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脱・国語2劇場 読み切り

作者: シズ×ヤマ

青春には楽しいこと辛いことが紙一重。だからこそ物語が生まれる。不登校になりかけている秋梨稜太が1週間ぶりに外に出た。彼が見つける物語はどんなものなのか?

この現代社会で生きるにはどうも思い悩まされる。信用できる人間がいない学校に毎日往復するなんて。もう学校なんて辞めてしまいたい。将来は外に出ないで無職でいたい。そんなことを考えながら秋梨稜太(あきなしりょうた)は今日も学校をサボる。

サボって約1週間。こんな生活をを続けてみてわかったことが一つあった。

なんだかずっと部屋にいると息苦しくなっていく。たまには外に出ないと脳にダメージを受けそうな恐ろしさを感じるのだ。そんなことを考えていたころだった。


「りょうた、いい加減学校行きなさいよ。昨日の夜、先生が、家庭訪問に行くからって、電話来たのよ。お母さんあまり人と話すの好きじゃないから勘弁して。」


確かに担任の淳夫(あつお)が家に来られたら世紀末なみに恐ろしいことが待っているに違いない。想像するだけで体にじんましんを起こしそうになる。仕方ない、明日からは外に出よう。

次の日の朝、俺は学校に行く準備をした。あくまでも準備だけ。


「やっと学校へ登校していく気になってくれたのね。母さんとても嬉しいわ。」

こういう母に対して無理していることがわかりそうな作り笑いをしながら、

「やっぱり学校はちゃんと行かなきゃね。」と目障りな母親に嘘を言って出かけた。まあ出かけたところで学校には行きませんが。

さて、これからどこ行こうか。外に出たところで行くところがないことに気が付いた。制服のままだからゲーセンに行くことは不可能だし。今更家に帰ることもできないしな。

学校に行かなくなった言い訳をさせてもらうと、ただのクズ野郎としか思われないことは百の招致だが、自分の心がそう叫んでいるから嫌でも読者諸君に語ることにしよう。


学校行ったって勉強ができないことで棚に上げられるし、部活ではほとんど評価されず下級生になめられる。たかが勉強できないくらいでなんだ。部活だったら辞めればいいじゃないかという意見もあるだろう。確かに、勉強面に関しては、唯一点数が取れる数学(得意とは言っていない。)を重点に考えてみれば変わるかもしれない。部活なんて顧問の「辞めさせない」なんて言うこと素直に聞かないでそのまま帰ってしまえばいい。


まあ、あまり愚痴を言ってしまっていては不愉快になると思うので話を元に戻そう。今日は月曜日で少年ジャンクの発売日。やることがなかったので、通りすがりのコンビニ行って買った。これでしばらく、退屈しのぎになると確信した僕は何も迷わず公園に向かった。平日の公園には、ダンボールの神様(ホームレスの呼び方)たちがいっぱいいた。公園は静かに過ごせると思っていた俺はやっぱりバカだった。まあ、彼らは別に働いてないから注意されることもないだろうと思いベンチでに座ってジャンクを読んだ。

ペラペラ

「ワンポークの船長ってどうしてこんなに仲間を大事にできるんだろう。俺にもお互いの背中を預けられる仲間が欲しいよ。あれ、なぜだ、目から涙が・・・しかも口に入った。」

数か月前のことだった。俺は信じていた友人に裏切られた。入学当初につるんでいた原野と井野田の一中コンビが俺の悪い噂を広めたことでクラスで話ができる人がいなくなってしまったのだ。非常にショックを受けてから人間が信用できなくなってしまったのだ。クラスでの居場所があれば、たとえ勉強ができなかろうと、部活で評価されなかろうと学校に行っていただろう。漫画を読んで涙を流すことはよくあることだが、今日流したこの涙の味はとても胸糞悪い味を残した。そしてこの時俺は確信した。日本という国に友情なんて存在しない。そう思って諦めていた。名前が書いてある手帳で、誰かを従わせるもあればいいのにな。たとえ相手が妖怪であってもって思っていたこともあるけど、ただ従わせている関係なんて、友情とは言えない。ただ自分が空回りするだけだ。

「どうすれば一人で生きていくことができるようになるかな。」情けないことに公園で大泣きしてしまった。苦しさと葛藤と戦う毎日にエネルギーを持ってかれたことにも気が付かない17歳。今まで溜まっていたストレスを解放させていたのだった。


そろそろお昼が近づいたころだっただろうか。ジャンクを読み終わってしまい、再びやることがなくなってしまった。いろいろ考えていたが、母親の作ったお弁当があったのでそれを食べることにした。

「外で食べるお弁当とか中学校の遠足以来だな。なんかこう、外で日に当たりながら食べるのって悪くないな。」

独り言をつぶやきながら弁当を食べる手は進んだ。授業が終わっていない時間帯だったが、いつも早弁するからあまり気にならなかった。お弁当を食べ終え、ジャンクが読み終わり、いよいよやることがなくなっていた。仕方がないので公園を去ることにした。午後になれば制服で歩いても怪しまれる確率が減るだろうという舐めた考えのもと、町へと向かった。

「高校生になってから服の買い物を一度もしたことがなかったし、これを機会に209にでも行ってみよう。」

209なんて自分には似合わないオサレなお店が頭にうかんだ。だが俺の心には迷いなく、勇気を持ってイメチェンしようと思った。


しばらく歩いていると、泣いている子供に出会った。最初はほっといて通り過ぎようとしたのだが、俺のほうに目線を向けていることに気が付いてしまった。俺は子供がものすごく嫌いなんだが、どうゆうわけか情が移ってしまった。仕方ないね。あまりの悲しそうな眼をしてたんだから。うるうるした眼を見ていたらほっとくことなんてできなくなってしまうよね。仕方なく一言「どうしたの?」と声をかけてみた。

「電車の降りる場所を間違えて迷子になったんだ。」

乗り物のせいにする子供の無邪気な言い訳につい笑ってしまった。そしてその言い訳がかわいく感じた。

「じゃあ俺が家まで送ってあげよう。」

「ほんとに?・・あ、ありがとう。」

「名前は?」

清四郎(せいしろう)です。」

本当に素直でいい子だった。内心「話しかけないで。あなたのことが嫌いです。」とか言われないだろうかとびくびくしていたが、そんな心配はしなくて済みそうだ。これなら子供嫌いが克服できそうだ。そう思った瞬間、大きな喜びを感じた。

「ところで、清四郎の家はどこかな?」

「長井沼」

「・・・・・」

長井沼というのは俺の通う学校があるとこだ。まずい、教員どもに見つかったら確実に担任にチクられる。そしたら担任に何言われるかわかったもんじゃない・・・。しかし、ここで約束を破ってしまうのはなんだか心苦しい。俺は覚悟を決めて長井沼に向かうことにした。びくびくしている反面、ジャンク漫画の主人公になった気分でわくわくしていた。

しばらく歩き、近くの駅に着いた。いよいよ行きたくない学校の方向に向かわなくてはならない場面に立たされた。しかし、もうそんなことは考えていなかった。切符を買おうとした瞬間に清四郎が急に若い女の人のほうに走り出した。

「ママー。」

どうやら母親に会えたらしい。

「清四郎、よかった無事だったのね。いったい昨日から何処に行っていたの?母さん心配したんだよ。」

「ごめんなさい。僕バス間違えて遠くまで行っちゃったの。」

あれ、電車じゃなかったっけ?まあいいや。

「どうやってここまで来たの?」

「あそこにいるお兄ちゃんが一緒にママを探してくれたんだよ。」

「あら、本当に。ありがとうございます。なんてお礼を言ったら。」

「いいえ、気にしないで下さいよ。」

そういえば、最近ありがとうと言われたことなかったな。たったこれだけのことだったのに感動した。清四郎の母親の心の温かさに触れて久しぶりに生きていてよかったと思った。あれ以来だったな。入学したての可愛い後輩の女の子に声をかけられたので学校まで案内した。その時さ、笑顔でありがとうって言われたのは嬉しかったな。ああ、あの笑顔が愛おしい。えりーに会いたいな。


清四郎と母親と別れたころにはもう日が暮れていた。きっと今日学校来なかったことは親には伝わっていることはわかっていたが日が暮れてしまってはもう行き場を失ってしまうわけだから諦めて帰ることにした。せめて最後まで人に見つからないようにだけ願っておくか。

「あれ、お前そこで何してるの?」

「あれ、ショウ。なんでここに?てか、あれ、なんか人数が多いぞ」

ついに誰かに見つかってしまった。同じ部活の人達に見つかってしまったのだ。

「おいおい、ここにいたのか。早く今週のジャンク見せてよ。」

「お前にとって俺よりシャンクなのかよ。ひろたかこのやろう。」

「先輩。どうしてたんですか。学校サボっちゃ駄目ですよ。」

「うん。こめんな、えりー。」

1週間ぶりに皆に会った。学校サボっていた罪悪感がある僕はなんだか心苦しくなった。しかし、どこか心がほっとしていた。そしてなにより嬉しいことに、先ほど言っていた可愛い後輩。たっきーにも会えたのだから。

「まあ、元気そうでよかったよぜ秋梨。まあ、こんなことがあってもいいんじゃないかな。」

「ショウ。ありがとう。心配かけたな。明日からはまた登校するよ。」

「ほんとですか先輩?約束ですよ。これからですよ。頑張りましょう。」

「ありがと、たっきー。おかげで元気出たよ。」

「せっ、先輩。いいいいいんですよよ。」

やっぱりえりーは可愛いな。こんなかわいい後輩がいるなんて幸せだ。

「俺さ、お前いなくて寂しかったぞ。俺の難しい話を聞いてくれるのはお前だけだからな。」

「そうだな、久しぶりに面白い話聞かせろよひろたか。」

「まあ、俺以上に心配してた奴があそこにいるぜ。いい加減隠れてないで出てきなよ、すず。」

「う、うるさい。」

彼女は怒りながら出てきた。

「ふーん。学校サボってたんだ。あんたって、やっぱりダメ人間だね。」

「凶暴女は黙っていてくれないか。」

「あら、聞きずてならないわね。その口しゃべれないようにしてあげようかしら。」

「なんだと。」

「おいおい、二人とも落ち着きなよ。」

「止めんなよショウ。こいつら喧嘩すると面白いじゃん。」

「だけどさひろあき。秋梨が怪我しちゃうよ。」

「やっぱ秋梨先輩とすず先輩って・・・仲いいんですね。」

めんどくさい言い合いが続いたが、やっぱり女子相手に口げんかで勝てるはずがなかった。だからと言って手を出せば痛い目に合う。

「ほっとけよ。お前にはには関係ないだろ。留年するだのなんだのうぜえんだよ!!」

「いい加減にしなよ。私や皆がどれだけ心配していたかわからないの。なんなのよその言いぐさ。」

「お前・・・・」

すずの口から心配していたなんて、らしくないと思った。こういう人があり得ない発言をするとなんだか調子狂う。

「悪かったよ。ほんとに。」

「あーあ、素直じゃないね。すずさんあんなメール秋梨に送ってたのにな。」

「はっ!?ちょっと、何言ってんのひろあき!!」

「えっ!すず先輩なにかしたんですか。」

「ちょっと!たっきーまでなに?」

あのメールのことか。そういえばあのメールで「Tさん好きなんだ。ふーん。」ってメール来ていたな。なんか様子がおかしいなとは思っていたが。でも考えるのはやめた。また調子狂うから。

「せっかく秋梨にも会えたわけだし、今夜は皆で星見に行こうぜ。」

「おいおいショウ、今日は流星群見れないぜ。」

「君はなんでも知ってるなひろあき。」

「いいですねショウ先輩。たまにはいいこと言いますね。」

ショウの提案に皆が賛成し。僕らは町からちょっと離れた公園に向かった。今夜はひろあきの言うとうり、流星群が見える日ではないがなんだかわくわくしていた。

「先輩、流れ星が見えました。」

「え、どこどこ!?えりー何かお願いしたの。」

「内緒です。」

えりーの願い事がものすごく気になるすぎて、頭が沸騰しそうだったその時、夜空に流れ星が一斉に流れ出した。

「す、すげー!!」

「まじかよ。」

「きれいですね。」

みんな星に見とれていて空から目を離さなかった。そんな中一人、俺の肩につっついてきた。

「ねえ、たまには私の話聞いてくれない。」

「なんだよ改まって。すずお前らしくないな。」

「どうしてそういう言い方しかできないのよ。」

「おろろ・・・。」

すごくドキッとしてしまって俺は焦った。

「とにかく、明日から学校来なさいよ。わかった?」

なんだかそんなふうに言われてしまい、すずのドキッとしてしまった。いつも意地悪なすずにも、こんな可愛いところがあったなんてな。しばらく黙りこんでしまったが俺はただ優しくつぶやいた。

「わかったよ。お前がそこまで言うなら。ちゃんと学校行くよ。」誰になんて言われようと学校は嫌いなことには変わりないが、こいつを含め皆が学校来るように言ってくれるのだから、学校に行こう。すぐに問題を解決するのは無理だと思うけど。少しずつ克服していけばいい。だからもう弱音吐かない。逃げない。ふてくされない。切れないと思います。多分。

「まあ、君はもう留年決定してるかもしれないから無駄かもね。」

「何が言いたいんだ、クソアマ!!。」

先ほどの態度と一変して水を差すようなことを言われた俺は、ついにカッとなって手を出してしまった。

「十年早いわ!!」

そして僕は思いっきり腹を蹴られた。性別なんか関係なく、空手初段相手には勝てるはずがないのだ。切れないと誓ったくせに切れたつけは大きかった。

「すず様すいませんでした。」

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです。」

やっぱり素直じゃないな。


それ以降俺は、弱音を吐いたり、ふてくされたりはしたが、逃げずに学校には行き続けた。遅刻や早退は多かったが学校には休まず通い続けた。そして無事留年せずに高校を卒業した。

あれから4年の月日がたった。

「なあ、秋梨。この原稿に書いてあることってノンフィクションなの?」

「まあ、一部フィクションで一部ノンフィクションかな。」

「その比率は何対何なの。」

「まあ、7:3ってとこかな。あ、しまった・・しゃべりすぎてしまったじゃないか。」

「まあいいじゃないか、しかし脱・国語2って。」

「それはな、国語の成績2だった俺が課題で小説書いたら4になったからこの小説を書き直してリメイク版にして書いたからこういうタイトルなんだよ。国語の教師という編集のアドバイスもあるからな。」

「うそくせえな!!」

「なーんて6割嘘っぱちなんだけどさ。」

「じゃあ、ここに出てくる女の子はいたのか?」

「よし。ラーメン食べに行くか。」

「おい、話終わってないよ。」









初投稿ということで、右も左も分からず書いていました。この小説のもとは、本当に国語の課題で出されたものでした。ある日、部屋の片づけをしていたらその時の原稿が見つかりました。これは運命の再開だと思ったので、一部変えて書いてみました。私も読んでくださる皆様も何かが変わるきっかけになるのではと信じています。このような運命はこれから生きていくうえでまた見つかると思います。そうした中で、様々な点と点をつなげ、楽しい小説を書いていきたいと思います。どうぞこれからもよろしくお願いします。

シズ×ヤマ

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