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5-3

 フートンからさらに奥まった路地に入ったところで、売人らしき男と出くわした。


 こちらが「何を売っているか教えてもらえる?」と尋ねると、「傷持ちのねーちゃんよ、俺がさばいているのは単なる葉っぱだよ」と言われた。


「じゃあ、その葉っぱを見せてちょうだい」

「そんな義理もなけりゃ義務もねーよ」

「”蛾”って言ってわかるかしら?」


 途端、男は素早く懐から拳銃を抜き払った。すかさずその手を右足で蹴り上げる。折ってやった感触があった。銃を手放した男は「ぐっ……」と濁ったうめき声を発しながら、うずくまった。


「もう一度訊くわ。”蛾”って知ってる?」

「くだらねぇ質問だ。そんなもん答えるかよ」


 ひざまずいている相手の側頭部に右、左と蹴りを決めた。どっと横たわった男は、「話す。話すから、もうやめてくれ」と答えた。情けない話だ。


 男は懐から白い粉が入った小さなビニールの小袋を取り出し、それを寄越してきた。


「これが”蛾”ってわけ?」

「そうだよ」

「全部出して」

「それは……」

「また蹴られたい?」

「わ、わかった。わかったよ」


 渡された袋は計五つ。わたしはそれらをジャケットのサイドポケットにおさめた。


「”蛾”を売るのは割に合わないって聞いたんだけど?」

「そうでもねーさ。一度売れちまえば、結構な稼ぎになる」

「それほどまでに中毒性が高いってこと?」

「ああ。そこらのクスリなんて目じゃねーよ」

「だけど、それはもうやめにしてもらえないかしら」

「俺がやめても、誰かが売るさ」

「ふぅん」

「ねーちゃんは何者なんだ?」

「探偵よ」

「たかが探偵風情が、なんで”蛾”を追ってる?」

「成り行きよ。でも、わたしは街が平和であることを望んでる」

「そんなちんけな正義感が拠り所なら、身を引いたほうがいいぜ? ウチにだって、お抱えの殺し屋くらいいるからな」

「だったら、その殺し屋とやらを始末して見せるわ」

「本当に、どうしてそこまで強気なんだ?」

「だって実際、わたしは強いから」


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