさんから喝をもらってしまう。折角怒られずに済んでいたのに、ジビターさんの思わぬ対応に放心してしまい、ジビターさんを余計な事で怒らせてしまった。
「……お前、最初から後ろの魔物に気付いてたのか?」
「えっ……? は、はい……ずっと索敵してましたので」
そのまま静かに討伐証明部位の剥ぎ取りをするかと思ったら、さらにジビターさんから話を振られて、僕は驚きながらも話に応じた。
「チッ……そうかよ」
僕の答えを聞くと、ジビターさんは再び剥ぎ取りに集中してしまった。何だかいつものジビターさんらしくない対応で困惑するけど、一方的に嫌われている時よりは悪い感じはしない。
「……で、他には何が出来んだ?」
少し間を置いてから、ジビターさんが再び僕に質問をしてくる。どうやらジビターさんは何か考えているみたいで、何か僕に対して聞きたい事があるけど、何を聞くか迷っている様に見える。
「えっと、一番は走る事……というよりは、逃げる事ですね。まだギフトが使えた試しがないので、実際の所は分からないですけど……」
「はぁ!? お前、ギフトが使えねぇのか!?」
「は、はい……」
僕がギフトを使えない事に、ジビターさんは今までとは比べ物にならない驚きを見せる。確かに僕みたいにギフトを使えない人は珍しいし、ましてやそんな人間が冒険者をしているなんて驚くのも無理はない。
「逃げるのに特化したギフト……みたいなんですが、ギフトを使うために色々と訓練をしても、未だに使えた事がなくて。でもその内使える様になれると信じて、今も冒険者を続けながらギフトの使い方を模索してるんです。でも訓練の時に試せそうな事は大体試したので、今はあまり出来る事がないんですけど……」
僕は今までギフトを使える様になるためにした事を思い返しながら、少し歯痒い気持ちになる。自分から話し始めた事だけど、また自ら貶めてしまって話した事を後悔してしまう。
「お前……そんなんで冒険者を続けてんのか?」
「はい……。僕には、冒険者しかないと思いましたから」
「……」
僕は貶めた自分を鼓舞するためにも、決意の込めた言葉を口にするけど、それを聞いたジビターさんは黙ってしまった。ジビターさんが懸念した通り、ギフトが使えない状態で冒険者をするなんて、自殺行為と思われても仕方ない。それでも一度冒険者として生きると決めた時から、僕はそのために頑張る事を心に決めていた。だからギフトを使えない今でも冒険者を続けるつもりだし、これからも諦めずにギフトを使える道を模索するつもりだ。
「……そうかよ」
ジビターさんはしばらく思い詰めた表情で俯くと、それだけ口にしてまた剥ぎ取りを再開する。明らかに今までの僕に対する反応と違い過ぎて、ジビターさんに何かあったんじゃないかと思ったけど、端から見ても特に変わった所はなさそうに見える。
「……早く剥ぎ取っちまえよ」
「は、はいっ……!」
また僕がジビターさんをぼーっと見ていると、ジビターさんに催促されて僕も剥ぎ取りを再開した。いつもならここでも怒鳴りつけてたのに、ジビターさんは沈んだ調子で呟く様に言うだけだった。あまりにいつもの対応と違い過ぎて、何だか異様な空気感に包まれた気がして、いつもとは違う居心地の悪さを感じていた。
◇◇◇◇◇◇
微妙な空気のまま調査を続けた僕とジビターさんは、その後は特別会話を交わす事はなく、しばらくして集合時間が迫り街へと戻った。
「コニー君にジビター君、戻りましたね」
僕達が街の門をくぐると、すでに帰還していたヒリアさん達と合流した。後ろにサヴィエさん達もいるので、僕達の組で戻るのが最後だった。
「では全員の所在を確認しましたので、今日はこれで解散としましょう。各組の調査結果を聞きますので、代表としてサヴィエさんとジビターさんは私について来て下さい」
「うん、分かった……」
「……あぁ」
全員の無事を確認すると、ヒリアさんは早々に解散を宣言して、サヴィエさんとジビターさんを連れて行った。サヴィエさんはともかく、ジビターさんは文句の一つでも漏らすかと思ったけど、特に何も言わずにヒリアさんについて行った。
「ジビターさん、どうしたんだろう……」
あまりに態度が変わってしまったジビターさんに、今までとは違った意味で不安を感じてしまう。別に体調に問題はなさそうだったけど、何だか心配になってしまう。
「……明日になれば、元気になるかな」
しかしここでいくら考えてもどうしようもないので、また明日会った時に考えよう。
◇◇◇◇◇◇
「おはようございます。では今日も組み分けをして、各組で調査を行いましょう」
ジビターさんと組んだ翌日、昨日と同じく基地に集まっていた。
「昨日の調査情報から、三組での調査で問題なさそうでしたので、今日も三組に分かれての調査とします。組み分けに関してですが、まだレリダ君の独断専行やサヴィエさんの索敵精度に不安が残りますので、昨日と同じ組み合わせにさせて頂きます」
ヒリアさんにまたジビターさんと組む事になると聞かされ、僕はふとジビターさんの方を見る。すると丁度こちらを見たジビターさんを目が合い、僕は咄嗟に少しだけ視線を逸らした。僕と組む事になってジビターさんがまた気を悪くしてないか、気になってもう一度ジビターさんの方を見る。再びジビターさんと目が合ったけど、昨日みたいに激昂した様子はなかった。
「「……」」
互いに目を合わせたまま、掛ける言葉もなく沈黙の時が流れる。ジビターさんから何を言われるかと思いながら身構えていると、ジビターさんは何も言わず目線を外して正面に向き直った。何も言われないのは何も言われないで、ジビターさんの心境が分からず不安になってしまうけど、気を悪くしてなさそうでひとまず安堵する。
「……では、早速分かれて調査を開始しましょう」
そんなやり取りをしている内に、ヒリアさんの説明が終わってしまった。そして瞬く間に各組が散って、あっという間に僕とジビターさんの二人きりになってしまった。
「……」
「あ……」
これからどうしようかと思っていると、ジビターさんが黙ったまま調査へ向かおうと森に入ろうとしたので、僕は思わず声を上げてしまった。
「……」
「え、えっと………」
ジビターさんがこちらに顔だけ振り返るけど、僕は何て声を掛けたらいいか迷って言葉を詰まらせる。またジビターさんを怒らせてしまうと思って思考を巡らせるけど、焦りでうまく言葉が見つからない。
「……おい、さっさと行くぞ。索敵役のお前が前に出ねぇでどうすんだ」
「えっ……は、はい……」
僕が慌てていると、ジビターさんの方から僕へ指示を出してくれた。ジビターさんの声色から全く怒気を感じなくて、僕は面食らって返事が遅れてしまった。
「そ、それで……どうしますか?」
ジビターさんの前に出た僕は、恐る恐るジビターさんに意見を求めた。また怒らせてしまうかもしれないけど、勝手に行動しても怒られそうだったから、結局僕には聞いてみるしか選択肢がなかった。
「決まってるだろ、さっさとその辺の雑魚を片付けて探索する。周りに魔物がいるのに戦えねぇお前と一緒じゃ、おちおち探索も出来やしねぇ」
「は、はい、分かりました!」
相変わらず僕に対して棘のある言葉はあるけど、今日は怒らずに会話をしてくれた。昨日からの様子といい、ジビターさんの中で何か心境の変化でもあったのだろうか。昨日今日と特別何かあったとは思えないけど、僕と対等に話してくれる様になったのなら、僕としても喜ばしい事だ。
「右前方の群れが一番近いですね……まずはそこに行きましょうか?」
「何処からでも構わねぇから、さっさと済ませるぞ!」
「は、はいっ!」
またもや悪態をつくジビターさんだけど、やはり今日はいつもより嫌な感じがしない。本当に少しだけだけど、ジビターさんと打ち解けた感じがして凄く嬉しい。まだまだ同じパーティの一員としてやっていく事を思うと、大して距離が縮まったとは言えないかもしれないけど、今まで突っぱねられていた事を思えば、確実に良好な関係に進展したのだから悪いはずがなかった。
「魔物生態情報:ネグペロー」
危険度ランク:F
種類:小型群生魔獣、犬種
主食:肉食
外界の犬種で、黒い体毛を持ち夜目が利くため、主に暗い場所に生息している。
少数の群れで行動し、高い敏捷性と機動力を活かした狩りを得意とする。
姿は大型犬に類似しているが、魔物の分類上は小型魔獣である。




