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馬の感覚器官について

 ◆視覚◆


 馬の目は互いを独立して動かすことができます。

 それぞれの目を左右に半円いっぱいに見渡せるほどの視野を持ち、顔の前には狭い範囲に「両目で見られる部分」が存在し、真後ろは死角です。


 馬は両目で見る前方よりも、単眼で見る左右の領域のほうがよく見えるため、前回のように触れ合いの際には斜め前の見やすい位置から近づいてあげる必要があります。


 当然のことながら、馬の真後ろから近づくことはないようにしましょう。


 ただし、馬はその長い首を動かして背後を振り返ることもできるため、真後ろに立っているからといって必ず蹴られるわけではありません。


 むしろよく人に慣れた馬は、たとえ真後ろを人が横切ったりしても落ち着いて振り返り、そこに人がいることを確認するだけに留めます。


 人に慣れた馬は、できるだけ人に友好的な態度を取るため、お尻を触るなどをしても動じません。

 もちろん、そこに人がいることを視覚か、もしくは聴覚で確認していることが大前提です。


「あそこに人がいるな。動いても踏んだり当てないようにしないと」


 と、自然と考えてくれます。

 馬が意図しないことで人を傷つけてしまった場合、馬はひどく萎縮し反省します。


 甘噛みをして来る場合も、大抵は歯を立てずに唇だけで柔らかく挟んでまったく痛くない甘噛みをしますが、万が一歯が当たって人が痛がる素振りを見せたなら、怒られる! と思って目をぎゅっと瞑ったり、「やべっ」という顔をしたり、あ、これ絶対叱られるやつだー! と顔を上にぐんと上げたりします。(顔をあげるのは、いけないことをしたら人が叱る目的で鼻をはたいたりすることがあるからです)


 また、夏に関しては虫が多すぎて人に遠慮したり配慮する余裕が消えて、虫が体についた! と思ったら後方確認せずにすぐに足を上げて人に当てそうになったりすることなどはございます。


 人間だってめっちゃ蚊にたかられたら手をぶんぶん振り回したくなりますよね? そんな感じでなにも考えずに振り払おうとするので夏のお手入れは特に注意が必要です。


 このコーナーで私が言いたいことはただひとつ。


 馬が人に慣れていて、人も馬に慣れて声をかけたりしながらならば背後にいても大丈夫です。


 馬がそこに人がいることを認識して遠慮してくれるから。そして、馬は背後に立ったからといって殺気立つような生き物ではなく、なるべく穏当に、穏やかに、広い心で対応する生き物だからです。


 物語上で馬に慣れているのに、頑なに背後に回らない人がいたら私は不自然に感じることでしょう。


 私はペタペタ触りますし、マッサージもしますし、なんなら血流をよくするためにお灸だってお尻に乗せます。


 尻尾の付け根はよくタオルで拭いたり、ブラッシングしないと汚れが溜まってしまいますし。


 馬は人が好きです。

 それを覚えていてくださると嬉しいです。


 ・前方直視

 馬は距離をはかるために立体像を作ることはほとんどありません。障害を飛越する際でも、単眼で距離を掴んで、乗っている人間よりも正確に障害物までの距離、そして踏み込みを把握します。


 両目で見る前方直視の領域は、近くにあるものは見えなくなります。


 故に、馬はいざ飛越する! というときに障害物を見失います。ええ、見失います。


 馬が、「目の前に近づく障害物を飛越しても安全だ」と、乗り手を信頼しているからこそ、馬は目の前にあったはずの障害物を突然見失っても迷わず飛越することができるのです。


 ◆聴覚◆


 馬は聴覚をよく使います。そのラッパのような両耳は、それぞれ個別に動かすことができます。


 馬に話しかけることは、友好を示すためにも、自分の安全性を伝えるためにも良い方法となり得ます。


 ・逃走


 馬は大きな音がすると、頭をぐっと上げて音源の方向を向き、その音がどんなものかを確認します。そのとき、全身はそちらに向けません。首や顔だけ向けます。


 なぜなら、そうしなければすぐに逃げ出すことができないからです。


 馬が驚いたときは、ぐわっと逃げる、もしくはその場で跳躍してしまう、いきなり方向転換のドリフトして人を遠心力で振り落としつつどっかにいくなどのことをします。


 ◆触覚◆


 ・馬の皮膚

 めちゃくちゃ鋭敏な触覚があります。

 一匹のハエが、毛に止まっただけで正確にその場所を尻尾で払いのけてみせるほど鋭敏です。


 なのに人が乗り、腹を刺激して前進を促しても余裕で無視することもあります。どっちだよ。


 ・目の周りの毛、鼻周りの毛

 近くのものを正確に感じとるために重要なものです。

 昔は切る人もいましたが、現在では馬のヒゲを刈ってしまうことは違法になっています。


 ◆嗅覚◆


 嗅覚で馬は自分の食べられるものを確認しています。鼻先を擦り合わせることによる仲間とのコミュニケーションや、見知らぬ馬とのコミュニケーションなど群れる馬の社会に必要なものを備えています。


 馬は自分に毒になると分かっているものは同じ草原にあっても食べません。だいたいは食べません。


 ◆味覚◆


 基本的に甘いものが大好きです。

 また、ちょっとした塩気のあるものも好みます。

 運動後など、馬はバケツから水を飲んだあと人間の手をペロペロ舐めたりなどしてきます。


 ご褒美に手を舐めても許したり、甘いものを与えたりなどをすることは大事なことです。


 大抵の乗馬クラブは、馬のご褒美に氷砂糖を利用します。ニンジンは切る必要があることと、ナマモノであること、氷砂糖が安価でたくさん入った袋詰めのものが販売されていることなどが理由です。


 今回はここまで。

 次回は「馬の感情表現」についてをお話したいと思います。


 日曜日の夜になるべく更新しますが、もし更新されなかったらうっかり寝ちゃっただけなので今回のように翌日更新されることになると思います。


 ご了承をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 馬の感覚ってそうなんですね。 前より横のが見えるとか知りませんでした。 [気になる点] 氷砂糖を食べる馬。 なんかイメージ崩れそうです。 [一言] 季節や天候・時刻ごとにどのような様子が…
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