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警らのニンゲンから報告を受けたらしいミン刑事がやってきた。現場であるこの公園の出入り口は封鎖され、まもなく飛散した肉片の処理が始まろうかというところである。
「おまえも災難だな。こんな事件に出くわしちまうなんて」
「ちゃんと距離は取っていたんです」
「それでも、爆風にはさらされたんだろう?」
「はい。吹き飛ばされて地面に背中を叩き付けられました。痛みはしばらく続きそうです。でも、平気です」
「おまえが頑丈なのは知っているつもりだが。で、爆散しちまったヤツとは何か話せたのか?」
「話せました」
「なんて言ってた?」
「なんでも、知り合いに爆発を強いられたようです」
「犯人がいるってことか」
「恐らく被害者は、何かの理由で犯人宅に招かれたのではないでしょうか。そして、なんらかの手段をもって気絶させられ、その隙にプラスティック爆弾を腹に巻き付けられた」
「爆弾が遠隔操作式か時限式かはわかるか?」
「時限式のようです。でも、もしかしたら、スイッチ一つで爆破させることも可能だったのかもしれない。現状、そう判断しています」
「被害者がこの公園まで来たのはどうしてだ?」
「ここを訪れたら、起爆装置を解除してやると犯人に言われたそうです」
「そんなの嘘っぱちに決まってるじゃねーか。公園にまで出向かせておいて装置を切る理由がまるでない」
「その旨はわたしも伝えました」
「他に情報は? 何かないのか?」
「話をするうちにわかったことなんですけれど、被害者は犯人を指して、「あの野郎」と言っていました」
「犯人は男だってことか」
「はい」
「だが、知り合いの男だってだけじゃあ、捜査は困難を極めそうだな。家探し一つするにしたって、骨が折れそうだ」
「ミン刑事の腕の見せどころですよ」
「あらかじめ言っておくが、捜査協力は依頼しねーぞ」
「相手が爆弾魔で、危険度が高いからですね?」
「そういうこった。だが、依頼がなくとも、おまえは関わろうとするんだろうな」
「街の安寧を願う者として、そうさせていただきたいです」
「わかった。ゆるそう」
「あら。いいんですか?」
「どれだけ言い聞かせたところで無駄だろうからな。だが、危ないと思ったら、すぐにこっちに回せ」
「わかりました」
「本当にわかったのか?」
「くどいですね。ミン刑事は」
「おまえの身を案じているんだよ」
「嬉しいなあと思います」
「本心で言ってるのか?」
「勿論ですよ」
「信じていいんだな?」
「本当にミン刑事はしつこいですね」
「だから、しつこくもなるってんだよ」
「無茶はしません」
「約束だぞ?」
「はい。約束します」




