7-4
近くにあった公衆電話から、警察署に連絡を入れたところ、運良くミン刑事を捕まえることが出来た。
「なんの用だ?」
「例の爆弾騒ぎですけれど、犯人らしき人物の名前と住所が割れました」
「そいつは朗報だ。しかし、どこでそれを知った?」
「ついさっき、街中で二件目が起きたんですよ。被害者は男性でした」
「そいつから得られた情報というわけか」
「男性はやはりプラスティック爆弾を鎖で巻き付けられていました。手口が同様ですから、同一犯と見て間違いないと思います」
「で、爆発によるけが人は?」
「いません」
「たったの一人もか?」
「自爆を強いられた男性自身が、市民に避難を促したんですよ」
「それだけじゃあ、よくわからんな」
そこまで話したところで、ミン刑事が「ちょっと待て」と言った。三分ほど待ったところで、彼は電話口に戻ってきた。
「また爆発が起きたそうだ。場所は港湾近くの廃倉庫。今しがた通報があったらしい。ルイのヤツを急行させた」
「三件目、ですか」
「いや。時間的に考えると、二件目と時を同じくして起きたんじゃないかね」
「となると……」
「なんだ? 何かあるのか?」
「さっきわたしが出くわした事件の被害者と、廃倉庫で亡くなった人物との間には、親子関係があるかもしれません」
「そうなのか?」
「わたしが得た情報からすると、そうなんです」
「わかった。調査してみよう」
翌日の十三時頃。デスクに置いてある黒電話がジリリリと唸りを上げた。出てみると、ミン刑事だった。
「詳しく調べてみたが、おまえの言う通りだったよ。街で爆散したニンゲン、それと廃倉庫で飛び散ったニンゲンは親子だったようだ」
「やっぱり……」
「どういうことなんだ?」
「昨日、わたしが出くわした事件についてなんですけれど、被害者男性は息子さんを人質に取られているから、止む無く街中で自爆するしかなかいと言っていたんですよ。言う通りにすれば、息子の命は助けてやると犯人に言われて」
「そういうことか。だが、結局は息子まで殺した」
「ちょっとゆるせませんよね」
「ああ。胸糞が悪くなる」
「それで犯人の家にがさいれはしたんですか?」
「無論だ。慎重に慎重を期して進めたよ。隣人に無理を言って、壁を壊して部屋に侵入した。そしたら案の定、玄関を開けたら爆発するっていう仕組みになっていた。その仕掛けを取り除くのに、ウチの処理班は随分と手間取った」
「近隣住民に聞き込みはしたんですよね?」
「ああ」
「何か犯人の特徴のようなものはわかったんですか?」
「細面に切れ長の目。長身。そして、右脚の膝から下は義足だそうだ。だから、びっこを引いて歩く」
「びっこを引いて歩く、ですか。貴重な知らせと言えますね」
「ああ。その情報に基づいてパトロールさせている。そうである以上、やっこさんは軽率に動けないはずだ。とっつかまることを覚悟しているんだったら、話は違ってくるがな」
「でしたら、これ以上、わたしにできることはなさそうですね」
「そうだな。続報があれば伝えるよ」




