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1-1 彼女の名前は、二ノ宮
ありふれた日々の生活の中で、ちょっとココロにときめきを。
好きでもないクラスメイトの女子が死にそう
だからって、俺が何かをする訳ない。その必要も無い。
悲しんだり、心配になるのは、仲の良い人間がすればいいじゃないか。クラスの中心人物だった彼女のことだから、実際にみんなが揃いも揃って口にしている。教室の空気はそれに支配されていて、居心地が悪いったらない。
まあ、彼女—二ノ宮凛花–が学校帰りの道で左折してきたトラックに轢かれ、救急車で病院に運ばれたことに対しては、不運だったなとは思うけど。
「帰りに病院にお見舞いに行こうよ。」
はいはい、仲良しさん達は、行ってらっしゃい。
「お花買って持って行こうよ。」
まあ、定番だよな。まさか、クラス全員で金を出し合おうなんて言わないよな。こっちは小遣いギリギリ生活民なんだから、そんな出費に構ってなんかやれねえんだよ。
幸いな事に、仲の良いメンバーがお見舞いに行く流れになってくれ、俺の心配は杞憂なものになった。