第四話
何故か今回も第四話です。
その晩も、同じような夢を見た。
だが、始まりは、『秘密基地』で目覚めるところからだった。
同じように、シロ、クロ、そして鳳雛も眠っていた。
そして、シロは卵を産んでいた。
「おお!」
貴重な食料。……だが、卵を食べてしまうことに、シロが怒ったりはしないか……?
こっそり持ち出し、岩場の海岸に行く。箸に使えそうな木の枝二本も忘れずに。
丁度良さそうな岩の窪みを、『天法』で熱することを試してみる。
火属性の、『丑』『卯』『巳』と試して、ようやく成功した。
思ったより、容易に威力を調節出来て、その岩の窪みが良い具合に熱された。
その、『良い具合』になるまでに、私は竜の卵を苦労して割っていた。
見事に出来た、目玉焼き。多少の焦げは気にしない。
綺麗そうな海水で若干の塩気を足して食べると、中々の美味だった。
秘密基地に戻ると、起きていたのはシロだけだったが、怒ってはいない様子。
しばらくすると、クロと鳳雛も目覚めた。
鳳雛は、目覚めると、頼みもしないのに自己紹介を始めた。
一応、『ギルガメッシュ』という名前は覚えておくことにした。あと、雛でも変化して飛べるらしいことも聞き出した。「ここまではどうやって来た?」と言ったら、「変化して飛んで来た」と簡単に重要な情報を吐いたのだ。
「……丹羽 鳳雛は知っているか?」
ギルガメッシュは、「ウム」と頷く。
「シロを、ソイツの元に連れて行ってやってくれないか?」
「良かろう」
ギルガメッシュの了承は得られたが、シロが「ギャッギャッ」と騒いで嫌がる。
「『ハク』!」
私は、シロの真名を呼びつけた。
「ギルガメッシュについて行け。……行けるな?
不満があったら、帰って来ても良い。
だが、一度だけ行け。『永劫回帰』に揺らぎを起こす為に」
シロは、渋々と頷く。
「ギルガメッシュ、ちょっと移動してもらえないか?
この姿では、シロもついて行けない」
「良かろう」
砂浜へと移動することにした。恐らく、十分な広さがあるはずだ。
「シロ、真の姿へ」
シロは、メキメキと音を立てて大きくなって行き、尻尾まで含む全長は150メートルほどにもなった。
「……クロの方が適役だと思うのだが……」
シロは、そんな不満を述べるが、私は卵を1つ食べた。コイツ程の齢を重ねていると、いつ、次の卵を産むのか、分かったものではない。それに、『聖賢』を名乗る奴が、黒い竜を受け入れない可能性があった。
「別に、役目があるなんて思わなくて良い。奴の様子でも、報告に戻ってでも来れば、それで十分だ。
それに、シロの方が賢いしな」
これには、クロが「ギャッギャ」と騒ぐが、放置だ。
「ギルガメッシュ、頼むぞ」
「ウム」
触れても熱くないことを知った私は、ここまで鳳雛を、掌に乗せて運んで来た。
その鳳雛が、七色の烏へと変貌を遂げ、シロを導いて飛んで行った。
「……さて。
こちらはこちらで、サバイバルせねばな」
海岸に背を向けると、山と言うにはちょっと小さな山が見えた。
お目当ては山菜だ。
気付いたことがあるが、この島、季節感が出鱈目だ。
北方の島なのか、少々寒いが、島の中に、四季が点在している感じだ。
秘密基地は、どうやら、夏の地域らしく、着衣を脱がなければ、凍死するほど寒くは無い。それも、猛暑の時期でもないので、寝苦しいということも無い。
山の中で、せめて蕗でも見つけられれば……。
「クロ、行くぞ」
「ギャッ!」
……1時間後位だろうか。
蕗は、外蕗の青蕗を選ぶ余裕があるだけ採れ、独活も一本、筍も根曲がり竹のものだが、少量。そして、やはり不思議な事に、桑の実やコクワの実も、その場で食べる分だけは見つけた。キノコは全く知識が無いので避ける。
大した量は持ち歩けないが、節約すれば2・3日は何とか凌げる程度の食料を確保したところで、秘密基地に持ち帰った。
収穫はそれだけではない。――湧き水を見つけた!
溜められはしないが、いざという時に、水の印を使わなくて済む!
水の印は、半分程を使い切っていた。だから、非常に助かる。
今日は、殺されずに、静かに眠れそうだった。
キーワードを変更しないとですね。
あらすじも見直します。