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1一2 俺はキモい
クラスメイトによる二ノ宮へのお見舞いが叶ったのは、事故からニ週間経ってからだった。幸い、命は助かったようだけれども、全身を強く打っての重傷で、当日は長時間に渡る緊急手術が行われたらしい。その後、集中治療室での経過観察を経て、取り敢えずは一般病棟に移ったようだ。
興味の無い俺の耳にすら、こう言った情報が届いてしまう程、クラスの話題は毎日が彼女のことで持ちきりなのだ。
そりゃ、命が助かったことは良かったとは思うけれど、俺には関係の無い命だ。親しい友達であれば、失うことは痛みに感じるだろうけど。
クラスメイトとは言っても、俺は彼女とは一度しか話したことがなかった。それも、俺が喉の奥から必死に絞り出した
『こ、こんにちは。』
の言葉に対して、明らかに不機嫌そうに、
『き、きもい。』
と眉をひそめてスルスルと後退りした、ただ一度だけ。