ビバ8★炎操作の特訓をしました
「というわけでだな、この炎を操る方法を超簡単且つ超素早く教えてください」
「そんなのは無理よ」
なんだこいつさっきとは打って変わってそんな言い方を。
「まあ、コツだけでも教えるわね。精神をある一点、詰まり能力の発動場所に集中させて、ちょっとイメージを加えるの」
「こうか?」
鑑真は精神を集中させた。鑑真の獄炎の発動場所は手の先だ。そこに精神を集中させ、小規模な焔を想像する。
ごおっ!
出たのは家を焼き尽くす程の火だった。その火は近くにあった大木を焼き尽くさんとする。やばい。
「すみませんやばいこっちゃになりました」
「仕方ないわね。ほら」
というと、紗良の中指から放たれた冷気がすうっと炎を撫でた。すると、瞬く間に火は消えていった。
「強い能力ほど大成するには時間がかかるものよ。前栃木王が想殺という能力を完成させるのに十六年掛かったもの」
「因みにこの能力が大成するのはどれくらいなのか?」
「ざっと三年ぐらいかしら」
石の上に乗ってりゃできるんだ。そう思うとこんな時間も短く感じられる。ただし、
「二十五億円は、一週間後だしなぁ」
こう思うと長いものだった。
昼がきた。お昼は店で食べることにした。
「龍羅、瑠璃、俺の分までサンキューな。でも、終わりそうにねえなああれ」
「そうですの…」
ちょっとがっくりしていた。でも、
「二十五億円は掴み取ってやるよ」
と言ってなだめた。
今日のお昼はカップメンだった。それも、醤油味。ニート生活で一番役に立った非常食だったような気がする。
「やっぱ王道の味だねぇ」
「そう?沢山買ってくるよ」
相変わらず瑞希はいつもやさしい。
「カップメンって、ニートの主食ですわよね?どうしてそんなに美味しそうに食べられるんですの」
「ディープな美味さがわからないとは教えてあげないとならんね」
本気の目だ。彼のカップメンに注ぐ愛は人一倍、何故なら主食だからだ。
そしてなんと知識を語り始めた。
話し終えた時、瑠璃は美しい寝顔で眠っていた。ムカッときたがそのやさしい寝顔に胸きゅんしてしまいできなかった。
瑞希はしっかり起きていた。しかし疲れていたのか不可解な呪文をごにょごにょしていた。そりゃそうだ。鑑真の自慢話なんて聞きたさのひとかけらもないだろう。ましてカップメンなんかお断りだ。
ふと、呪文が鮮明なものとなった。
「カップメン、毎日食べさせられたから、もういやだよ…」
そういやいろいろあったって言ってたな。鑑真はそれを聞いて手の先が少しお熱くなったのを感じた。
「さーてと、もう一回やりますか」
鑑真はそう言うとまた指先に小さな焔を想像した。すると、ぽっ、と言う音を立て小さな焔が生まれた。
「やるじゃない。私の次に習得が速いわね」
「で、これからどうすれば」
「そこら辺に投げなさい」
言われた通りぺいっと投げると暴投で、また大木を焼き焦がした。
でも成功は成功だった。
「じゃあ、さっさと帰宅するか」
「えっ、一日でやり遂げたんですの?」
「のようだな」
「あたしにも見せてくれよ」
「いいぜ」
いつも通り指先に精神を集中させ、焔をイメージする。
瞬間、小さな炎が出現した。
「お兄ちゃんすごいよ!」
「ヒューヒュー」
「喜んでるとこすみません。これ、消し方教えてくんない?」
「「「「そこか!」」」」
なにがそこかなのかは知らないが最終手段としてフーフーして消した。