7話 出会い
テント前に降り立った少女、そのままテントに入ろうとすると
「……やっぱり夜は魔物が活発ね」
振り向くと…
「キキャー!」
リトルデーモンの群れが飛びかかっていた
「ったく…起こすのは悪いから大魔法使えないなあ…」
そう言いつつ冷静に防御魔法を無詠唱で展開する
氷属性の中級魔法 『氷結の障壁』
詠唱者の周囲に氷の障壁を展開する
攻撃は防げた
そして障壁を展開したまま、背中にある紋章を大きく輝かせ攻撃魔法を唱える
「『影への墜落』…!」
闇属性の大魔法
対象とした生物全てを影へ引きずり落とす、対象に他の物の影がかかってない場合効果はない
その魔法を唱えた途端、リトルデーモンの足元の影が彼らを飲み込み、消し去ってしまった
「そういえば1つだけ使えたんだった、大魔法
さて、これで邪魔者はいなくなったかな」
少女は少年を起こさないようにテントの中に入る
彼はトロルとの戦闘で疲れ切っており、熟睡していた
少女は添寝をして小さく魔法を唱える
「『夢への侵入』…♪」
光属性の上級魔法
対象者の夢に入る、条件として対象者が睡眠中に自身も隣で就寝する必要がある
この魔法を使えば、就寝中でも意思疎通ができる
少女がこの手段をとったのは、疲弊した彼を考えての事だった
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1面白で染められた空間が広がる
どうやら少年の夢の中に入る事に成功したようだ
「さて…彼を探さなきゃ…」
夢に入れたとしてもすぐに対象者が見つかるとは限らない
夢の中は意外と広く、下手したら見つからないまま起床されてしまう可能性がある
少々急ぎで少年を探した
「お?いたいた」
「ん?」
少女は少年を見つけることができた
これが初めての出会いである
「君は…誰だ…?」
「初めまして、私の名前はリネア・アライン
周りからは『白の大魔法師』と呼ばれているエルフだよ」
「は?えっ、なんでそんな人がこんなところに…ってここどこだ!?」
「あ〜もしかして初めてだったかなこれ経験するの、まあ無理もないか
説明するとここは君の夢の中、精神世界みたいなものだよ
君の身体はトロルとの戦闘で疲弊してるだろうから夢に入らせてもらったよ」
「ああそう…ってなんでトロルと戦っているのを知ってるんですか」
「そりゃあ上から眺めていたもん」
「なんで助けてくれなかったんですか…」
「まあそこは気にしないで、それよりも君の名前を聞いていなかったね、何て言うの?」
「名前…?名前…」
そう言い残して、彼は光に包まれ夢の中から消えてしまった
「あ〜起きちゃったか、まあいいや
さて、私も戻らないと」
『夢への侵入』は出入り口の場所が決まっているのだ
魔法を解除するためにはそこまで戻る必要がある
少年を見つけるまで少し時間がかかったため
戻るのにも少し時間がかかるのだ
リネアは急ぎで戻るのだった
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「っ…」
朝である
少し関節が痛む、どうやら筋肉痛のようだ
「あの不思議な少女、リネアと言ったか…」
夢に入られるのは彼女の言うとおりである
むしろ入られる人の方が珍しいのではないだろうか
彼は自分の名前のことを出来るだけ考えないようにしてた
「ったく、あんな人が俺に…何なんだ…」
そう言って手を地面に置こうとしたが
「ん…?」
なんだか手に柔らかい感触が
手の方を向いてみるとそこには女性の胸が
その持ち主は腰にかかるくらいに長い薄桃色の髪を持つ少女、リネアだった
「はあ!?」
すぐに手を離す少年、それと同時にリネアが起きる
「お、お前どうして俺の横で寝てる!」
「どうしてって…『夢への侵入』は対象の隣で寝る必要があるんだもん、もしかして知らなかった?」
「知るか、俺が知ってるのは各属性の初級魔法だけだ!」
「勿体無いなあ、強い魔力持ってるのに」
少年は他にもいろいろ聞きたかったが、町への出発の時間を考えやめておくことにした
リネアはおそらくついてくるだろうと思い、その時に聞くことにした
そんな調子で少年と少女は出会うのであった