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1-12 バカにするなよ!
面会は10分程度の時間制限があるとの事で、俺は明日も来る約束を交わすと、そそくさと病室を抜け出していた。正直、どんな顔でどんな話をすれば良いのかも良く分かっていなかったから、一度、頭の中を整理したかったってのもある。
そりゃ、そうだろう。今までほとんど(というか、全くに等しい程)会話をした事がなかったんだから、どんな話をすればいいかなんて分かる訳がない。
『明日も来てね。毎日来てね。』
と言われて有頂天になっていたが、なんだ、冷静になってみれば、どうして俺にそんな事を言ったんだ?おかしくないか?
もしかして、俺をバカにしたり、弄びたくて、そんな事を言ったんじゃないのか。狼狽えている俺の様子を見て、内心ニヤニヤしていたんじゃないのか?
俺は思い切って、明日、直接この疑問をぶつけてやろうと決めた。
『俺をバカにするなよ!』
ただ、内心、心の奥の奥の方にほんの少しでも期待しているモノがあったのも、事実だった。