第七話
今回が第七話な理由は、私のせいじゃないんです!
先走った馬鹿が居るから……。
ホントは六話の予定だったのに……。
今日も、秘密基地で目が覚めた。
そろそろ、夢も覚めて欲しいものだが。
シロとクロとギルガメッシュが眠っている。最初に目を覚ましたのはシロだった。
「ギャッ!」
意訳、任務完了。
「何か、変化をもたらして来れたか?」
「ギャギャッ!」
意訳、特に変化無し。
「分かった、もういい。
クロ、起きろ。
起きたら、コイツを丸呑みしてみよ」
クロは、恐らく寝惚けながら、ギルガメッシュを咥えて、秘密基地の外に出る。そして、真の姿となる。
全長は100メートル程と、シロより小さく思えるが、クロは西洋の『ドラゴン』の姿だ。即ち、竜。シロの方は、龍と言えよう。
「火炎袋にでも放り込んでおくぞ」
物騒な事を言うが、命じた方も物騒と言えば物騒な命令をしている。
「問題あるまい。鳳雛なら、死ぬまい」
呑み込まれたギルガメッシュは、火炎袋の中で目覚めたらしく、「ほぅ……。中々、心地良い」などと呑気なことを言っている。その声が、クロの体内を響いて聞こえて来る。
「問題ないな。
……ン?どうした、クロ」
「……ブレスに癒しの属性が備わってしまった。
これでは、攻撃手段と成り得ぬ」
「……使い道はあるだろう。考えろ。
さて、クロ。あっちのギルガメッシュも呑み込んで来い。
何度も輪廻出来るからと、短い周期で輪廻を繰り返しても、世界は変えられぬ。
世界は、変えねばならぬ。いつでも。いつまでも」
たとえ、地球の終わりまでしか変えられなかったとしても、地球の終わった後の宇宙か、他の宇宙、或いは輪廻した地球にバタフライ・エフェクトを与えられる。
「人は、今世で幸せになれなければ、来世でも不幸なままなのだ。
だから生きねばならぬのだ」
死後の世界。それは、恐らく、一段階高いレベルの意識の覚醒にしかならないだろう。そして、そこでも不幸なら……。
だから、『眠れ』、確か夏目漱石だったか、そう言ったのだ。一段階、レベルの低い意識で、幸せを体験出来るのならば……。束の間の、本当の『夢』だし、悪夢の可能性も、無いわけじゃない。でも、世の中には『悪夢を見ない方法』などというものもある。
神にも、悪性はある。だから、100%全ての人が幸せになどなれないだろうが、『一生に一瞬も幸せを感じる瞬間は無かった』なんて人生は、ほぼあり得ないだろう。それこそ、かなり幼少期に亡くなっていなければ。
私の兄は、そうだったかも知れない。でも、恐らく、私に加護をくれている。
大した人生は歩めそうに無い。
だけど。
幸せを感じる瞬間はあった。
これからもあって欲しい。
そんな私を殺す者が居るならば、覚悟するが良い。
2人分、呪ってやる。
否、誰かを殺そうとする者よ、覚悟するが良い。
呪われた人生で、幸せを感じられるなどと思うな。
そして、自害する者たちよ。
自分で自分を呪って、どうする?
だから、不幸なのだ。
自分で自分を、繰り返し輪廻で呪って不幸になって……。
そして、人を自害へ導いた者たちよ、繰り返す輪廻で倍増した呪いを受けて生きる覚悟をせよ。
生半可な不幸で済むと思うな。
それでも自分は幸せだと?
幸せの絶頂からの不幸の絶頂ほど、苦しい物は無い。
それにしても、神と言うのは悪趣味なものだ。
悪性を持っているからと言って、人の不幸を楽しむだなどと。
恐らく、幸せの娯楽を楽しみ尽くし過ぎたのだろう。
だから、神よ、知れ!不幸の苦しさを!
原初の神は、孤独を苦しんだのだろう。
だが、今、不幸の苦しさを知りつつある神々よ、導いてくれ、どうか、出来るだけ多くの者が幸せになる世界へと!
丹羽 鳳雛よ、ギルガメッシュから解き放たれるが良い。
短い輪廻を繰り返し、願いを叶えるだけの人生から、長く生き、幸せを知る人生へと。
「クロ、呉々も頼んだぞ。
ギルガメッシュを呑み込め。
そして、しばしの孤独を癒してやれ。
それまで、帰って来なくとも良い!」
「嫌じゃ。すぐに帰ってくる」
そう言って、クロは飛び立った。
さて。
私は、1つ、証明しなければならないことがある。
夢の中のこの場所、本当に孤島なのか?
陸続きならば、人に会える可能性もあり得よう。
シロの背に乗って観察するなら、楽だろう。
でも、ここは、敢えて楽しもう。――探索を!
「シロ、行くぞ!ついて来い!」
「ギャッ!」
そして、私は海岸線を辿ろうと、歩み始めた。
少し後方を飛ぶ、シロを引き連れて。
次が第九話になる保証は御座いません。
馬鹿が暴走したら、また話が飛ぶ……。
というか、2つの話の関連性に気付いて読んでいる方って、居るんですかね?
逆に、気付かないと読んでも意味不明で読むわけないかとも思いますが……。