3話 森の暴れ者
「出発明日の朝のほうが良かったか…」
攻撃を回避しながらそんなことをつぶやく少年の前には、暴れるトロル
それは少年が旅に出て2時間位のことだった
森は結構大きく、少年の歩く速度では抜けるのに精々あと1時間はかかるだろう
準備に少々手間がかかり、小1時間出発が遅れたのも原因の一つかもしれない
昼前、この時間はトロルが森を徘徊する時間なのだ
トロルは理由は不明だが、人を見るとかなりの確率で襲ってくるのである
5mはあるであろう巨体が持つにふさわしい棍棒を力任せに振り回す
大振りな為、一見回避しやすいと思えるが森という環境がそれを邪魔する
その大振りな攻撃は近くの木々をなぎ倒すのである
その倒れる木々は、攻撃のチャンスとなるタイミングをことごとくなくしてくる
「さて…この状況をどう打開するか…」
そんな言葉を漏らしながら、隙を伺う
現状それしかできることはなかった
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「あ、いたいた…」
少年に興味を持った少女が少年が戦っているのを見つけた
それと同時に未来観測を行う
「やっぱりこの距離でもダメかぁ…」
少年の未来を見ることは不可能だった
周囲の生物の未来を観測して、少年の未来を推測することもできるが
気になりもしない生物の未来を見るなんて気が乗らないのでしない
ここで彼の手助けをすることもできるが、彼の戦闘能力と技量を図るため、控えておく
「どれ程のものなのか、ほんと楽しみ」
上空で少年の戦闘風景を見ていながら
少女はこれから起きる見えない未来に胸が踊るのであった