表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/155

18-2

 翌日。


 事務所のソファの上で跳ね起きたわたしがいた。ヴーッと鳴ったインターフォンの音で目覚めたのである。


 壁の大時計を見ると午前十時を回ったところ。いつもならとっくに外回りに出掛けている時間である。今日はちょっとおねむが過ぎたらしい。


 玄関の戸がしきりにノックされ、「メイヤちゃん、メイヤちゃん」という男性の呼ぶ声がする。


 はーいと返事をしつつ、ブーツをはいた。立ち上がって戸に近付いた。覗き窓から外を確認。すると、すっかりひたいが後退した、小太りの『不動産屋』の主人が見えた。


「何かご用ですか? 何か依頼でも?」

「依頼じゃないんだ。とにかく早く届けようと思って」

「届け物、ですか?」

「そうなんだ。とりあえず、ドアを開けてもらえるかな?」

「わかりました」


 玄関を開けた。中へと導き入れようとしたところ、「ここでいいよ」とのことだったので、わたしは足を一歩外へと踏み出し、クローザーが機能して閉じてしまわないよう、背中でドアを押さえた。


 左の小脇に抱えていた小さなダンボールを、『不動産屋』の主人はわたしに手渡してきた。


「これ、さっき届いたんだよ。でも、ご覧の通り、メイヤちゃん宛てだってだけで、差出人の欄には何も書かれていないんだ」

「ひょっとすると、爆発物か何かかもしまれませんね」

「えっ、そ、そうなのかい?」

「はい。職業柄、誰かの怒りを買っていてもおかしくないと考えますので」

「だ、だったら、うん。お、おじさんが警察に持っていくよ」


 ありがたい申し出ではあるものの、主人の両手は震えている。おまけに及び腰である。その様子がおかしくて、わたしは少し、笑ってしまった。


「冗談ですよ。そもそも爆発物を寄越したいのであれば、わたしに直接、送り付けてくればいいんですから」

「う、うん。それはそうだ。でも、万が一ってことは……」

「可能性はゼロではありませんけれど。でも、大丈夫です。わたしが対応します」

「い、いいのかい?」

「はい」

「なら、おじさんは引き揚げるけど……」

「そうしてください」


 『不動産屋』の主人は、廊下を進み、一度振り返って、あらためて不安げな顔を向けてきた。わたしが笑みを浮かべながら、バイバイと手を振ると、彼は小さく頭を下げて階段をおりていったのだった。


 わたしは早速、ソファにつき、箱を開ける。開けた瞬間に爆発する。とりあえず、そういった事態にはならなかった。中に入っていたのは、一つのビデオテープだった。VHSである。プチプチの緩衝材を破って、それ取り出した。うーんと唸る。差出人は、どうしてこんな物を送付してきたのだろうか。気になる。中身の映像がどんなものなのかと興味を持つ。しかし、あいにく、我が事務所にはビデオデッキなどない。


 そこでまず、近所の『電気屋』を訪れることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ