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1-11 ごめん!
『ご、ごめん!』
急いで起き上がり、すぐに頭を下げて謝った。いくら、勢いだったとしても、彼女と身体を(布1枚挟んでいたとはいえ)重ねてしまったことは、気まずかった。顔を赤らめた彼女の表情が目に焼きついた事も、動揺を大きいものにした一因だ。
『私の方こそ、ごめんね。』
と、彼女が俺の左腕を握ってきた。その声につられて、ゆっくりと顔を上げる。すぐには目を合わせられなかったけれども、どうやら、怒ってはいないようだった。
『ゆ、許してくれるの?』
『そうねえ。これからも毎日、来てくれるなら、許してあげてもいい、かな?』
『えっ?』
『聞こえなかった?明日も、明後日も、来てくれるなら、許してあげるって言ったの。』
耳を疑う言葉にすぐに反応したのだけど、嘘や冗談じゃなかった。
『よかった。喜多川くんが、これから毎日来てくれるなら、入院生活も悪くないかな。』
そう話す彼女は、俺の左手をしっかりと握り続けていた。
『わ、分かった。これから毎日来るよ!』
俺にはそう答えるしか選択肢が無かったし、
実際にそうしたくなっていた。