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10-2

 日中、しばらくあちこちを歩いて回った。いずれの犯行も昼間に行われたからである。


 日が高いというのに、路地裏でクスリを流している連中とたびたび出くわした。そいつらに「子供には売るな」と釘を刺す。「へいへい」と退散していくヤツばかりだ。わたしのことを煙たがっている売人はそれなりにいる。名誉なことだ。ずっとそうあり続けたい。


 路地に面した安っぽいアパートを通り過ぎようとした時だった。狭い道の壁に車体を擦り付けるようにして、左方からパトカーがやってきた。


 さっき会ったばかりのミン刑事とまた顔を突き合わせることになった。彼は眉間にしわを寄せ、難しい顔をしている。


「ひょっとして、四件目ですか?」

「どうだかな。玄関の戸をこじ開けてみないことにはわからん」


 現場は二階にある一室。私とミン刑事、それに通報してきた家主である夫が見守る中、作業着姿の警官は大きなワイヤーカッターを使ってチェーンロックを切り落とした。


 ミン刑事に続いて部屋へと立ち入る。


 南向きの位置にある窓を背に、水色のワンピースを着た若い女性が、これまでのやり口と同じく、カーテンレールにはりつけにされていた。胸には刃物で貫かれた痕。やはり口にはガムテープが貼られている。


 夫の男性が嗚咽を漏らす中、ミン刑事がぼさぼさの髪を掻いた。


「またかよ」

「またですね」


 私はベランダへと続くガラス戸を確認した。施錠されていなかった。


「状況だけ見ると、玄関から入り込んだように見受けられますね。そして、犯行を済ませてから玄関に鍵をかけ、ベランダから逃げた」

「玄関の戸を施錠したのは、少しでも発見を遅らせるための仕掛けなのかね」

「恐らく」

「どうやってここに立ち入ったと思う?」

「宅配業者を装ったのでは?」

「そう考えるのが妥当だろうな」

「気合い、入りましたよ」

「どうしてだ?」

「何度でも言います。凌辱された上で殺されるだなんて、女性としてはゆるせません」

「それは理解できるが」

「わたしはわたしなりに捜査します。運任せの部分も多分にありますけれど」


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