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あたしの選択

高橋亮太に連れられて、彼の車に乗り込むと、すぐにエンジンがかかり車が動きだした。


そして何故か店を出てから今、この時までずーーーーーーーっと無言。いるよねぇ~車の中の沈黙を耐えられないってヤツ。誰だよ。あたしだよっ!耐えられないよっ!ちょー気まずいんですけど?


「あ、あの…」

「……」

「た、高橋さん…?」

「…何?芹香」

「なんか、怒ってます…?」

「……怒ってない」


いやいや、あんさんめっさ機嫌悪いですやん。


「え、でも…」

「ーーーーー はぁ… ごめん、本当に怒ってるわけじゃないんだ。ちょっと、その、(ヤキモチを…ごにょごにょ)」

「えっ?」


心なしか落ち込んだような力ない声をしてるけど、最後声が小さすぎて聞き取れないよ。


「芹香は、司とチーク踊ってどう感じた?」

「どう…とは?」

「君は司が…いや、司じゃなくても、誰か好きな人がいるの?」



好きな人… あたしの好きな人…?




あたしは…生まれる変わる前、一度だけ片思いの人に告白したことがあった。



彼は可愛いタイプの男の子で、とても人懐っこくて、友達に囲まれていつも笑ってるような、そんな人だった。

前世のあたしは身長も高く、女子力なんてかけらもないガサツな女だったけど、彼のことが好きだった。


おしゃれで綺麗なクラスの友達に引目を感じていた時『お前の明るくて元気なところ、俺はいいと思う。お前はお前だよ。人と比べることなんかない』って言ってくれて、ますます彼が好きになった。


ある日、意を決して彼に告白することにした。


直接伝えるのが怖かったし、すぐ返事が来るのも怖かったから、LINEじゃなくメールで想い伝えた。


次の日、教室の近くまで行くと、彼があたしの送ったメールをクラスの男子達に見せ、笑っているのを見てしまった。


『へぇ~え、ずっと好きでした。だって!お前モテんじゃん!んで?つき合うのかよ?』

『はぁ?やめろよなー!誰があんなゴリラ女と付き合えるんだよ。マジ無理だってー』

『あははは!お前ひでぇーー!』


頭が真っ白になって、そのまま家に帰ったらしい。覚えてないけど。 


それ以来リアルの男を好きになるのが怖くなった。だからあたし…私は心のトキメキを乙女ゲームに求めた。だって、選択肢さえ間違わなければかならずハッピーエンドを迎えられるから。


そして、前世の私は、最後まで誰ともつき合う事なく死んだのだ。



あの失恋した時の心の傷は前世の事でもあるし、時間もかなり経過しているから今はもうそれほどでもない。


だけど誰かと付き合って、恋人同士になれるかは… 正直、怖い。

好き…というか、多分あたしは… 優也君が気になってはいる、けど、このまま伝えられる気がしない。

また傷つけられたくない。今のままがいい。最後の1歩を踏み込む手前までなら大丈夫なのだから。



「あたし…あたしは好きな人は居ません」

「なら僕と「でも!今は誰とも付き合う気はありません」

「…っ、そうか…」


それからまた車内は静かになった。 



これ、乙女ゲーム的にはバットエンドだよねー。




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