ビバ4★結局住処は見つかりました
ビバ★鑑真4
「とりあえず名前を教えて?」
「関口瑞希だよ」
「俺は山田鑑真だけど、何でいきなり?」
「私は、強い人が欲しかった」
龍羅はともかく紗良も同じことを言っていた。
「あなたは、今市のあたりを焼け野原にしかけたと聞いたの」
人の噂は持つ時間より伝達力ですよね。
「だから私、あなたと一緒がいいの」
「残念だがそれは無理だ。俺には嫁が二人いるしな」
よく言えたもんだ。前世ニートの癖に。すると、瑞希が涙目で鑑真の顔を覗き込んで、
「私じゃ、ダメ?」
と胸きゅん大爆発をかました。
「大丈夫! 任せてください」
かくして婚約が成立したわけだ…が…
二人が告白を見ていた。
ジャブ、ジャブ、右ストレートのあと氷付けにされた。
「毎度毎度俺を殺さないでくれ!」
「あら失敬。得意技を使って女の子たちにアピールさせてあげようとしたのに、要らなかったかしら」
「超要ります! もっと殺してください!」
すっかりどマゾになった鑑真だった。
少し邪魔な二人にはコーヒーでも飲んでいただいて、瑞希と鑑真はスタッフオンリーの場所で交渉する。
「住ませてください」
「無理だよそれは」
「じゃあ持ち金の5000円で」
「少ないね」
十歳児に言われるとは思ってもいなかった。
「でも、瑞希は、何でもするって言ったじゃん」
「あっ…わかったよ。住んでいいよ」
本当にムンクの叫びみたいな顔をしていた。
「その代わり、俺は瑞希を守るから」
「本当!? おにーさん大好き!」
ぎゅっと抱きしめられた。
(小さな子供でも、女の子に抱きしめられるとドキドキするなぁ)
……二人に見られていた。
「小学生まで籠絡するのね」
「お巡りさんこっちですよー」
俺決めたわ。瑞希と生きていく。
そう思ったとき二人の口が一斉に開いた。
「「でも、不倫は許せない」」
かかと落としからの氷付けだった。
「かかと落としは俺向きでもなんでもねえだろ!」
かかと落としで非常に大きなダメージを受けた鑑真は酷いことになり、それを龍羅が助けたというわけだ。つまり龍羅の自業自得だ。
「まあ許せって。それよりさっさとあの結果、発表しろよ」
あの結果、とはこの家に住まわせてもらえるかの交渉の結果のことだ。鑑真はそれを余すとこなく喋った。
「オッケーだよ。ただ条件がある。店でちょいっとバイトしてもらうこと」
「報酬はあるのかしら?」
「生活費に入るそうです」
「わかったわ。それでは今日は切り上げて寝かせて貰いましょう」
午後十一時。
瑞希は少し遊んであげたらぐっすり眠ってしまった。今は二人の修羅場だ。
「せっかくの夜なんだからえっちなことしたいとは思わない?」
「えっちなこと、やろうぜ」
やる気失せました。
その後十分程度で全員眠りについた。
朝。店が開く。
すると、一人お客が入ってきた。
「すみません、ここに山田鑑真と言う男はいませんこと?」
「はいここです」
というとものすごいスピードで走っていった。鑑真は追いかけた。すると、息を切らしながら喋ってきた。
「私の、夫になって欲しいのですわ」