異世界転生したら支○人だらけだったので駆逐した
俺は盧溝橋事件で最初に発砲した英雄だぞ。
さらにこの俺の日本刀のような魔羅で慰安婦たちを3000人切ってやったぜ。工場のベルトコンベアー式に慰安婦を並べて、流れるようにとっかえひっかえ入れたのはさすがの俺も疲れたわ。かの虫の国が我が手に納まりかけたところで俺は無念の死を遂げた。
ここはどこだ?真っ白い空間が俺の視界を支配した。今の俺はまるで宙に浮いているとも、水に浮かんでいるとも区別がつかないフワフワした状態だ。
確かに俺は死んだはず…
「そうじゃ、お前は死んだ」
うわっ、びっくりした。いきなり声が聞こえてきた。周りを見ても何も無い。おそらく脳内に直接話しかけているのだろう。俺は未知なる声に問うた。
「汝誰ぞ」
「ワシは神じゃ」
神…だと…!?…まぁ死後の世界だし居るのは当然だ。俺はさらに問答した。
「俺はなぜこんなところにいる、答えろ」
「お主の前世の行いが悪辣非道だったからじゃ」
「戦争なんだ、仕方ないだろ。俺とて好きでやったんじゃない」
「いや、ワシにはすべてお見通しじゃ。お主の外道なのは特に罪もない弱いものを蹂躙したことじゃ。しかもお主はそれに優越感を覚えていたのは偽りのない事実じゃと神のテレパシーで読み取った」
「ちっ!人の心を勝手に読みやがって!何度もいうがこれは戦争なんだ。戦争だから何をしても許されるんだ」
「いやそれは違うのじゃ。戦争だからこそ弱いものを助けるべきじゃ。例えば敵国の捕虜を優遇してスパイを育成することだってできたはずじゃ。お主の行為は独りよがりな身勝手な行動で他の大勢に損害を与える極めて幼稚な行動じゃ。恥を知るが良い」
「そんな…俺は…」
俺は狼狽した。こんなわけもわからないやつに論破されて気が狂いそうだ。
「じゃがワシは神じゃ。神は何者にも救済を与えるのが使命じゃ。お主とて例外ではない」
「何をしてくれるのか?」
「お主を生き返らせよう」
「本当か!それは助かる。もう人間なんて御免だぜ。来世は鳥になりたいです。鳥になって、果てしなく続く空をグルグルと回っているだけでいい。そんな自由で気ままな生き方に憧れてたんだ!」
「いや、お主はまた人間になるぞ。しかもお主にはギルティがある。それを償う意味も込めて今回特別に同じ地球で転生させることにした」
「そんな、俺の夢は…」
「じゃが安心しろ。前の世界とはほとんど変わらぬようにしてある。ただしお主にはちとキツかろうが」
「どういうことだ?」
「行けばわかる」
杖のような物が地面に叩きつけられるような音がした。その刹那、俺の体は落下を始めた。真っ白い空間だから上に落ちてるのか下に落ちているのかわからない。俺は軍の落下傘部隊に居た頃を思い出していた。ゼロ戦から緊急脱出する際のマニュアルは覚えていた。俺は受け身の態勢をとった。すると視界が開けて、俺は地面に激突した。受け身が功を奏したのか、幸い怪我は無さそうだ。それよりも…
この奇妙な街は何だ?
子供のころに見たニューヨークの街並みのようにビルが乱立している。それに、母国語に混じって我が敵国の文字が入り乱れているではないか!これは由々しき事態だ。近くを通りがかった人を捕まえて尋ねると驚くべき答えがかえってきた。
聞くところによると、ここは俺が居た時代よりも一世紀後の未来だということ。俺が知っている世界とは少し地形も歴史も違うこと。国や人種はほとんど同一であること。そして何よりも、我が憎き敵国シナジンが地球の人工の5割を占めていて、実質的にあらゆる国を支配しているということだ。あのシナジンどもが!クソがっ!俺は怒りに震えた。そして奇妙なことに握手とサインを求められた。
「なぜ俺のサインを?」
「それはあなたがこの国の総理大臣だからです」
どうやら俺は母国の未来の総理大臣に転生したらしい。
やったぜ。