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6-2

 シャッターをそっとノックした。それでも反応がないので、乱暴に殴り続けた。そのうち、犯人とおぼしき男の声が耳に届いた。


「あんまりガンガン叩くなよ。やかましいから」

「わたしの声は聞こえるようね」

「ああ。聞こえてるよ。もう少し大きな声でしゃべってもらえると助かるけどな」

「了解。さて、話をお聞かせ願えるかしら?」

「アンタは誰なんだ?

「探偵をやっているの」

「探偵だあ? そんなヤツがなんの用だよ」

「警察からネゴシエートするよう仰せ付かったのよ」

「ネゴシエート? そんなもんで俺が投降すると思うのか?」

「一千万ウーロンは警察が用意したハッチバックにのせられているわ」

「そうしてもらわないと困るんだよ」

「といっても、逃げたところで、警察は貴方のことを執拗に追うでしょうけれど」

「覚悟してるさ。なあ、アンタ」

「何かしら?」

「鍵をしていない。アンタがシャッターを開けろ」

「時に無謀は悲劇をもたらすわよ?」

「いいから開けろ」


 言われた通り、わたしはシャッターをガラッと上に開けた。すると、男がカウンターの前に座り込み、泣きじゃくる女性の首に腕を巻き付けた状態で、彼女のこめかみに銃口を突き付けている様子が見えた。咄嗟にこちらも銃を構える。


「撃ちたくても撃てねーだろ。この状況じゃあよぅ」


 確かにそうだ。撃てば人質に当たってしまうかもしれない。


 男はわたしに大きく後方に退くよう命じると、人質女性の首に腕を回したまま、彼女を引き摺るようにして建物から出てきた。


 ハッチバックの助手席に女性を押し込む男。続いてパンパンと発砲。警察官はパトカーの分厚いドアに身を隠す。


 その隙に男は運転席へと乗り込み、そして車を走らせ一目散に向こうへと消えた。


 近寄ってきたルイ刑事が、「金を奪われ、人質の女性も連れていかれてしまった。最悪ですね。ああ、だからと言って、貴女を責めるつもりはありません」と発言した。彼は「手の打ちようはなかったわけですから」と続けた。


「しかし、どこかで女性は解放されるのではないでしょうか? 人質をとったままだと、動きが制限されてしまうでしょうし」

「同感です。その際には」

「射殺するのもやぶさかではないと?」

「そんな指示は出しませんがね」

「わたしは法廷で裁かれることを望みます」

「私だってそうですよ」


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