1-13 友達不要
翌朝のホームルーム!担任に資料を病室に届けた事を伝えろと、俺は一日中ずっと机にひれ伏し続けた。
クラスの雰囲気的には、病室を訪ねた件で誰かが俺に話掛けないかと牽制しあっているようだから、全ガードしてやる。もちろん、聞かれても何も答えないつもりだったが。
それと同時に、彼女に何と言ってやろうかと、頭の中をフル回転させていた。まあ、相手は病人だ。長らく病室に閉じ込められ、面会も制限されている中での過ちならば、少しは寛容な態度をとってやってもいいかとは思うが。
そう思って少し顔を上げた時、女子の一人と目が合った。すぐに急にこわばった表情をすると、振り返って友人達とヒソヒソ話を始めた。俺のニヤニヤした顔が、どうやらキモかったのだろう。それがあってからは、誰も俺の方を見なくさえなった。
授業が終わると、すぐに身支度を整えて教室を出た。今日は誰とも話さなかった。
『まあ、毎日、誰とも話さないけどな。』
別に友達が欲しいなんて思わない。一人の方が、絶対的に楽だ。リアルな隣人よりも、スマホの向こうには話相手が何人もいる。互いに一線を超えて来ない関係は、快適でしかなかった。
誰の事も好きになりたくなかったし。