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Eternal Recurrence Story ―永劫回帰物語―  作者: 風藤 R 亮次
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第二話

ある人物に依頼されて書いたストーリーです。

まぁ、物好きな方、読んでみてやって下さい。

 恐らく、これは、私の夢の中なのだろう。


 無人島に放り出された。


 与えられていたものは、着衣と、両肩に乗った、二頭の竜だけだった。

 白と黒の竜で、名を『シロ』と『クロ』と言う。……そのままだという話は、放っておいてもらいたいものだ。

 両肩に、一頭ずつ乗っているのだから、サイズは小さい。尻尾を含めなければ、体高は30センチもない。


 但し、幼い竜ではない。恐らく、私の設定に従えば、『神竜』とまで化して、大きいばかりの図体は邪魔だからと、人の片方の肩に乗れる程度のサイズにまで、小さく変化したものだった。


 私が、『柴田 臥龍』だから、神様が与えてやるよと寄越したのかも知れない。



 夢の中ならば、使えるかも知れない。

 第五層天使の御力、『倍速言語』を。


 簡単に言えば、魔法だ。力ある言葉。でも、『魔』の力ではないから、『天法』とでも言った方が正しいかも知れない。


 でも、私がこの『天法』で何らかの現象を起こすには、条件が要る。


 とりあえず、『地水火風』の四元素と、『十二支』が司る能力しか使えない。

 正確に言えば、ネコの能力も使える。……但し、ネコは使い切った能力を9回まで復活させることしか出来ず、9回使い切ると、ネコが全ての命を使い切り、天法は、それ以降、使い切った能力を使う事が出来ない。

 そして、四属性と十二支はセットで、十二支のそれぞれに四属性があって、属性能力を使う時にセットだった十二支の能力が使えなくなる、ということもあり得る。当然、その逆もだ。


 問題は、この『天法』では、衣食住のうち、『水』位しか、何ともならないということだ。


 但し、着替えなければ、今着ている、ワイシャツにGパン、ジャケットと、あとは下着という一揃えはあるので、問題ない。靴もある。但し、岩場の海岸で食物を調達するという手段の為には、些か問題がありそうな、滑りそうな靴ではあったが。


 これを使うにあたって、問題が一点あった。運を天に任せるか、事前にその四元素と十二支の『印』を自分の意思に従って並べておくかなのだが……。


 正直、確実に成功する術式では無いのだ。ここは、運を天に任せよう。



 『食』と『住』、どっちを優先して用意すべきか……?


 今、腹具合は、さほど問題ない。第一、恐らく夢なのだ。『食』は後回しにして、『住』、つまりは要するに、私たちが子供の頃にはそういうことが出来る場所が少ないながらあった、『秘密基地』を作ってやれば良い。運が良ければ、食べられる果実や野草もあるかも知れない。第一、少し寒い。煙草を吸う習慣も無いので、ライターも持ち歩いている筈が無かった。いざとなれば、『火』の印を使えば何とかなるが、少しばかり、規模が大きすぎるであろう。


 背の低い曲がった樹と、周辺の草を利用して、秘密基地は割りとあっさり、作り終えた。


 果実も、食べられる野草も、少なくとも見分けられる範囲内では見つけられなかった。



 ならば、海だ。岩場の海が良い。


 木の枝を加工した物を持って、岩場の海へと向かった。



 狙いは、雲丹や貝の類。

 魚に比べ、腹の足しにはならないが、魚を獲る道具を作るというのは生半なものではない。市販の釣竿と仕掛けを使っても、そうそう釣れるものでもない。上級者ならば、何とかなるのかも知れないが……釣り初心者の私には、魚を獲る手段と言うのは、潮干狩りで偶然に、位しか思いつかない。


 ここは、やはり人が居ない・もしくは少ないのだろう、雲丹や貝は、数だけは獲れた。だが、腹の足しにはならない。その代わり、美味である。貝は、シロとクロに炎のブレスを吐いてもらって焼いて食べた。そう……火の印を使わなくても、シロとクロは、お願いすれば、炎のブレスを吐いてくれるのだった。


 そして、獲りすぎはいけない。いつまで、この世界に囚われているのか、分からぬのだから。


 特に寒い日は、砂浜で打ち上げられた木を集めて、火を焚いた。



 それからしばし。食料も心許無くなってきた頃、シロとクロとが騒ぎ出した。

 しきりに、私を何処かへ誘導しようとしている。



 深い森の中だった。

 紅く光る鳥の雛が、地面に落ちて啼いていた。


 手を翳すと、温かい鳥だった。


「……『鳳雛』?」


 私は、『丹羽 鳳雛』を思い出した。


 ふと、振り返る。奴の声が聞こえた気がして。


 その隙を狙っていたのだろう、鳳雛が、嘴から私の心臓を貫いた。

 傷口は、焼けていた。その炎が、全身を覆ってゆく。


『貴様にこの世界に閉じ篭っていて貰っては困るのでな。恨むなら、丹羽 鳳雛を恨め』


「クソ……腐れ縁とは、正にこのことだ――」



 ――ヴウウウン……ヴウウウン……。


 僅かな振動音。だが、睡眠中の私にとっては、十分な音量だった。


「クソ……やっぱり夢かよ……」


 奴は、分かっているのだろうか?

 この輪廻が、恐らく何度も繰り返されていることを。

 永劫回帰を逃れるには、僅かで良い、『揺らぎ』を引き起こさなければならないことを。


 それとも、奴には見えているのだろうか?奴の望む未来が。


 私には見えない。自害の可能性まで見えている。その予定の歳も分かっている。


 あと8年……。


 歴史上では、鳳雛・龐統の方が若くして亡くなっているが、臥龍などという大袈裟な名前を与えられた私は、目覚めるべき能力も持っている訳では無い。


 或いは、『天法』のゲームの商品化でもすれば、報われるのであろうか……。


 どちらにしろ、鳳雛・龐統も臥龍・諸葛亮も、天下を取っていない。


 お前は、その人生で良いのか?



 否、問わなくても分かっている。

 結果、それで良いのだ。


 ただ、何かを望むのならば、何らかの努力はしなければいけない。

 結果、報われなくても、それで良いのだ。

 何の努力もしないよりは、すべき努力はするだけした方が良いのだ。


 それでもダメでも、それで良いのだ。


 前に、天界の二層辺りが永劫回帰に囚われて、逃れ得る方法が無くて困っている夢を見たが、私が目を覚ました途端に逃れたという結末だった。


 私は、死ぬべき時まで生きれば、それで良いのだ。

 その間は、自由なのだ。


 経済的には苦しく、恋人1人も望めない程であるが、それで良いのだ。

 どうせまた、3ヶ月でフラれるのだから。


 独身で、自由。望めるものがそれ以上1つも無くても、それで仕方ないのだ。


 だから。娯楽で、恋愛の要素を楽しんだり出来るのだ。

 現実の恋愛の、ドロドロした部分を知らないから。


「さてと」


 前回の輪廻と、何か違うであろうか?

 恐らく同じであろう。


 私の失敗は、『大学現役合格を目標にしたこと』だった。

 入学したら、どうなったか、って?

 ――未来に、何も見えなくなったのさ。

 ただひらすらの闇。

 故に、狂った。


「――奴に、連絡を取ってみようかな」


 私は、メアドの最初の一文字だけを記憶していて、それから検索して、メアド変更した今のメアドから、ブロックを解除して奴にメールを送るのだった。


 或いは、これも予定調和の1つなのかも知れない。


 ……私が目覚める?

 或いは、私が現実と思っているコレも夢で、死んだら、もう一段階上の現実の自分が目覚めるだけなのかも知れないと思っている。


 時間は、円を描いている。もしくは、多重螺旋構造の、どちらにしろ円を描いている。


 時間は、自分が『現在』と思っている時点を見ていて、その連続体であって、TVなどで、時間は同時に存在しているから、過去から未来までずっと連続体として見た場合、ストロボ写真のように描かれていたのを見たことがあるが、そうはならない。或いは、人間の視界の範囲内で、そのようにはならない。


 地球がどの位のスピードで動いている?

 太陽系がどの位のスピードで動いている?

 銀河系がどの位のスピードで動いている?


 それを考えたら、物凄く短い時間で切り取った連続写真でも、信じられないほど、遠くに離れてしまっているはずなのだ。


 ただ、地球上のカメラで撮影する、という前提条件を付けられたら、TVでのストロボ写真は、正しいことになる。――カメラも、相対的に同じスピードで同じベクトルで動くからだ。


 だから、相対性理論などというものが正しくなる。


 だが、ちょっと待って欲しい。


 貴方にとって、『それでも地球は動いている』か?


 相対性理論を持ち出したら、『地球が動いていない可能性』について、もっと本気で論じなければならないのだ。

 地動説は、科学的に観測したデータにおいて、『地球が動いていると断言せざるを得ない』だけなのだから。


 相対性理論でも、『地球が動いている』という結果が出るのならば、そもそも、何処を基準に、『相対的に』考えているのか、考えて欲しい。


 もしも、宇宙の中心だとするのならば、ならば、宇宙の中心は絶対に動いていないと言えるのか?


 だから、自分を基準に考えて、『地球は動いていない』、でも、『地動説は正しい』。

 矛盾している?何故!?

 地動説は、太陽を基準に考えて、科学的データを観測した結論に過ぎない。

 太陽が動いている可能性が高い以上、それを『正しい』というのは早計ではないか?


 だから、『地球は動いていない』、でも、『相対性理論』に基づいて、『地動説は正しい』。


 こう言うのが、正しいのではないだろうか?


 そもそも、『相対性理論』そのものが、何処を基準に『相対的に』考えなければならないのかを考えた時に、『自分を中心に』、『相対的に』考えなければならないのだ。


 別に、理解出来ないのならば、それで構わない。


 だが、貴方が『自己中心的に』考えているのであれば、私の言う通りに考えているのだ。

 そして、『自己中心的に』考えられない人間は、自分が自分の人生の主人公であることを放棄した人間なのだ。

 だが、『自分の為に』他者を貶める人間は、それなりの覚悟をしてもらおう。

 自分が、他の人にそうされても、貴方には責める資格は無いのだ。貴方も、同じことをしたのだから。


 恐らく、気付いている人は、相当数居るのではないか?

 人間の多くが、『自己中心的に』なって来ていることに。


 さて。鳳雛の意見も聞きたいものだが、永劫回帰から逃れるのが、どれだけ難しいことなのか。

 そしてそれは、蝶の羽ばたきのような揺らぎが原因で起こるかも知れないということを。


 前世の知識を今世に持って来ることが、如何に難しいことなのか。


 何故なら、無量大数年を超えて、不可識不可識転世紀が経っても、次の輪廻が起こるとは決まっていないからだ。


 そこに、揺らぎが生じる可能性が、如何程あるのか。


 私は、違う輪廻を生きたかった。でも、不可能ならば、未来を望むものにしなければならない。


 どうせ、次の輪廻でも、記憶を持ち越しては来れないことはほぼ間違いないのだ。


 だから、『現在』までは、前世と同じ生き方をしたとしても。

 『未来』は、望む生き方ならば、前世と同じ生き方で構わない。


 どちらにしろ、未来を変えるというのは、そう容易な事では無いのだから。


 運命を望むのか、望まないのか。そう聞かれたら、私は『望まない』と答える。


 何故ならば、未来は、自力で切り拓くものだからだ。

……私に、未来を切り拓く力なんて無いですよ?(泣)

飽くまでも、主人公の意志を最後に記したのみです。


……駄作?

自覚あるんで、どうとでも言って下さい。

文才なんて、無いんですから。

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